苛立ちを覚えつつも、名前の部屋の前に立つ。
ドアを開けると、外を眺める悲しい表情の女が目に入り、しばらくしてようやく目線が合った。


「あ、...」
「自分の身は自分で守れると言ったな」
「...はい」
「女のお守りなんざ、真っ平ゴメンだ」
「......」



やっぱり、ダメか...



一瞬で名前の表情が重くなり俯かせる。
クルリと背中を見せて煙草に火をつけて煙を吐き出した。


「......明日の朝にこの村を出る。早く寝ろ。起こすの面倒なんだよ」
「え......」


ぶっきら棒なセリフを残して三蔵が部屋を出て行くと、その場には煙草の香りと微かな紫煙が残るーーー。



ーーーん？

これって...

一緒に行っていいってこと？

.........って、わかりづらい！！



「......てめぇら、何盗み聞きしてんだぁ、コラぁ」


部屋を出ると3人が待ち構え、悟浄が煙草を吹かしながらニヤっと笑う。


「名前ちゃん、ちゃんと伝わったかねぇ？」
「どうでしょう...三蔵は少し言葉が足りたい時がありますから」
「やったぁーー！明日から名前と一緒に旅出来んだな！？」



パァン！パァン！



「てめぇらいい加減、自分の部屋戻りやがれぇ！！」



「あ......また銃声鳴った」



部屋の中でドアに目を向けポツリと呟くと、自然と笑顔が溢れ微笑んでいた。