再び目が覚めた頃には、陽の光が差し込み側にいた三蔵の姿はなく代わりに八戒と悟空の姿が見えた。


「ーーー目が覚めましたか？」
「名前ー！よかったな！目が覚めて！」


ズイッと悟空が顔を覗かせると、名前は苦笑いを浮かべて後ずさる。


「心配かけてごめんね...」
「名前が謝る必要なんてねーよ！俺、...守るって言ったのに...」
「悲しい顔しないで、悟空...この通り生きてるし、傷も治りかけてるよ」
「名前...」


悟空にニコッと笑いけたところで、悟浄と三蔵が姿を見せて名前と三蔵の目が合うが何もなかったかのようにすぐに逸らす。


「しばらくの間、この村にいるってよ。...って三蔵サマが言ってたぜ」
「うるせぇぞ。クソ河童」
「...ありがとう。三蔵」
「チッ...」


ぶっきら棒でも三蔵の心遣いが痛いほど伝わり、感謝を伝え名前の表情に笑みが見えた。



「ーーー外に出れないのは辛いっ！」


窓の外に目を向けて、口を尖らせて言う名前に三蔵がチッと舌打ちをする。


「外に出たーいっ...」
「うるせぇ！黙って寝てろ！」


新聞の陰から眉間に皺を寄せた三蔵が顔を覗かせるーーー。


「はーい...黙って寝てマース」


三蔵が新聞を読むのを横目に見て、名前は再び窓の外に目を向けた。


「ねぇ、三蔵...」
「外には出さねぇぞ」
「まだ何も言ってないし！...って違うくてっ！......大切な人を守るってつくづく大変な事だなって思ってさ...」
「......」


三蔵が新聞から目線を外し、眼鏡を外すと切ない名前の表情が目に入った...


「......大切な人はね、色々な意味があってさ......あ、いやっ...何て言えばいいんだろっ......待って！今考えるから！...えーと...」
「......」



ーーーなに1人でテンパってんだ？

ハッキリさせろ！厄介女がっ......



そう思った時には、三蔵は身体が気持ちとは裏腹に名前が横たわるベッド脇に腰を下ろし、覆いかぶさる型で見下ろし、名前が目を見開く。


「ぇ......さんぞっ......」


暖かい唇の感触が名前に伝わり、思わず三蔵の襟を両手でぎゅっと握るーーー。
触れるだけの口づけですぐに唇が離れ、頭が真っ白になり三蔵を見つめていると当の本人はいつもと変わらない表情をしていた。



意味がわからないーーー...

なんでキスなんかっ...



「ぁ...ぇっ...なん、で......」
「......いい加減、黙って寝やがれ。厄介女」


混乱する名前をよそに三蔵が黙って部屋を出て行き、その瞬間に名前は勢いよく布団を被り顔を埋める。



顔が燃える程熱いーーー。

どんな顔して会えばいいのっ！？