毒牙という名の罠
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パァン!パァン!.......
屯所の中庭で乾いた銃声が鳴り響き、名前が構えていた銃を下ろす。少し離れた距離にはど真ん中に穴が開いた藁の人形が二体。
「やっぱり松平のとっつぁんに話して正解だったな。いい腕してやがる」
「こりゃ、驚きやしたねィ」
「剣は使いモノににならねーが、銃は得意ってか」
三人が関心する中、新八と神楽は「おお~」と歓声を上げて銀時はというと相変わらず関心のなさそうな表情で見据えていた。
「これでも警察学校では射撃の成績はトップだったんです」
「あの見廻組の局長ともいい勝負じゃねーのか?」
「........見廻組の局長も銃を?」
構えていた銃を下ろして銀時を見れば、いつの間にか帰って来た山崎がひょっこり現れ笑顔で補足を加える。
「副長、一度だけ佐々木局長と遣り合った事があるんですよ。そりゃもう、どちらも一歩も譲らずーーー.....」
「山崎、テメー.....余計なこと話すんじゃねーぞ」
同じ組織でも結構、仲悪いのかな.......
まぁ、よくある話ではあるけど。銃撃戦以外では......
私が思ってたより案外物騒なのかも。この世界......
「.......とにかくだ。しばらくの間はアンタもここにいてもらう。勝手な行動は慎むことだな」
「分かってます。ただその前に、行っておきたい場所があるんですけどーーー.....」
ーーーーーーーーーーーーー
姿見の前で白いリボンを結んで、金の線が入った黒い背広に腕を通す。黒い短めのスカートに少々違和感を持ちつつも、黒い長めのソックスを履いて部屋の障子を開けた。
「名前の隊服カッコいいアル!」
「とっても似合ってますよ」
「これって喜んでいいものなの......?」
二人の褒め言葉に多少眉を潜めながらも、縁側に座る銀時がチラリとこちらを見上げて同じように眉を潜めたーーー。
「その隊服のセンスねぇわ。女出しすぎじゃねぇか?」
「私に言わないで」
「それ、松平のとっつぁんが用意したんでさァ。名前さんのために」
その声に振り返れば、首にアイマスクをかけた沖田が欠伸をしながら銀時たちの前に立つ。
「いや......私、このタイトスカートよりスラックスの方が動きやすいんだけど。そもそも仕事するときパンツスーツだったし」
「ただ単にオッサンの好みの問題アル」
「好みって......」
名前の呆れ顔で呟く表情を見つつ銀時が沖田に目を向けた。
「つーか、何か用あるんじゃねぇの?」
「あ、そうでした。一旦、屯所の外に出ても構いやせんがその都度、俺たち誰かが一緒に行動するようにと近藤さんからのお達しでさァ」
「別にあのババァのとこに行くんだ。俺らだけで大丈夫だっつーの」
「そういう訳にもいかないんでさァ、旦那。相手は幕府。また喧嘩売るつもりですかィ?」
「うるせー」
「"また"、って.....?」
沖田の意味深な言葉に名前が首を傾げて銀時をチラリと見据えるとそばに居た新八が苦笑いを浮かべるーーー。
「前に江戸城に乗り込んだ事があるんです。あの時は本当に打ち首かと思いましたよ......」
「打ち首!?アンタたち何してんの!?」
「おいっ......!依頼されたんだから仕方ねぇだろ。その話はどうでもいいからさっさと行くぞ」
ガシッと銀時の両肩を掴み驚いた表情を浮かべれば、当の本人は少し眉を潜めるがすぐに手を払い仕方なさそうに立ち上がり勝手に足を進めた。その様子に新八が歩いていく銀時の背中を見つめながらはぁ、と溜息をつく。
「元々は日輪さんと月詠さんが"吉原を助けたお礼がしたいから鈴蘭さんが会いたい"ってとこから始まったんです。江戸城にいる両思いの人を探して」
「昔は結構ベッピンさんの花魁だったらしいアル」
「そうなんだ......」
『この世界のお役人じゃなくても、星華ちゃんには星華ちゃんなりに出来る事はたくさんあると思うの。私たちも、この街の人もそうーーー。人のために自分で何か出来る事はとことんやるの』
『まぁ、新ちゃんもそうだけど銀さんや神楽ちゃんは、言い換えれば"お節介が過ぎる"、かしら?』
ふとお妙の言葉が頭を過ぎり、名前が銀時の去った中庭に目線を落とすーーー。
想い人のために幕府に乗り込むなんて......
