甘酸っぱい気持ち
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三人で新八の家を出れば、それを待っていたかの様に土方と沖田の姿を見つけその足を止める。
「げ.....何でアイツらがいるアルか?」
「見回り、ではなさそうですね....」
「............」
名前の隣にいた銀時も無言で立ち止まり、一瞬だけ目を細めていつもの表情に戻して二人に近づく。すると二人も三人に気づき、目の前に立ちふさがった。
「待ち伏せって....てめぇらストーカーか。あのゴリラと一緒かよ」
「うるせー。用があるのはテメーじゃねぇ。アンタだ」
「え?」
煙草を吸う土方の鋭い視線に名前が思わず一歩だけ後ずさりすれば、銀時が一歩、前に踏み出し眉を潜めるーーー。
「上から達しがあったんでさァ。名前さんが"反逆罪に関わる何らかの情報を持っている"って」
「昨日の晩、アンタ吉原に居ただろ?その吉原で密会が行われ、アンタがいたと何人もの証言があんだよ」
「ちょっ....待ってください!確かに吉原で幕府の人たちが居た中に私もいましたけど、あれは遊女として手伝ってくれって頼まれたからでーーー.....」
「なぁ。そのお上ってその密会にいた奴らじゃねぇのか?」
「............」
銀時の問いかけに土方がふぅっと煙草の煙を吐き出して一息つけば、表情を変えずに静かに呟く。
「......俺たちは幕府に仕える警察だ。名字名前、テメーならよくわかるだろ?」
『ーーー俺たち真選組は学も思想もねぇ頃、一から鍛え今の真選組を保ってんのと同じだ。理屈より感情が先走って動く連中も多い』
『ーーーそれでも江戸のため、将軍様のために江戸の街を守ってる。瀬崎さんには迷惑をかけたことは申し訳ないが、こちらの事情も把握してもらいたい』
「........そんなの、分かりたくもありません」
「名前さん.....」
新八と神楽が心配そうに見つめる中、銀時は横目で名前を見て本人は土方を鋭い眼差しで見返し、言葉を続けた。
「一緒にしないでください。私は警察手帳を手にした時から警察官、刑事であると決めました。もちろん、誇りも使命感もあります。.....私がその場にいた時は、確かに幕府の大老や老中がいました。でも、私はたまたまそこに居合わせただけで偶然、話を聞いただけです。.....この話を聞いて、幕府を信じるのか、私を信じるのか、どっちにします?」
「......あくまでたまたま話を聞いただけで、何の関与もしてねぇって事か?」
「................」
土方の問いかけに対して名前はそのままの表情で何も答えず、妙な空気の中で不意に銀時が口を開く。
「証人ならここにいるぜ?」
「僕もです」
「ワタシもアル!」
「みんな.....」
「ーーーだとさ。どうする?お巡りさん」
それぞれが一歩前に出て二人に呟けば、暖かい気持ちが一気に溢れ出して再び土方を見据えると、煙草の吸殻を地面に捨てて足で踏みつける。
「......ったく。誰もしょっ引こうなんざ言ってねぇ。俺たちはテメーらが思ってる事と一緒だ」
「まぁ、要するに土方さんが言いたいのはですねィ、俺たちは鼻から名前さんを疑ってないってことでさァ」
「え?」
「はぁ?」
思わぬ言葉に銀時と名前がきょとんとした表情を浮かべ、次の瞬間には神楽が青筋を浮かばせ二人に喰ってかかった。
「テメーら紛らわしい事言ってんじゃねーヨ!!最初っからそう言えヨ、バカヤロー!」
「じゃ.....土方さんたちもその幕府の人たちを疑ってるってことですか?」
「......だからだ。形式的には名字を屯所まで連れて来なきゃならねぇ」
「形式的、ねぇ....真選組で守れるって保障がある訳じゃねぇだろ?」
鼻をほじり呆れ顔で銀時が土方を見据え、名前がその横顔を見て思わず眉を潜めるーーー。
「この事で見廻組はまだ動いていやせん。今のうちに近藤さんに話して指示を仰いだ方が賢明だと思いますがねィ」
「だろうな。アイツらに勘付かれれば厄介だ」
「......見廻組ってーーー....」
「見廻組は同じ警察ですが、エリートで構成された組織です」
「エリート.......」
新八の補足に目を細めて土方と沖田を見ると、銀時がめんどくさそうに頭を掻く。
「まーた厄介な奴らの名前出してくんのな、お前ら.....」
「あれ?てっきり旦那とは仲がいいと思ってましたけど」
「ふざけんな。誰がメル友ヤローとーーー....」
「おい。テメーらいい加減、話し戻せ。とにかく屯所に戻って近藤さんに説明しろ」
信じる.....?
....いや。今の状況じゃ、何の確証も無いけど味方はいないより居た方がーーー.....
