コマがより一層、警戒をしてすぐさま結界を張り、明伶がチッと舌打ちをするーーー。


「私、の事はいいからっ......三蔵をっ......」


息が上がり八戒が名前の身体を外壁にもたれさせた。


「止血はしましたが、あまり喋ると傷口が開いてしまうかもしれません。あとは僕たちに任せて下さい」


名前がコクリと頷けば、八戒たちがそれぞれ臨戦態勢を保つーーー...


「あれ？この光景、前にもあったよーな...」
「アレだろ？クソ坊主が人形に洗脳されたってヤツ」
「そういえば、そんな事がありましたね。確かあの時は無理やり洗脳を解いた気が...」



ーーー前にも洗脳...？

三蔵が......？



「やっぱ、力づくで行くのか！？腕がなるぜ！」
「だな。目ぇ覚ましてやろうかー」


3人の様子に明伶が眉を潜め、三蔵に指示を出す。
するとそれを忠実に守り、三蔵が3人に向かい歩みを進めながら弾を放つ。
その間、名前はある事に気づく。明伶の手首には、昼間に見たピンク色のブレスレットが光っていたーーー。


「あ、の......ブレスレットっ......」



まさか、......あのブレスレットの為に......？



刹那、悟空の如意棒が三蔵の頬にヒットして倒れ込み、名前の目の前で倒れた。
それを見て名前が手をついて三蔵の元へと足を進める。


「名前！三蔵！」
「名前さん！」
「...っ...三蔵......？」


手を差し伸べた時、不意に腕を掴まれ顔を上げた三蔵と目が合う。
その瞳はいつもの鋭い若紫色に変わっていた。


「...クソっ！てめぇらやり過ぎだろーが」
「三蔵っ......よかった......」
「名前ちゃん撃っといてよく言うぜ...」
「正しくは名前さんが悟空を庇って撃たれたんですよ」
「俺が......撃っただと？」


三蔵が名前に目線を向けると脇腹に血の滲み、そこを押さえて泣きそうな表情を浮かべて見つめている。



ーーー俺がコイツを撃ったのか？



「おのれ、三蔵一行っ...！！まだ終わってはっ......」


刹那、明伶の腕に1枚の御札が付きそれを辿ると、名前が息を上がりながらも立ち上がって御札を投げつけていた。


「はぁっ......はぁっ......」


腕から黒い灰が舞い、その直後に明伶が経文に巻かれるーーー...


「ーーー魔戒天浄っ！！」


一瞬にして明伶が灰になり消え去り、それと同時に名前が地面に倒れ込んだ。