でも私ならいくら警察の人間でも同じことしたかもーーー。
屯所の中庭で乾いた銃声が鳴り響き、名前が構えていた銃を下ろす。少し離れた距離にはど真ん中に穴が開いた藁の人形が二体。
「やっぱり松平のとっつぁんに話して正解だったな。いい腕してやがる」
「こりゃ、驚きやしたねィ」
「剣は使いモノににならねーが、銃は得意ってか」
三人が関心する中、新八と神楽は「おお~」と歓声を上げて銀時はというと相変わらず関心のなさそうな表情で見据えていた。
「これでも警察学校では射撃の成績はトップだったんです」
「あの見廻組の局長ともいい勝負じゃねーのか?」
「........見廻組の局長も銃を?」
構えていた銃を下ろして銀時を見れば、いつの間にか帰って来た山崎がひょっこり現れ笑顔で補足を加える。
「副長、一度だけ佐々木局長と遣り合った事があるんですよ。そりゃもう、どちらも一歩も譲らずーーー.....」
「山崎、テメー.....余計なこと話すんじゃねーぞ」
同じ組織でも結構、仲悪いのかな.......
まぁ、よくある話ではあるけど。銃撃戦以外では......
私が思ってたより案外物騒なのかも。この世界......
「.......とにかくだ。しばらくの間はアンタもここにいてもらう。勝手な行動は慎むことだな」
「分かってます。ただその前に、行っておきたい場所があるんですけどーーー.....」
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姿見の前で白いリボンを結んで、金の線が入った黒い背広に腕を通す。黒い短めのスカートに少々違和感を持ちつつも、黒い長めのソックスを履いて部屋の障子を開けた。
「名前の隊服カッコいいアル!」
「とっても似合ってますよ」
「これって喜んでいいものなの......?」
二人の褒め言葉に多少眉を潜めながらも、縁側に座る銀時がチラリとこちらを見上げて同じように眉を潜めたーーー。
「その隊服のセンスねぇわ。女出しすぎじゃねぇか?」
「私に言わないで」
「それ、松平のとっつぁんが用意したんでさァ。名前さんのために」
その声に振り返れば、首にアイマスクをかけた沖田が欠伸をしながら銀時たちの前に立つ。
「いや......私、このタイトスカートよりスラックスの方が動きやすいんだけど。そもそも仕事するときパンツスーツだったし」
「ただ単にオッサンの好みの問題アル」
「好みって......」
名前の呆れ顔で呟く表情を見つつ銀時が沖田に目を向けた。
「つーか、何か用あるんじゃねぇの?」
「あ、そうでした。一旦、屯所の外に出ても構いやせんがその都度、俺たち誰かが一緒に行動するようにと近藤さんからのお達しでさァ」
「別にあのババァのとこに行くんだ。俺らだけで大丈夫だっつーの」
「そういう訳にもいかないんでさァ、旦那。相手は幕府。また喧嘩売るつもりですかィ?」
「うるせー」
「"また"、って.....?」
沖田の意味深な言葉に名前が首を傾げて銀時をチラリと見据えるとそばに居た新八が苦笑いを浮かべるーーー。
「前に江戸城に乗り込んだ事があるんです。あの時は本当に打ち首かと思いましたよ......」
「打ち首!?アンタたち何してんの!?」
「おいっ......!依頼されたんだから仕方ねぇだろ。その話はどうでもいいからさっさと行くぞ」
ガシッと銀時の両肩を掴み驚いた表情を浮かべれば、当の本人は少し眉を潜めるがすぐに手を払い仕方なさそうに立ち上がり勝手に足を進めた。その様子に新八が歩いていく銀時の背中を見つめながらはぁ、と溜息をつく。
「元々は日輪さんと月詠さんが"吉原を助けたお礼がしたいから鈴蘭さんが会いたい"ってとこから始まったんです。江戸城にいる両思いの人を探して」
「昔は結構ベッピンさんの花魁だったらしいアル」
「そうなんだ......」
『この世界のお役人じゃなくても、星華ちゃんには星華ちゃんなりに出来る事はたくさんあると思うの。私たちも、この街の人もそうーーー。人のために自分で何か出来る事はとことんやるの』
『まぁ、新ちゃんもそうだけど銀さんや神楽ちゃんは、言い換えれば"お節介が過ぎる"、かしら?』
ふとお妙の言葉が頭を過ぎり、名前が銀時の去った中庭に目線を落とすーーー。
想い人のために幕府に乗り込むなんて......
でも私ならいくら警察の人間でも同じことしたかもーーー。