「.....あくまで、真選組を信じた訳ではないですけど、誰かの助けになるのであればいくらでもお話はします」
名前の言葉に土方は少しだけ苦虫を噛み潰したような表情を浮かべつつ舌打ちをして背中を見せた。
「納得いかない、って顔してましたね.....まぁ、警察内部で何が起こってるかなんて僕たちにはわからないもんね」
「だから怖いアル。アイツらたまに何考えてるかわからないネ」
二人の会話を横目に聞きつつ名前が銀時を見上げれば、小さい溜息を漏らして左手を懐に差し入れる仕草をする。
「どうせ俺が何言っても聞かねぇんだろ?」
「私、何も言ってないけど?」
「なーんかようやくお前の性格、わかった気がしたわ」
「そりゃ、どうも」
銀時にニコッと微笑み返して呟けば、面倒そうに舌打ちをして再び足を進めていった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ーーー俺が、ですか.....?」
屯所にいた山崎に着物を包んだ風呂敷を苦笑いで手渡し、土方が言葉を続ける。
「名字が吉原に届ける予定だったが行けそうにねぇ。だからザキ、テメーが代わりに届けに行って来い。ついでに日輪と月詠から話聞いて来い」
「お言葉ですけど、副長.....これでも俺、隠密の仕事がーーー....」
「すみません、山崎さん。お願いできますか?」
山崎の言葉を遮り、名前が申し訳なさそうに頭を下げればそれを見た山崎が慌てて背筋を伸ばして敬礼をした。
「いいい、いえ!!名前さんが謝ることはないですよ!この山崎退、名前さんのためなら吉原までひとっ走りして来ます!」
「テメー.....態度が全く違うじゃねぇか」
「そそそ、そんな事ないですよ!?じ、じゃ、行ってきますっ!」
「あははは」と苦笑いしながら眉を潜め青筋を浮かべる土方から逃げるように去って行くと、それを見ていた神楽が呆れた表情を浮かべ、新八が苦笑いで呟くーーー。
「......綺麗な女のお願いなら誰しも甘いアル」
「てめぇの目は節穴かァ?どこが綺麗ーーー....」
「銀さん.....名前さんに聞こえてます」
「............」
銀時に少し睨みながら顔を向ければ、すぐに都合が悪そうに目を逸らしてスタスタと一足先に屯所に入るが、その様子に見ていた沖田が真面目な表情で言葉を続けた。
「少なからず、名字さんは綺麗な方だと俺は思いますがねィ」
「......それ、お世辞にしか聞こえないんだけど」
「いやね。名前さん、意外と鋭いんで今から株上げておいた方がいいと思ったんでさァ」
「それ、褒めてないし......」
納得がいかないまま、名前たちはとりあえず屯所の中へと足を踏み入れたのだったーーー。
「げ.....何でアイツらがいるアルか?」
「見回り、ではなさそうですね....」
「............」
名前の隣にいた銀時も無言で立ち止まり、一瞬だけ目を細めていつもの表情に戻して二人に近づく。すると二人も三人に気づき、目の前に立ちふさがった。
「待ち伏せって....てめぇらストーカーか。あのゴリラと一緒かよ」
「うるせー。用があるのはテメーじゃねぇ。アンタだ」
「え?」
煙草を吸う土方の鋭い視線に名前が思わず一歩だけ後ずさりすれば、銀時が一歩、前に踏み出し眉を潜めるーーー。
「上から達しがあったんでさァ。名前さんが"反逆罪に関わる何らかの情報を持っている"って」
「昨日の晩、アンタ吉原に居ただろ?その吉原で密会が行われ、アンタがいたと何人もの証言があんだよ」
「ちょっ....待ってください!確かに吉原で幕府の人たちが居た中に私もいましたけど、あれは遊女として手伝ってくれって頼まれたからでーーー.....」
「なぁ。そのお上ってその密会にいた奴らじゃねぇのか?」
「............」
銀時の問いかけに土方がふぅっと煙草の煙を吐き出して一息つけば、表情を変えずに静かに呟く。
「......俺たちは幕府に仕える警察だ。名字名前、テメーならよくわかるだろ?」
『ーーー俺たち真選組は学も思想もねぇ頃、一から鍛え今の真選組を保ってんのと同じだ。理屈より感情が先走って動く連中も多い』
『ーーーそれでも江戸のため、将軍様のために江戸の街を守ってる。瀬崎さんには迷惑をかけたことは申し訳ないが、こちらの事情も把握してもらいたい』
「........そんなの、分かりたくもありません」
「名前さん.....」
新八と神楽が心配そうに見つめる中、銀時は横目で名前を見て本人は土方を鋭い眼差しで見返し、言葉を続けた。
「一緒にしないでください。私は警察手帳を手にした時から警察官、刑事であると決めました。もちろん、誇りも使命感もあります。.....私がその場にいた時は、確かに幕府の大老や老中がいました。でも、私はたまたまそこに居合わせただけで偶然、話を聞いただけです。.....この話を聞いて、幕府を信じるのか、私を信じるのか、どっちにします?」
