甘酸っぱい気持ち
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静かなかぶき町を息を切らしながら走り抜ける。目指す目的地は真選組の屯所とあって、地下遊郭の吉原からは少し離れた距離にあり、名前は足早に先を急ぐーーー。
「.....っもう!やっぱり着替えた方が良かったかな....」
文句を言いつつも裾の長い着物を持ち上げて走るが、不意に背後に気配を感じてチラリと横目で確かめる。すると三度笠を被った何人かの男がついて来るのが見え、走りつつ様子を窺った。
.....さっきからつけられてる?
やっぱりこの着物のせい、だよね?
「うぐっ.....!?」
突然、背後から腕を取られて口元を押さえられ、名前の身体が誰かの逞しい胸板に納まる。
えっ.....甘い、香り....?
薄暗い路地裏で微かに振り返ってみると、眉を潜めて険しい表情を浮かべる銀時の姿があったーーー。
「.....っ!」
「しっ!!静かに!少しの間黙ってろ」
理解出来ないまま銀時の言葉に控えめに頷けば、先ほどの男たちが二人のいる前を通り過ぎて足音が遠のく。それと同時にやっと名前の口元から手が離れ、大きく息を吸い込み呼吸を整えた。
「.....っ、はぁ~.....」
「やっと行ったか.....つーか、お前その格好でうろついたら目立つだろ」
「なっ.....勝手にしろって言ったのはそっちでしょ!?」
「てめぇを追いかけてた輩は幕府の奴らだ。大方、元から話の聞いた遊女を見張ってたってとこだろーよ」
「見張ってたってーーー....」
銀時の言葉に深く追求しようとした時、不意に腕を取られそのまま路地裏の奥へと引っ張られる。
「ちょっ.....!」
「黙ってついて来い。その格好は目立つ」
納得のいかないまま、入り組んだ複雑な路地裏を通り少し広い道に出ると目の前に大きなお屋敷が見え、名前はそれを見上げながら周りを見渡す。
そして銀時が何も言わずにお屋敷の中へ入っていき呼び鈴を鳴らすと、見慣れた人物が顔を覗かせ驚いた表情を浮かべた。
「あれ!?銀さん!?.....と、名前さんまでっ....どうしたんですか!?」
「ちーと人に追われててな。入れてくれねぇか?」
「それはいいですけど.....とりあえずどうぞ」
「ありがとう、新八くん」
名前が断りを入れて入ると、その間も腕を銀時に引かれたまま少し広い居間に通され中に入り座り込むとやっと一息つける状態になるーーー。
「お前の姉ちゃんは?」
「姉上なら仕事ですけど....それより二人ともどうしたんですか?」
新八くんにお姉さんがいたんだ.....
って、今はそんな事どうでもいい。
「話せば長くなるんだけどねーーー....」
事の経緯を簡単に伝えると、新八がお茶を出しつつ険しい表情を浮かべて近くに腰を下ろす。
「ーーー幕府がその装置を使って何かをしようとしてるって事ですか?」
「真選組の隊士もいたから、たぶん真選組も狙われてるんじゃないのかなって....」
「話はわかりましたけどーーー....っていうか、銀さん?そもそもなんで名前さんを吉原に行かせたんです?」
「待て待て!俺が行かせんじゃなくて、月詠が連れて行ったんだよ!」
「月詠さん、困ってたし、私が手伝うって言ったの。それで話を聞いて、真選組の人たちにも話しを耳に入れておいた方がいいと思って」
銀時に向けた硬い表情から、新八が苦笑いを名前に向けてふう、と深い溜息をついた。
「とにかく事情は分かりました。名前さんは一日泊まってってください。僕から姉上に伝えるので....。銀さんは万事屋に帰ってあげてください。神楽ちゃんが心配します」
「アイツなら心配いらねぇよ。それより追われてんのにお前らだけにできねぇだろ?」
「それはそうですけど.....」
「坂田さん、万事屋に帰ってあげて?さっきは助けてもらったし、朝になったらちゃんと帰るから」
名前が縁側に座る銀時に向き直り呟くが、当の本人は納得がいかない様子で頭を掻いて深い溜息を漏らす。
「....いや。朝になっても油断はできねぇって言ってんだよ。新八、てめぇもよくわかってんだろ?」
「まぁ....幕府の役人はしつこいですからね....用心した事に越したことはないですけど....」
「...........」
それって私が捕まり兼ねないって事....?
でも密会の現場に居合わせただけで遊女を捕まえるなんてーーー....
