毒牙という名の罠
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一歩、屯所の外に出れば周りの目が不思議そうに名前に目線が向けられ居心地の悪さに渋い表情を浮かべ、思わず隠れるように前で歩く銀時の後ろで歩き始める。
「なんで後ろ歩いてんの?」
「いいから前向いて歩いてよ」
後ろを振り向く銀時に対して、名前が両肩を持って前を向かせる。
「注目を集めるのも無理ありません。俺が女だったらその隊服は着やせんね」
「テメーらが用意した隊服だろーが」
「まぁ、男の俺だったら好みですけどねィ」
「.......誰も好みなんて聞いてない」
真面目な顔をして呟く沖田に呆れた様子で答える名前だったがふと足を止め、銀時たちも同じく足を止めて振り返った。
「名前さん?どうかしたんですか?」
「いや......何かおかしいなって思って......」
「......さすが名前さんでさァ。確実につけられてますね」
「つけられてるだァ?」
銀時が一瞬だけ横目で見るが、すぐに前を見据えて不意に名前の腕を引き、すると沖田が携帯を取り出しどこかにメールを打つ。
「え、ちょっ........」
「黙って歩け」
「私が懲らしめてやるアル!」
「神楽ちゃん、それは.......」
グッとガッツポーツを決める神楽に新八が眉を下げて見つめれば、手を引いたままの銀時が歩きながら呟くーーー。
「やめとけ。向こうが手ぇ出さねぇ限り、こっちから仕掛ける筋合いねぇだろーが」
「旦那の言うとおり。今、十番隊が市中見回り中.....大きな動きがない限り、何も心配要らないでさァ」
「少なからず......私が真選組に入隊した、って事はもう上に伝わってるって事か......」
名前の考える横顔を窺えば、袖を通した隊服を気にしつつその表情は平然を装っているように見えたが、銀時には読み取ることは出来なかった。
しばらくしてから何の動きもなくお登勢の店につき、ゾロゾロと中に入れば煙草を持ったお登勢が名前の服装を見て目を瞬かせる。
「おや。やっと帰って来たのかい。......ってなんだい、その格好は......」
「いや、ちょっと事情があって真選組に一時入隊というか.....」
「.......まぁ、事情があるのはここでは日常茶飯事だからねぇ。それに珍しいお客も来たもんだよ」
そう言って苦笑いを浮かべる名前から目線を外して、入り口付近の壁に寄りかかる沖田と目を合わせ、すぐに名前を見据えて煙草を灰皿に押し付ける。
「ただの護衛でさァ。お構いなく」
そう言って沖田は壁に背中を預けると同時に、少しだけ外の様子を窺いながら黙って店の様子を見守るーーー。
「そうかい。.......源外のじいさん、名前が顔出さないもんだから心配してたよ」
「あ、忘れてた........」
すっかり名前の頭の中では忘れ去られていたようで、その様子に隣にいた新八が苦笑いを浮かべれば、銀時がカウンターに座り肘を付いて目を細めて名前を見据えた。
「コイツ、しばらく真選組で寝起きすんだよ。しばらくはここに帰ってこれねぇ」
「なんだい、急な話だねぇ.....二日、三日帰って来ないと思ったら.......だからそんな格好してるのかい?」
「んー、まぁ.....そんな感じ、です.....。心配かけてごめんなさい。お登勢さんにはお世話になったし、報告しておかないとと思って」
「何かあったかは知らないけどさ、あんたが無事ならそれでいいよ。.....まぁ、少なからずそこの天パとあのじいさんが関わってるだろうけど.....。いつでも帰ってきな」
「ありがとう、お登勢さん......」
ぶっきら棒ながらもその優しい言葉に名前は眉を下げて笑顔で答え、不意に神楽が呑気に鼻をほじりながら銀時の隣で問いかける。
「ババアの挨拶も終わったところだし、付けられてる奴らどうするネ?」
「そうだよね.....このまま屯所に戻るんですか?」
「用事も終わったことですし行きましょう」
お登勢に改めて挨拶をして店わ出た瞬間、最初に出た沖田の足が止まりその後ろにいた名前が顔を覗かせるーーー。
その目線の先には、真選組と同じ隊服のようだが黒とは正反対に白色で片眼鏡をかけた男性と、その少し後ろには髪の長い女性が立ち、沖田の表情からはその場の空気が一瞬にしてピリっと変わるのを感じた。
「.......誰?」
そう呟きながら名前が隣に立った銀時に目を向けると、あからさまに不機嫌な表情を浮かべて仕方なさそうに頭を掻く仕草をする。
「あなたが名字名前、ですね」
