ふわふわする...

もう誰の声も聞こえない。

あれ...でも地面の上だ...



「ーーーぶですか！？」
「おい！生きてるか！？おい！」



ーーー声が聞こえる。

男の、人......？



仰向けの状態で薄く目を開く。
焦点が合わさると、金色の目をした幼い男の子が目に止まる。


「...っ...そ、...ご、くう...？」
「お前...俺を知ってんのか？」
「悟空、少し離れていてください。治療するので」
「あ、悪ぃ」


悟空が名前の視線から外れると、その背後には煙草の紫煙をくゆらせ、白い法衣に身を包む金髪の男性ーーー...


「さん、ぞ...」


三蔵の目が一瞬見開かれ、名前は手を伸ばすがそのまま地面へと落ちる。


「死んじゃったのか！？なぁ八戒！」
「...大丈夫ですよ、悟空。気を失っただけですから」
「...よかったぁ～」
「なぁ、そのお嬢ちゃん。俺たちの事知ってたっぽいよな」
「ええ。悟浄の言うように、名前を呟いてましたね」


3人が三蔵を見据え、八戒は苦笑いを浮かべ言葉を続けた。


「さて...どうしましょうか」
「ほっとけ。時間が経ったら勝手に目ぇ覚めるだろ」
「女の子、見捨てるなんて天下の三蔵サマが聞いて呆れるぜ」
「勝手にほざいてろ。この女がどうなろうか知ったことか」


呆れる2人に対して悟空だけは、足早に去る三蔵の腕をつかみ止めさせた。


「三蔵っ！女の子ひとりじゃ危ねーよ！妖怪にでも襲われたらどーすんだよ！」
「悟空の言う事も一理ありますね。次の村まで乗せて行くまでの事はしてあげていいんじゃないですか？三蔵」
「......」


溜息交じりに煙草の紫煙を吐きだし、小さくチッと舌打ちを漏らす。そして煙草を地面に落とし、靴で踏み消した。



ーーー胸糞悪ぃな...。

とんだお人好しだ。



「......勝手にしろ。俺は面倒ごとは真っ平ごめんだ」
「さっすが三蔵！！そうこなくちゃなっ！」
「まぁ、とりあえず俺が運んで......」



パァーッン！！



悟浄が抱きかかえようと近づいた瞬間、銃声が鳴り響き悟浄が後ろに仰け反る。


「うぉっ！？...って危ねーじゃねーか！腐れ坊主！」
「うるせーよ。...八戒、」
「...わかりました。運びましょうか」



ーーーホント、胸糞悪ぃな。