露店のおじいさんに言われた通り、お屋敷の前まで行くと中華風の大きなお屋敷が目の前に映る。


「こりゃ、またデカイ屋敷だなー...」
「他のお家と全然違うね...」
「...とりあえずお邪魔してみましょうか」
「叫べば出て来るんじゃねーか？」
「それこそ近所迷惑ですよ。悟空」


八戒がにこやかに言うと、不意にお屋敷の大きなドアが開き、ひとりの金髪の女性が姿を現わす。
次の瞬間、名前以外の3人は何か警戒する表情を見せた。


「あら...こんな夜更けにお客様とは珍しいですね。何かご用かしら？」
「...しらばっくれないで下さい。三蔵はどこですか？」
「え......どういうこと？」


八戒の言葉に名前が首を傾げて女を睨みつけるーーー。


「あの女...妖怪だな。通りで嫌な気配すると思ったんだよな...」
「あの人が...、妖怪？」
「......さすがは三蔵一行ね。あの三蔵法師が簡単に落ちるなんて...」



ーーー三蔵が落ちる？

どういう意味？



「三蔵を返せ！」
「三蔵法師はあなた方の元には戻らないわ。それに経文も一緒にね」


ニヤリと笑う明伶の背後に見慣れた人物が目に入り、全員身構えた
。
何故なら三蔵がこちらに向け、銃口を向けていたからーーー...


「三蔵！！」
「ダメっ！悟空っ......！」



バァンッ！！



悟空が叫びながら前に出ようとした瞬間に銃声が響き、名前が咄嗟に悟空の前に立ち、脇腹を銃弾が掠めたーーー。


「......ぃっ......！」


その場に倒れ込み、地面に血溜まりが出来ると悟浄と悟空が咄嗟に止血を施す。



痛いーーー...

銃ってこんなに痛いんだ、...

また大事な人に...傷つけられちゃったんだ、...わたし...



「2人ともどいて下さい！治療しますから！」


意識が朦朧とする中でも、ハッキリと三蔵の姿を掠れた目線で追う。
緑の光がとても暖かい...


「アイツ...何考えてんだ！？」
「いつもの三蔵じゃねー...ごめん、名前...俺が、...」
「......大、丈夫...だよ...ご、くうが無事で、...良かった...」
「名前さん！もう喋っちゃだめです！」
「......さん、ぞ......」


三蔵の綺麗な若紫色の瞳はなく、名前でも魂が宿っていないとすぐに分かった。