想望の先
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静かに宿の外に出れば、妙な静けさに余計に胸が締め付けられ、菩薩様が片手で手招きをする。周りは時が止まったかのように不思議な空間に変わっていたーーー。
「さて....準備はいいか?本当に伝えなくてもいいんだな?」
『ーーー三蔵たちには何も伝えないでください。その方が、辛くないですから.....どこに行ったのかも言わないでほしいんです』
「....はい。もう決めたことなので」
「そうか。じゃ、目瞑れ」
そっと目を瞑れば菩薩様の指の先が名前の額に触れて、その部分が暖かく感じ取れるのがわかる。
みんな、ごめんねーーー....
「ーーー名前!!」
「.....っ!」
不意に悟空の声が背後から響き渡り、思わず目を開き肩が震えて振り返る。すると悟空が一枚の紙を握り締めて立ち、その後ろには三人が立っていた。
「な.....んで、.....」
「ふっ。....やっぱり来ると思ってたぜ」
「え......」
菩薩様の言葉に目を丸くしていると悟空が持っていた紙を丸めて地面へと投げつけるーーー。
「何だよっ、この手紙っ......」
「悟空っ.....」
「勝手にいなくなるなんてっ....俺は絶対イヤだ!!」
「悟空....少し落ち着いてください」
握り拳を作る悟空を八戒が声をかけて宥め、三蔵はといえば煙草の煙を燻らせたまま名前を見ることはなく....。
「名前ちゃん、このバカ坊主が余計なこと言ったみたいだけどそれって本心、....じゃないよね?」
「その言葉......そっくりそのまま玄奘三蔵に返してやりな」
「菩薩様っーーー.....」
名前が答える前に菩薩様がすべてお見通しかのように答え、思わず三蔵に目を向けた。
「てめぇら.....黙って聞いてればーーー....」
「"俺は生まれて死ぬまで俺だけの味方".....今でも名字名前の前でそんな事が言えんのか?」
「変わねぇよ。俺の味方は自分自身だ。だが.......」
言葉を途切れさせ煙草の煙を吐き出すと、三蔵が眉を潜めながら三人をすり抜けて名前に歩み寄り不意に腕を取って自身の胸に引き寄せ、その行動に名前が思わず目を見開き三蔵を見上げる。
「.....っ!?」
「.....だが、こいつは別だ」
「え、......帰れって言っーーー.....」
「気が変わった」
「まー.....我儘 な大将だな....」
「うるせぇ」
悟浄が呆れたように笑い、八戒も同じく微笑み、状況の掴めない悟空と名前は呆気に取られるばかりだ。すると悟空が不意にしゃがみ込み頭を抱えながら大きく溜息を漏らす。
「はぁ~~~......何なんだよ.....訳わっかんねっ!!みんなして知ってたのかよ!?」
「......どういう事?」
「まぁ、三蔵がこのまま名前さんを帰そうなんて事はないという事は大体はわかっていましたけど....」
「あはは....まぁ、あの三蔵様、だからね~」
最初から帰らせないつもりで....?
ーーー本当、....素直じゃない.....
苦笑いを浮かべながら呟く悟浄に三蔵がすかさず銃口を向ければ、同じく苦笑いする八戒の後ろにさり気なく隠す。その会話を聞いていた菩薩様が一歩、名前と三蔵の前に歩み寄り目線を合わせた。
「.....て、ことで。名字名前、コイツらの言い分を聞いてお前はどうしたい?」
「菩薩様は、.....こうなることを知ってたんですか?」
「ふ。さぁな....。少なからず俺の手は煩 わせてねーけどな」
「元はといえばクソババアが余計なことを言うからだろーが」
「玄奘三蔵、口の利き方には気をつけるんだな」
青筋を浮かべながら言う菩薩様に、名前が三蔵から一旦離れて向き直り言葉を続ける。
「......私の願いは、最初からみんなと一緒にいることです。それには迷いはありません」
「そうか。なら、一つだけ教えてやるよ。名字名前、てめぇがなんでこの世界に来たのか.....」
「私が.....来た、理由....?」
「"後悔の念"、だよ。名字名前の両親を守れなかった念と、玄奘三蔵の光明三蔵を守れなかった念が偶然、重なり合ったってとこか....」
菩薩様から"光明三蔵"の言葉が出た瞬間、三蔵の他に三人の表情が曇り、名前が隣にいた三蔵を心配そうに見上げた。
「.....光明三蔵ってーーー....」