一瞬だけ沈黙が降りて無言になり、名前が短い溜息の後に顔を上げ、二人が名前を見据える。
「.....わかった。坂田さんの提案でいいよ。大体、私も幕府の役人がどういう人たちかまだ把握してないし。一人でいるより心強いでしょ?」
「.....ったく。素直じゃねぇな」
「うぅ.......」
「まぁ、まぁ.....とりあえず、布団敷いてきますね。名前さん、今日はゆっくり休んでください」
「ありがとう」と新八に伝えると苦笑いを浮かべて部屋を出て行き、名前が銀時の座る隣に腰を下ろした。
「.....助けてくれて、ありがと.....」
「なんだよ。急に....気持ち悪ィな」
「お礼言ったのに気持ち悪いって.....」
終始、目を合わせようとしない銀時に名前が眉を潜め、ムスっとした表情で前を見据えるがすぐに目を細めて目の前を見つめる。
「私ね、.....周りに"正義感が強すぎる"とか"お節介が過ぎる"とかよく言われるんだ。でもね、それは刑事だからとかそういう事じゃなくて、身体が勝手に動いちゃうんだ....。もちろん刑事で警察だっていう自覚はあるんだけど....。って、私なに語っちゃってるんだろ.....あははっ。ごめん.....」
「謝ることなんてねぇよ」
「え.....」
苦笑いを浮かべる名前に銀時がふっと鼻で笑い、その様子にキョトンとしながらも二人は目と目を合わせて銀時が言葉を続けた。
「天職だったんじゃねぇの?てめぇがどういう経緯で役人になったなんて知らねぇが、てめぇの性分に合ってると思うぜ?」
「........なーんか、調子狂うな....。坂田さんが認めてくれるなんて意外.....」
「お前な~....褒めてんのに調子狂うってーーー....」
呆れて顔を背けて頭を掻く銀時に名前がクスリと笑いつつ、不意に着物の袂 から二個の飴玉を取り出し一個を銀時に差し出す。
「あげる。今日助けてくれたお礼....。それに坂田さんにも迷惑かけたから」
「お前、いつも飴玉持ってんのな。つーかいい加減、その坂田さんって呼び方やめねぇか?」
そう言いながら差し出された飴玉を受け取り呟くと、名前がうーんと考える仕草をして思いついた様に銀時を見据えた。
「んー....じゃあ、銀さん....?」
「よくわかってんじゃねぇか。銀さんでも銀ちゃんでも好きに呼んでくれ」
「親近感が一気に縮まったねー、銀さーん!」
飴玉を頬張りながら嬉しそうに銀時の顔を覗き込む名前に、額をガシっと掴み身体を引き離す様子を布団を敷き終えた新八が部屋に入りづらそうに部屋の隙間から顔を覗かせていたのは言うまでもないーーー。
「いや.........この状況は入りづらいんですけどぉっ!!!」
「.....っもう!やっぱり着替えた方が良かったかな....」
文句を言いつつも裾の長い着物を持ち上げて走るが、不意に背後に気配を感じてチラリと横目で確かめる。すると三度笠を被った何人かの男がついて来るのが見え、走りつつ様子を窺った。
.....さっきからつけられてる?
やっぱりこの着物のせい、だよね?
「うぐっ.....!?」
突然、背後から腕を取られて口元を押さえられ、名前の身体が誰かの逞しい胸板に納まる。
えっ.....甘い、香り....?
薄暗い路地裏で微かに振り返ってみると、眉を潜めて険しい表情を浮かべる銀時の姿があったーーー。
「.....っ!」
「しっ!!静かに!少しの間黙ってろ」
理解出来ないまま銀時の言葉に控えめに頷けば、先ほどの男たちが二人のいる前を通り過ぎて足音が遠のく。それと同時にやっと名前の口元から手が離れ、大きく息を吸い込み呼吸を整えた。
「.....っ、はぁ~.....」
「やっと行ったか.....つーか、お前その格好でうろついたら目立つだろ」
「なっ.....勝手にしろって言ったのはそっちでしょ!?」
「てめぇを追いかけてた輩は幕府の奴らだ。大方、元から話の聞いた遊女を見張ってたってとこだろーよ」
「見張ってたってーーー....」
銀時の言葉に深く追求しようとした時、不意に腕を取られそのまま路地裏の奥へと引っ張られる。
「ちょっ.....!」
「黙ってついて来い。その格好は目立つ」
納得のいかないまま、入り組んだ複雑な路地裏を通り少し広い道に出ると目の前に大きなお屋敷が見え、名前はそれを見上げながら周りを見渡す。
そして銀時が何も言わずにお屋敷の中へ入っていき呼び鈴を鳴らすと、見慣れた人物が顔を覗かせ驚いた表情を浮かべた。
「あれ!?銀さん!?.....と、名前さんまでっ....どうしたんですか!?」
「ちーと人に追われててな。入れてくれねぇか?」
「それはいいですけど.....とりあえずどうぞ」
「ありがとう、新八くん」
名前が断りを入れて入ると、その間も腕を銀時に引かれたまま少し広い居間に通され中に入り座り込むとやっと一息つける状態になるーーー。
「お前の姉ちゃんは?」
「姉上なら仕事ですけど....それより二人ともどうしたんですか?」
新八くんにお姉さんがいたんだ.....