「ーーー何の用ですかィ?見廻組局長が直々においでなさったとは珍しいですね」
「見廻組局長.......!?」
「おや.....そうでした。紹介がまだでしたね。見廻組局長の佐々木と、こちらが副長の今井信女さんです」
名前にもその異様な雰囲気が感じ取れ、それより先に信女の無表情な表情と冷たい気配に思わず名前が眉を潜めたーーー。
「真選組に女性の隊士が入ったと聞いて見に来た次第です」
「......真選組は女人禁制のはず。どういう了見で女性の隊士を入れたの?」
「見廻組のエリート様でも気になりますかィ?」
「..................」
三人の間にピリッとした空気が流れ、居た堪れず名前が目の前にいた沖田を押しのけて前に一歩出ると沖田が一瞬だけ目を見張り、神楽と新八が心配そうに名前に目を向ける。
「あの......真選組と見廻組の間柄はどうなのか知りませんが、真選組の内部事情を話す義理は無いと思いますが」
「......ほう。そうですか。それもそうですね.....。行きましょう、信女さん」
「...............」
先ほどとは打って変わり身を翻して二人が背中を向けて歩き出す。名前は眉を潜め、その直前に佐々木局長が薄く笑う姿が気になり言葉を無くす。
「お前......あいつらに喧嘩売ってどーすんだよ」
「..............」
「まぁまぁ、旦那。あのエリート様も一筋縄じゃいかないと思ったみたいですよ」
呆れる銀時の横で沖田が珍しくフォローを出すが、当の本人は落ち込んでいる訳でもなく睨みつけるように前を向いてポツリと呟くーーー。
「.......何か、企んでる」
「何か、って......なんですか?」
心配そうに問いかける新八に、その場にいた全員が名前に視線を向けた。
「わかんないけど......あの局長、笑ってた。それに、私の一言で素直に引くとは思えない」
「まぁ、.....見廻組はたまに考える事が謎ですからね」
「謎っつーか、ただ権力振り回してるだけのエリートじゃねェか」
「......とりあえず、用も足したことですし戻りやせんか?丁度、呼び出しもきやしたし」
そう言って名前たちの横で、沖田が隊服のポケットから携帯を取り出して耳に当てて受け答えをする。その間に名前が周りを見渡すが、先ほどいた気配は消えて少しだけ安堵の表情を浮かべ、その様子を銀時がチラリと横目で見据えていたーーー。
「なんで後ろ歩いてんの?」
「いいから前向いて歩いてよ」
後ろを振り向く銀時に対して、名前が両肩を持って前を向かせる。
「注目を集めるのも無理ありません。俺が女だったらその隊服は着やせんね」
「テメーらが用意した隊服だろーが」
「まぁ、男の俺だったら好みですけどねィ」
「.......誰も好みなんて聞いてない」
真面目な顔をして呟く沖田に呆れた様子で答える名前だったがふと足を止め、銀時たちも同じく足を止めて振り返った。
「名前さん?どうかしたんですか?」
「いや......何かおかしいなって思って......」
「......さすが名前さんでさァ。確実につけられてますね」
「つけられてるだァ?」
銀時が一瞬だけ横目で見るが、すぐに前を見据えて不意に名前の腕を引き、すると沖田が携帯を取り出しどこかにメールを打つ。
「え、ちょっ........」
「黙って歩け」
「私が懲らしめてやるアル!」
「神楽ちゃん、それは.......」
グッとガッツポーツを決める神楽に新八が眉を下げて見つめれば、手を引いたままの銀時が歩きながら呟くーーー。
「やめとけ。向こうが手ぇ出さねぇ限り、こっちから仕掛ける筋合いねぇだろーが」
「旦那の言うとおり。今、十番隊が市中見回り中.....大きな動きがない限り、何も心配要らないでさァ」
「少なからず......私が真選組に入隊した、って事はもう上に伝わってるって事か......」
名前の考える横顔を窺えば、袖を通した隊服を気にしつつその表情は平然を装っているように見えたが、銀時には読み取ることは出来なかった。
しばらくしてから何の動きもなくお登勢の店につき、ゾロゾロと中に入れば煙草を持ったお登勢が名前の服装を見て目を瞬かせる。
「おや。やっと帰って来たのかい。......ってなんだい、その格好は......」
「いや、ちょっと事情があって真選組に一時入隊というか.....」
「.......まぁ、事情があるのはここでは日常茶飯事だからねぇ。それに珍しいお客も来たもんだよ」