「玄奘三蔵の師であり、育ての親と言っていい。玄奘三蔵が三蔵の法名を与えられた夜に、妖怪に襲われ魔天経文を守ろうとして死んだんだよ」
「殺されたって.......みんな、知ってたの.....?」
「..............」
誰も何も答えず、三蔵に至っては背中を見せて煙草の煙を燻らすだけでーーー。
「話してねぇのか.....ま、俺が言わずとも後々知ることになっただろうけどな。じゃ、あとはてめぇらで話せ」
そう言って菩薩様がすうっと消えていなくなれば、三蔵が何も言わずに宿へと歩き出すと名前が引きとめようと手を伸ばす。
「三蔵っーーー....」
「名前さん、今はそっとしておいてくれませんか?」
「でもっ......」
切ない笑みを浮かべる八戒に名前は追いかけるのを止め、三蔵の背中を黙って見送るしか出来なかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
宿の名前の自室に戻った四人だが、名前が八戒が淹れたお茶を受け取り、最初に呟いたのは八戒だった。
「僕たちも直接、三蔵からその話を聞いた訳じゃないんです」
「それって.....」
「ま、俺たちも互いに過去なんて語る連中でもないし」
「.....俺は嬉しかった!名前が俺たちに話してくれたこと」
今まで黙っていた悟空が椅子に座り、俯きながらそれでいて照れくさそうに呟き、名前が薄く微笑む。
「ありがとう、悟空。でも三蔵の気持ちもわからなくでもないよ?私、....本当は話すつもりはなかった....だから、三蔵も同じ気持ちだったんじゃないのかな.....」
「想ってるからこそ、言えない事もあると思いますよ」
八戒の何気ない言葉がジワリと心に響き、思わず名前が照れくさそうに俯くーーー。
「あの三蔵様がそんなキザな事考えるか~?」
「わかりませんよ?先ほどの行動を見れば明白です」
「あ、あのっ....私、やっぱり話してくる!」
俯いたまますっと立ち上がりそう断言すれば、わかっていたかの様に二人が微笑み返し、座っていた悟空が振り向かずにポツリと呟いた。
「仲直り....出来るよな?」
「.....あはは。意見が食い違っただけで元々、ケンカはしてないんだけどね。行ってくる」
名前は悟空の問いに苦笑いを浮かべてゆっくりと部屋をあとにしたのだった。
「さて....準備はいいか?本当に伝えなくてもいいんだな?」
『ーーー三蔵たちには何も伝えないでください。その方が、辛くないですから.....どこに行ったのかも言わないでほしいんです』
「....はい。もう決めたことなので」
「そうか。じゃ、目瞑れ」
そっと目を瞑れば菩薩様の指の先が名前の額に触れて、その部分が暖かく感じ取れるのがわかる。
みんな、ごめんねーーー....
「ーーー名前!!」
「.....っ!」
不意に悟空の声が背後から響き渡り、思わず目を開き肩が震えて振り返る。すると悟空が一枚の紙を握り締めて立ち、その後ろには三人が立っていた。
「な.....んで、.....」
「ふっ。....やっぱり来ると思ってたぜ」
「え......」
菩薩様の言葉に目を丸くしていると悟空が持っていた紙を丸めて地面へと投げつけるーーー。
「何だよっ、この手紙っ......」
「悟空っ.....」
「勝手にいなくなるなんてっ....俺は絶対イヤだ!!」
「悟空....少し落ち着いてください」
握り拳を作る悟空を八戒が声をかけて宥め、三蔵はといえば煙草の煙を燻らせたまま名前を見ることはなく....。
「名前ちゃん、このバカ坊主が余計なこと言ったみたいだけどそれって本心、....じゃないよね?」
「その言葉......そっくりそのまま玄奘三蔵に返してやりな」
「菩薩様っーーー.....」
名前が答える前に菩薩様がすべてお見通しかのように答え、思わず三蔵に目を向けた。
「てめぇら.....黙って聞いてればーーー....」
「"俺は生まれて死ぬまで俺だけの味方".....今でも名字名前の前でそんな事が言えんのか?」
「変わねぇよ。俺の味方は自分自身だ。だが.......」
言葉を途切れさせ煙草の煙を吐き出すと、三蔵が眉を潜めながら三人をすり抜けて名前に歩み寄り不意に腕を取って自身の胸に引き寄せ、その行動に名前が思わず目を見開き三蔵を見上げる。
「.....っ!?」
「.....だが、こいつは別だ」
「え、......帰れって言っーーー.....」
「気が変わった」
「まー.....