「......あくまでたまたま話を聞いただけで、何の関与もしてねぇって事か?」
「................」
土方の問いかけに対して名前はそのままの表情で何も答えず、妙な空気の中で不意に銀時が口を開く。
「証人ならここにいるぜ?」
「僕もです」
「ワタシもアル!」
「みんな.....」
「ーーーだとさ。どうする?お巡りさん」
それぞれが一歩前に出て二人に呟けば、暖かい気持ちが一気に溢れ出して再び土方を見据えると、煙草の吸殻を地面に捨てて足で踏みつける。
「......ったく。誰もしょっ引こうなんざ言ってねぇ。俺たちはテメーらが思ってる事と一緒だ」
「まぁ、要するに土方さんが言いたいのはですねィ、俺たちは鼻から名前さんを疑ってないってことでさァ」
「え?」
「はぁ?」
思わぬ言葉に銀時と名前がきょとんとした表情を浮かべ、次の瞬間には神楽が青筋を浮かばせ二人に喰ってかかった。
「テメーら紛らわしい事言ってんじゃねーヨ!!最初っからそう言えヨ、バカヤロー!」
「じゃ.....土方さんたちもその幕府の人たちを疑ってるってことですか?」
「......だからだ。形式的には名字を屯所まで連れて来なきゃならねぇ」
「形式的、ねぇ....真選組で守れるって保障がある訳じゃねぇだろ?」
鼻をほじり呆れ顔で銀時が土方を見据え、名前がその横顔を見て思わず眉を潜めるーーー。
「この事で見廻組はまだ動いていやせん。今のうちに近藤さんに話して指示を仰いだ方が賢明だと思いますがねィ」
「だろうな。アイツらに勘付かれれば厄介だ」
「......見廻組ってーーー....」
「見廻組は同じ警察ですが、エリートで構成された組織です」
「エリート.......」
新八の補足に目を細めて土方と沖田を見ると、銀時がめんどくさそうに頭を掻く。
「まーた厄介な奴らの名前出してくんのな、お前ら.....」
「あれ?てっきり旦那とは仲がいいと思ってましたけど」
「ふざけんな。誰がメル友ヤローとーーー....」
「おい。テメーらいい加減、話し戻せ。とにかく屯所に戻って近藤さんに説明しろ」
信じる.....?
....いや。今の状況じゃ、何の確証も無いけど味方はいないより居た方がーーー.....
「.....あくまで、真選組を信じた訳ではないですけど、誰かの助けになるのであればいくらでもお話はします」
名前の言葉に土方は少しだけ苦虫を噛み潰したような表情を浮かべつつ舌打ちをして背中を見せた。
「納得いかない、って顔してましたね.....まぁ、警察内部で何が起こってるかなんて僕たちにはわからないもんね」
「だから怖いアル。アイツらたまに何考えてるかわからないネ」
二人の会話を横目に聞きつつ名前が銀時を見上げれば、小さい溜息を漏らして左手を懐に差し入れる仕草をする。
「どうせ俺が何言っても聞かねぇんだろ?」
「私、何も言ってないけど?」
「なーんかようやくお前の性格、わかった気がしたわ」
「そりゃ、どうも」
銀時にニコッと微笑み返して呟けば、面倒そうに舌打ちをして再び足を進めていった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ーーー俺が、ですか.....?」
屯所にいた山崎に着物を包んだ風呂敷を苦笑いで手渡し、土方が言葉を続ける。
「名字が吉原に届ける予定だったが行けそうにねぇ。だからザキ、テメーが代わりに届けに行って来い。ついでに日輪と月詠から話聞いて来い」
「お言葉ですけど、副長.....これでも俺、隠密の仕事がーーー....」
「すみません、山崎さん。お願いできますか?」
山崎の言葉を遮り、名前が申し訳なさそうに頭を下げればそれを見た山崎が慌てて背筋を伸ばして敬礼をした。
「いいい、いえ!!名前さんが謝ることはないですよ!この山崎退、名前さんのためなら吉原までひとっ走りして来ます!」
「テメー.....態度が全く違うじゃねぇか」
「そそそ、そんな事ないですよ!?じ、じゃ、行ってきますっ!」
「あははは」と苦笑いしながら眉を潜め青筋を浮かべる土方から逃げるように去って行くと、それを見ていた神楽が呆れた表情を浮かべ、新八が苦笑いで呟くーーー。
「......綺麗な女のお願いなら誰しも甘いアル」
「てめぇの目は節穴かァ?どこが綺麗ーーー....」
「銀さん.....名前さんに聞こえてます」
「............」
銀時に少し睨みながら顔を向ければ、すぐに都合が悪そうに目を逸らしてスタスタと一足先に屯所に入るが、その様子に見ていた沖田が真面目な表情で言葉を続けた。
「少なからず、名字さんは綺麗な方だと俺は思いますがねィ」
「......それ、お世辞にしか聞こえないんだけど」
「いやね。名前さん、意外と鋭いんで今から株上げておいた方がいいと思ったんでさァ」
「それ、褒めてないし......」
納得がいかないまま、名前たちはとりあえず屯所の中へと足を踏み入れたのだったーーー。