って、今はそんな事どうでもいい。
「話せば長くなるんだけどねーーー....」
事の経緯を簡単に伝えると、新八がお茶を出しつつ険しい表情を浮かべて近くに腰を下ろす。
「ーーー幕府がその装置を使って何かをしようとしてるって事ですか?」
「真選組の隊士もいたから、たぶん真選組も狙われてるんじゃないのかなって....」
「話はわかりましたけどーーー....っていうか、銀さん?そもそもなんで名前さんを吉原に行かせたんです?」
「待て待て!俺が行かせんじゃなくて、月詠が連れて行ったんだよ!」
「月詠さん、困ってたし、私が手伝うって言ったの。それで話を聞いて、真選組の人たちにも話しを耳に入れておいた方がいいと思って」
銀時に向けた硬い表情から、新八が苦笑いを名前に向けてふう、と深い溜息をついた。
「とにかく事情は分かりました。名前さんは一日泊まってってください。僕から姉上に伝えるので....。銀さんは万事屋に帰ってあげてください。神楽ちゃんが心配します」
「アイツなら心配いらねぇよ。それより追われてんのにお前らだけにできねぇだろ?」
「それはそうですけど.....」
「坂田さん、万事屋に帰ってあげて?さっきは助けてもらったし、朝になったらちゃんと帰るから」
名前が縁側に座る銀時に向き直り呟くが、当の本人は納得がいかない様子で頭を掻いて深い溜息を漏らす。
「....いや。朝になっても油断はできねぇって言ってんだよ。新八、てめぇもよくわかってんだろ?」
「まぁ....幕府の役人はしつこいですからね....用心した事に越したことはないですけど....」
「...........」
それって私が捕まり兼ねないって事....?
でも密会の現場に居合わせただけで遊女を捕まえるなんてーーー....
一瞬だけ沈黙が降りて無言になり、名前が短い溜息の後に顔を上げ、二人が名前を見据える。
「.....わかった。坂田さんの提案でいいよ。大体、私も幕府の役人がどういう人たちかまだ把握してないし。一人でいるより心強いでしょ?」
「.....ったく。素直じゃねぇな」
「うぅ.......」
「まぁ、まぁ.....とりあえず、布団敷いてきますね。名前さん、今日はゆっくり休んでください」
「ありがとう」と新八に伝えると苦笑いを浮かべて部屋を出て行き、名前が銀時の座る隣に腰を下ろした。
「.....助けてくれて、ありがと.....」
「なんだよ。急に....気持ち悪ィな」
「お礼言ったのに気持ち悪いって.....」
終始、目を合わせようとしない銀時に名前が眉を潜め、ムスっとした表情で前を見据えるがすぐに目を細めて目の前を見つめる。
「私ね、.....周りに"正義感が強すぎる"とか"お節介が過ぎる"とかよく言われるんだ。でもね、それは刑事だからとかそういう事じゃなくて、身体が勝手に動いちゃうんだ....。もちろん刑事で警察だっていう自覚はあるんだけど....。って、私なに語っちゃってるんだろ.....あははっ。ごめん.....」
「謝ることなんてねぇよ」
「え.....」
苦笑いを浮かべる名前に銀時がふっと鼻で笑い、その様子にキョトンとしながらも二人は目と目を合わせて銀時が言葉を続けた。
「天職だったんじゃねぇの?てめぇがどういう経緯で役人になったなんて知らねぇが、てめぇの性分に合ってると思うぜ?」
「........なーんか、調子狂うな....。坂田さんが認めてくれるなんて意外.....」
「お前な~....褒めてんのに調子狂うってーーー....」
呆れて顔を背けて頭を掻く銀時に名前がクスリと笑いつつ、不意に着物の
「あげる。今日助けてくれたお礼....。それに坂田さんにも迷惑かけたから」
「お前、いつも飴玉持ってんのな。つーかいい加減、その坂田さんって呼び方やめねぇか?」
そう言いながら差し出された飴玉を受け取り呟くと、名前がうーんと考える仕草をして思いついた様に銀時を見据えた。
「んー....じゃあ、銀さん....?」
「よくわかってんじゃねぇか。銀さんでも銀ちゃんでも好きに呼んでくれ」
「親近感が一気に縮まったねー、銀さーん!」
飴玉を頬張りながら嬉しそうに銀時の顔を覗き込む名前に、額をガシっと掴み身体を引き離す様子を布団を敷き終えた新八が部屋に入りづらそうに部屋の隙間から顔を覗かせていたのは言うまでもないーーー。
「いや.........この状況は入りづらいんですけどぉっ!!!」