「うるせぇ」
悟浄が呆れたように笑い、八戒も同じく微笑み、状況の掴めない悟空と名前は呆気に取られるばかりだ。すると悟空が不意にしゃがみ込み頭を抱えながら大きく溜息を漏らす。
「はぁ~~~......何なんだよ.....訳わっかんねっ!!みんなして知ってたのかよ!?」
「......どういう事?」
「まぁ、三蔵がこのまま名前さんを帰そうなんて事はないという事は大体はわかっていましたけど....」
「あはは....まぁ、あの三蔵様、だからね~」
最初から帰らせないつもりで....?
ーーー本当、....素直じゃない.....
苦笑いを浮かべながら呟く悟浄に三蔵がすかさず銃口を向ければ、同じく苦笑いする八戒の後ろにさり気なく隠す。その会話を聞いていた菩薩様が一歩、名前と三蔵の前に歩み寄り目線を合わせた。
「.....て、ことで。名字名前、コイツらの言い分を聞いてお前はどうしたい?」
「菩薩様は、.....こうなることを知ってたんですか?」
「ふ。さぁな....。少なからず俺の手は
「元はといえばクソババアが余計なことを言うからだろーが」
「玄奘三蔵、口の利き方には気をつけるんだな」
青筋を浮かべながら言う菩薩様に、名前が三蔵から一旦離れて向き直り言葉を続ける。
「......私の願いは、最初からみんなと一緒にいることです。それには迷いはありません」
「そうか。なら、一つだけ教えてやるよ。名字名前、てめぇがなんでこの世界に来たのか.....」
「私が.....来た、理由....?」
「"後悔の念"、だよ。名字名前の両親を守れなかった念と、玄奘三蔵の光明三蔵を守れなかった念が偶然、重なり合ったってとこか....」
菩薩様から"光明三蔵"の言葉が出た瞬間、三蔵の他に三人の表情が曇り、名前が隣にいた三蔵を心配そうに見上げた。
「.....光明三蔵ってーーー....」
「玄奘三蔵の師であり、育ての親と言っていい。玄奘三蔵が三蔵の法名を与えられた夜に、妖怪に襲われ魔天経文を守ろうとして死んだんだよ」
「殺されたって.......みんな、知ってたの.....?」
「..............」
誰も何も答えず、三蔵に至っては背中を見せて煙草の煙を燻らすだけでーーー。
「話してねぇのか.....ま、俺が言わずとも後々知ることになっただろうけどな。じゃ、あとはてめぇらで話せ」
そう言って菩薩様がすうっと消えていなくなれば、三蔵が何も言わずに宿へと歩き出すと名前が引きとめようと手を伸ばす。
「三蔵っーーー....」
「名前さん、今はそっとしておいてくれませんか?」
「でもっ......」
切ない笑みを浮かべる八戒に名前は追いかけるのを止め、三蔵の背中を黙って見送るしか出来なかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
宿の名前の自室に戻った四人だが、名前が八戒が淹れたお茶を受け取り、最初に呟いたのは八戒だった。
「僕たちも直接、三蔵からその話を聞いた訳じゃないんです」
「それって.....」
「ま、俺たちも互いに過去なんて語る連中でもないし」
「.....俺は嬉しかった!名前が俺たちに話してくれたこと」
今まで黙っていた悟空が椅子に座り、俯きながらそれでいて照れくさそうに呟き、名前が薄く微笑む。
「ありがとう、悟空。でも三蔵の気持ちもわからなくでもないよ?私、....本当は話すつもりはなかった....だから、三蔵も同じ気持ちだったんじゃないのかな.....」
「想ってるからこそ、言えない事もあると思いますよ」
八戒の何気ない言葉がジワリと心に響き、思わず名前が照れくさそうに俯くーーー。
「あの三蔵様がそんなキザな事考えるか~?」
「わかりませんよ?先ほどの行動を見れば明白です」
「あ、あのっ....私、やっぱり話してくる!」
俯いたまますっと立ち上がりそう断言すれば、わかっていたかの様に二人が微笑み返し、座っていた悟空が振り向かずにポツリと呟いた。
「仲直り....出来るよな?」
「.....あはは。意見が食い違っただけで元々、ケンカはしてないんだけどね。行ってくる」
名前は悟空の問いに苦笑いを浮かべてゆっくりと部屋をあとにしたのだった。