「あーー。腹減った～...」
「おい、猿。それ何度目だぁ？隣で喚くな」
「だってよー、全然食い物食ってねーじゃん！なー、八戒。あとどんぐらいだ？」
「そうですねぇ...大体、2時間ほどでしょうか」
「えーー！待てねぇよっ。腹減った！腹減った...」
「うるせー！！いい加減、黙らねーと叩き落とすぞ、猿！」


ハリセンの音が響き、三蔵の眉間には皺が。
隣で運転する八戒はいつも通りの笑顔。悟浄に至っては何食わぬ顔で煙草の紫煙を燻らせた。


「あーあ。今日も三蔵様はご機嫌ナナメかぁ」
「...何か言ったか、エロ河童」


ガチャリと銃口を向けられれば、悟浄の表情が引きつったものに変わる。


「...っ...つーか！銃の無駄撃ちしてんじゃねーよ！クソ坊主！」
「黙れ、エロ河童。無駄撃ちじゃなく、真ん中に当ててやろうか？」
「まぁまぁ...。もう少しで休めると思うので、2人ともそれぐらいにしてください」


そう言った刹那、ジープが急ブレーキをかけ4人が前のめりになった。


「...っ...んだよっ....急に止まるな！八戒！」
「イッテ～...頭ぶつけたーー！」
「すみません、皆さん...でもこのまま突き進むのはちょっと...」
「......」


それぞれがリアクションを取る中、三蔵ひとりだけが無言で前を見据え、他の3人も目線を追う。



なんだ、あれは...

..."天女"、か...？



神々しい程の光と、目を閉じ、宙に浮き、光で妖怪を消し去り巫女服に身を包んだ名前の姿に誰もが目を奪われたーーー...