大切な人を奪われた時、考えるのは...
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宿の店先でボーッと壁に背を向けて空を仰ぐ。
悟空と悟浄の部屋決めの口論を片隅に聞きながら溜息をするーーー。
「少し落ち着きましたか?」
「...うん。急にビックリしたよね...ごめん」
「いいえ。少なくとも、名前さんの過去のお話は知っていましたから」
「えーーー...」
「すみません。悟空も三蔵もあの時、狸寝入りしてたんです」
......確信犯!!
八戒は苦笑いを浮かべ目線を名前から離し、遠くを見つめた。
「僕にもいたんです。大切な人が......」
「大切、な人...?」
「ええ。...花喃(カナン)は僕の大切な人でした。でも守れなかった......」
「......」
ーーーみんな、大切な人を失って......
「...だからでしょうか。三蔵たちや名前さんといると、放って置けないくらいお節介になってしまうんです」
その八戒の笑顔がとても悲しくて、名前は目を逸らして俯くーーー。
「今は......私、みんながいて寂しいとは思ってないよ。私は八戒のお節介も好き」
「ありがとうございます。...褒め言葉、と取っておきましょう」
今度は悲しい笑顔ではなく、心の底から笑う八戒に名前は満面の笑みを浮かべた。
夕方、ひとり名前は宿から鳥居のある神社まで足を運んでいた。
その社殿の前の参道には、見た事のない変わった赤い実のなる木々が並ぶーーー。
「......赤い実...何の実だろ...」
「その実は触っちゃダメだよ!!」
「えっ......」
男の子の声にビクリと肩が跳ね上がり振り返ると、10歳くらいの男の子が険悪な表情で立ってた。
「その赤い実は人間を喰らうんだ!お姉ちゃん、食べられちゃうよ!...お姉ちゃんは旅の人?」
「うん。そうだけど...君は?」
「俺は天籟(テンライ)。この神社の神使の妖怪に妹を殺されたんだ...」
「......殺された!?」
かつて神使は神の代行として人間と接触が許される神の使いーーー...
現世だと動物がほとんどたけど、ここでは妖怪なんだ...
天籟の表情が泣きそうに変わり、名前は近くの縁台に腰を下ろして話を聞くことにした。
「最近、妖怪ぎ暴れだしてここの村も襲われる事が多くなったんだ。...その矢先にこの神社の神使の妖怪も暴れだして...」
「...おじいちゃんが言ってたんだ。昔は妖怪も人間も一緒に住んでて、この神社もちゃんと機能してたんだって。でも、今は......」
「おや?天籟、ここで何をしているんだい?」
「!......神主様...」
声を掛けた方に目を向けると、狩衣に身を包んでいる老人が立っていたーーー...
悟空と悟浄の部屋決めの口論を片隅に聞きながら溜息をするーーー。
「少し落ち着きましたか?」
「...うん。急にビックリしたよね...ごめん」
「いいえ。少なくとも、名前さんの過去のお話は知っていましたから」
「えーーー...」
「すみません。悟空も三蔵もあの時、狸寝入りしてたんです」
......確信犯!!
八戒は苦笑いを浮かべ目線を名前から離し、遠くを見つめた。
「僕にもいたんです。大切な人が......」
「大切、な人...?」
「ええ。...花喃(カナン)は僕の大切な人でした。でも守れなかった......」
「......」
ーーーみんな、大切な人を失って......
「...だからでしょうか。三蔵たちや名前さんといると、放って置けないくらいお節介になってしまうんです」
その八戒の笑顔がとても悲しくて、名前は目を逸らして俯くーーー。
「今は......私、みんながいて寂しいとは思ってないよ。私は八戒のお節介も好き」
「ありがとうございます。...褒め言葉、と取っておきましょう」
今度は悲しい笑顔ではなく、心の底から笑う八戒に名前は満面の笑みを浮かべた。
夕方、ひとり名前は宿から鳥居のある神社まで足を運んでいた。
その社殿の前の参道には、見た事のない変わった赤い実のなる木々が並ぶーーー。
「......赤い実...何の実だろ...」
「その実は触っちゃダメだよ!!」
「えっ......」
男の子の声にビクリと肩が跳ね上がり振り返ると、10歳くらいの男の子が険悪な表情で立ってた。
「その赤い実は人間を喰らうんだ!お姉ちゃん、食べられちゃうよ!...お姉ちゃんは旅の人?」
「うん。そうだけど...君は?」
「俺は天籟(テンライ)。この神社の神使の妖怪に妹を殺されたんだ...」
「......殺された!?」
かつて神使は神の代行として人間と接触が許される神の使いーーー...
現世だと動物がほとんどたけど、ここでは妖怪なんだ...
天籟の表情が泣きそうに変わり、名前は近くの縁台に腰を下ろして話を聞くことにした。
「最近、妖怪ぎ暴れだしてここの村も襲われる事が多くなったんだ。...その矢先にこの神社の神使の妖怪も暴れだして...」
「...おじいちゃんが言ってたんだ。昔は妖怪も人間も一緒に住んでて、この神社もちゃんと機能してたんだって。でも、今は......」
「おや?天籟、ここで何をしているんだい?」
「!......神主様...」
声を掛けた方に目を向けると、狩衣に身を包んでいる老人が立っていたーーー...