そう言って苦笑いを浮かべる名前から目線を外して、入り口付近の壁に寄りかかる沖田と目を合わせ、すぐに名前を見据えて煙草を灰皿に押し付ける。
「ただの護衛でさァ。お構いなく」
そう言って沖田は壁に背中を預けると同時に、少しだけ外の様子を窺いながら黙って店の様子を見守るーーー。
「そうかい。.......源外のじいさん、名前が顔出さないもんだから心配してたよ」
「あ、忘れてた........」
すっかり名前の頭の中では忘れ去られていたようで、その様子に隣にいた新八が苦笑いを浮かべれば、銀時がカウンターに座り肘を付いて目を細めて名前を見据えた。
「コイツ、しばらく真選組で寝起きすんだよ。しばらくはここに帰ってこれねぇ」
「なんだい、急な話だねぇ.....二日、三日帰って来ないと思ったら.......だからそんな格好してるのかい?」
「んー、まぁ.....そんな感じ、です.....。心配かけてごめんなさい。お登勢さんにはお世話になったし、報告しておかないとと思って」
「何かあったかは知らないけどさ、あんたが無事ならそれでいいよ。.....まぁ、少なからずそこの天パとあのじいさんが関わってるだろうけど.....。いつでも帰ってきな」
「ありがとう、お登勢さん......」
ぶっきら棒ながらもその優しい言葉に名前は眉を下げて笑顔で答え、不意に神楽が呑気に鼻をほじりながら銀時の隣で問いかける。
「ババアの挨拶も終わったところだし、付けられてる奴らどうするネ?」
「そうだよね.....このまま屯所に戻るんですか?」
「用事も終わったことですし行きましょう」
お登勢に改めて挨拶をして店わ出た瞬間、最初に出た沖田の足が止まりその後ろにいた名前が顔を覗かせるーーー。
その目線の先には、真選組と同じ隊服のようだが黒とは正反対に白色で片眼鏡をかけた男性と、その少し後ろには髪の長い女性が立ち、沖田の表情からはその場の空気が一瞬にしてピリっと変わるのを感じた。
「.......誰?」
そう呟きながら名前が隣に立った銀時に目を向けると、あからさまに不機嫌な表情を浮かべて仕方なさそうに頭を掻く仕草をする。
「あなたが名字名前、ですね」
「ーーー何の用ですかィ?見廻組局長が直々においでなさったとは珍しいですね」
「見廻組局長.......!?」
「おや.....そうでした。紹介がまだでしたね。見廻組局長の佐々木と、こちらが副長の今井信女さんです」
名前にもその異様な雰囲気が感じ取れ、それより先に信女の無表情な表情と冷たい気配に思わず名前が眉を潜めたーーー。
「真選組に女性の隊士が入ったと聞いて見に来た次第です」
「......真選組は女人禁制のはず。どういう了見で女性の隊士を入れたの?」
「見廻組のエリート様でも気になりますかィ?」
「..................」
三人の間にピリッとした空気が流れ、居た堪れず名前が目の前にいた沖田を押しのけて前に一歩出ると沖田が一瞬だけ目を見張り、神楽と新八が心配そうに名前に目を向ける。
「あの......真選組と見廻組の間柄はどうなのか知りませんが、真選組の内部事情を話す義理は無いと思いますが」
「......ほう。そうですか。それもそうですね.....。行きましょう、信女さん」
「...............」
先ほどとは打って変わり身を翻して二人が背中を向けて歩き出す。名前は眉を潜め、その直前に佐々木局長が薄く笑う姿が気になり言葉を無くす。
「お前......あいつらに喧嘩売ってどーすんだよ」
「..............」
「まぁまぁ、旦那。あのエリート様も一筋縄じゃいかないと思ったみたいですよ」
呆れる銀時の横で沖田が珍しくフォローを出すが、当の本人は落ち込んでいる訳でもなく睨みつけるように前を向いてポツリと呟くーーー。
「.......何か、企んでる」
「何か、って......なんですか?」
心配そうに問いかける新八に、その場にいた全員が名前に視線を向けた。
「わかんないけど......あの局長、笑ってた。それに、私の一言で素直に引くとは思えない」
「まぁ、.....見廻組はたまに考える事が謎ですからね」
「謎っつーか、ただ権力振り回してるだけのエリートじゃねェか」
「......とりあえず、用も足したことですし戻りやせんか?丁度、呼び出しもきやしたし」
そう言って名前たちの横で、沖田が隊服のポケットから携帯を取り出して耳に当てて受け答えをする。その間に名前が周りを見渡すが、先ほどいた気配は消えて少しだけ安堵の表情を浮かべ、その様子を銀時がチラリと横目で見据えていたーーー。