想望の先
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コンコン.......
ドアをノックするが返事はなく。名前は躊躇なく部屋のドアを開けて中へと足を踏み入れた。
「......三蔵?」
部屋の中で窓の外を見つめながら煙草の煙を吐き出す三蔵の姿が目に入り、名前がそばにあったベッドの隅に腰を下ろす。すると三蔵が煙草を灰皿に押し付け、横目で名前を見据える。
「なんだ?」
「三蔵のお師匠様のこと.....聞かせてくれる?」
「...............」
振り返った三蔵と名前との瞳が合い、名前の表情は悲しいというよりは切ない表情と言った方が正しいだろうーーー。
それを見て三蔵が黙って隣に腰を下ろして、再び煙草に火をつけ煙を燻らせた。
「....."無一物"って言葉、知ってるか?」
「無一物....?」
「"仏に会えば仏を殺せ、祖に会えば祖を殺せ。何者にも囚われず縛られず、ただあるがままに己を生きること".....俺の師が残した言葉だ」
「..........」
「13のとき....玄奘三蔵の法名を与えた夜、妖怪が師を殺し、俺は何も守れなかった。その時、師が持っていた魔天経文も奪われ、後に俺は金山寺を下りた」
そう言って三蔵が懐から昇霊銃を取り出しそれを眺め、名前がその昇霊銃に目を向けた。
「.....その銃って、その時から使ってるの?」
「てめぇも見ただろ。てめぇが持ってる札と同じ、妖怪を撃てば一発で灰になる。俺が金山寺を下りる際、これだけを持ってきた」
すると不意に名前が三蔵の肩に額をくっつけ、大きく溜息を吐き出せば三蔵がその様子に眉を潜める。
「ごめんーーー....話してくれてありがとう.....」
「チッ....なんでてめぇが泣いてんだ」
「だって、....三蔵から初めて聞いたから....大切な人のこと....」
煙草を持っていないもう片方の手で、名前の頭を引き寄せて胸に埋め、その瞬間には名前の微かにすすり泣く声が響くーーー。
「.....めんどくせぇ」
「うぅ.....ひどい....」
言葉とは裏腹に三蔵の大きな胸とその支える優しい腕に名前はしばらくの間、身を預けていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
いつの間にか眠ったのか、まどろみから目が覚めて見上げればすうっと寝息を立てて眠る三蔵の姿が目に入るーーー。
寝顔、.....初めて見た。
綺麗ーーー....
一瞬、その寝顔に見惚れるがすぐに身体をゆっくり起こし、月明かりが差し込む窓の外に目を向けると、宿の軒先に咲くたんぽぽを見つけ窓辺に肘を預けた。
「......さっさと寝ろ」
「!」
不意に背後から声が聞こえ振り返れば、三蔵が身体を起こしてベッドに肩肘を付く体勢で見つめ、名前は苦笑いを浮かべたーーー。
「あ、ごめん....起こしちゃって....」
「相変わらず黙って寝れねぇのか」
「ねぇ、三蔵.....たんぽぽの花言葉って知ってる?」
「"神託"。それがどうした」
三蔵が答えた瞬間、名前が驚いた表情で顔を覗かせてその表情に眉を潜め、近くにあった煙草を取り出し火をつける。
「なんだ」
「いや、たんぽぽの花言葉、知ってるなんて意外だなって思って」
「チッ.....余計なお世話だ」
名前が軽く微笑み再び窓の外に目を向けて少しずつ呟く。
「.....子供の頃ね、兄とよく家の庭でたんぽぽを摘んで遊んでたことがあって。たんぽぽの花言葉でも"愛の神託 "って言葉があるくらい、人間とすごく似てるって思ったんだ。家族と一緒にいれることが、その言葉通りだなってーーー....」
「後悔してるか?てめぇが決めたことに」
「後悔はしてない。悲しいのは確かだけど、.....もう決めたことだから。前にも三蔵に言ったでしょ?」
『......離れたく、ない......三蔵の悲しいものも一緒に...』
『あの時、三蔵に想いを伝える前から...私はもうとっくに背負ってたよ......三蔵もそうでしょ?』
背負ってる、か.....
前からわかってた様な口利きやがってーーー。
ふと軽く頬を緩ませる三蔵を見て、名前が眉を潜めてベッドに手を付き、そっと近づいた瞬間ーーー。
ボンッ!
「「!!」」
二人の間にコマがちょこんと姿を現し、二人を交互に見て三蔵のそばで身体を丸めて横になりその姿に名前がクスリと笑い、三蔵はチッと舌打ちをするが当の本人は嫌がる様子を見せずにいたのだったーーー。
ドアをノックするが返事はなく。名前は躊躇なく部屋のドアを開けて中へと足を踏み入れた。
「......三蔵?」
部屋の中で窓の外を見つめながら煙草の煙を吐き出す三蔵の姿が目に入り、名前がそばにあったベッドの隅に腰を下ろす。すると三蔵が煙草を灰皿に押し付け、横目で名前を見据える。
「なんだ?」
「三蔵のお師匠様のこと.....聞かせてくれる?」
「...............」
振り返った三蔵と名前との瞳が合い、名前の表情は悲しいというよりは切ない表情と言った方が正しいだろうーーー。
それを見て三蔵が黙って隣に腰を下ろして、再び煙草に火をつけ煙を燻らせた。
「....."無一物"って言葉、知ってるか?」
「無一物....?」
「"仏に会えば仏を殺せ、祖に会えば祖を殺せ。何者にも囚われず縛られず、ただあるがままに己を生きること".....俺の師が残した言葉だ」
「..........」
「13のとき....玄奘三蔵の法名を与えた夜、妖怪が師を殺し、俺は何も守れなかった。その時、師が持っていた魔天経文も奪われ、後に俺は金山寺を下りた」
そう言って三蔵が懐から昇霊銃を取り出しそれを眺め、名前がその昇霊銃に目を向けた。
「.....その銃って、その時から使ってるの?」
「てめぇも見ただろ。てめぇが持ってる札と同じ、妖怪を撃てば一発で灰になる。俺が金山寺を下りる際、これだけを持ってきた」
すると不意に名前が三蔵の肩に額をくっつけ、大きく溜息を吐き出せば三蔵がその様子に眉を潜める。
「ごめんーーー....話してくれてありがとう.....」
「チッ....なんでてめぇが泣いてんだ」
「だって、....三蔵から初めて聞いたから....大切な人のこと....」
煙草を持っていないもう片方の手で、名前の頭を引き寄せて胸に埋め、その瞬間には名前の微かにすすり泣く声が響くーーー。
「.....めんどくせぇ」
「うぅ.....ひどい....」
言葉とは裏腹に三蔵の大きな胸とその支える優しい腕に名前はしばらくの間、身を預けていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
いつの間にか眠ったのか、まどろみから目が覚めて見上げればすうっと寝息を立てて眠る三蔵の姿が目に入るーーー。
寝顔、.....初めて見た。
綺麗ーーー....
一瞬、その寝顔に見惚れるがすぐに身体をゆっくり起こし、月明かりが差し込む窓の外に目を向けると、宿の軒先に咲くたんぽぽを見つけ窓辺に肘を預けた。
「......さっさと寝ろ」
「!」
不意に背後から声が聞こえ振り返れば、三蔵が身体を起こしてベッドに肩肘を付く体勢で見つめ、名前は苦笑いを浮かべたーーー。
「あ、ごめん....起こしちゃって....」
「相変わらず黙って寝れねぇのか」
「ねぇ、三蔵.....たんぽぽの花言葉って知ってる?」
「"神託"。それがどうした」
三蔵が答えた瞬間、名前が驚いた表情で顔を覗かせてその表情に眉を潜め、近くにあった煙草を取り出し火をつける。
「なんだ」
「いや、たんぽぽの花言葉、知ってるなんて意外だなって思って」
「チッ.....余計なお世話だ」
名前が軽く微笑み再び窓の外に目を向けて少しずつ呟く。
「.....子供の頃ね、兄とよく家の庭でたんぽぽを摘んで遊んでたことがあって。たんぽぽの花言葉でも"愛の
「後悔してるか?てめぇが決めたことに」
「後悔はしてない。悲しいのは確かだけど、.....もう決めたことだから。前にも三蔵に言ったでしょ?」
『......離れたく、ない......三蔵の悲しいものも一緒に...』
『あの時、三蔵に想いを伝える前から...私はもうとっくに背負ってたよ......三蔵もそうでしょ?』
背負ってる、か.....
前からわかってた様な口利きやがってーーー。
ふと軽く頬を緩ませる三蔵を見て、名前が眉を潜めてベッドに手を付き、そっと近づいた瞬間ーーー。
ボンッ!
「「!!」」
二人の間にコマがちょこんと姿を現し、二人を交互に見て三蔵のそばで身体を丸めて横になりその姿に名前がクスリと笑い、三蔵はチッと舌打ちをするが当の本人は嫌がる様子を見せずにいたのだったーーー。