村の繁華街へ行くと、まずは洋服屋へと向かう。


「まずは名前さんの洋服ですね。いくつあっても困りませんし」
「...本当にいいんですか？」


眉を下げて言う名前に八戒がクレジットカードをスッと出してニコッと微笑む。


「大丈夫ですよ。これがありますから」



......クレジットカード、だ。

この世界にもあるんだ...。



「じゃ...お言葉に甘えて...」


しばらくして、巫女の装束からチャイナ服にパンツスタイルに着替え、お団子に束ねていた黒髪をほどき胸の長さまで下ろすーーー...



チャイナ服なんて初めてだな...。



店の外に出ると名前が恥ずかしそうに声を掛けた。


「お...お待たせ、しました...」
「わぁお！よく似合ってるじゃねーか。美人さんがもっと美人さんになったな」
「そうですね。よくお似合いですよ」
「いや、...そんなに褒めても何も出ませんよっ...」
「本当の事なんだから素直に喜べよな！」
「...ありがとう、ございます」


笑顔で照れくさそうに答えれば、3人も笑顔で返して再び日用品を買いに出掛けた。
宿に戻り荷物を置きに4人の部屋へと向かい足を踏み入れると、ベッドの上で三蔵が静かに寝息を立てているのが目に入るーーー。


「呑気に寝てやがるなー、ウチの大将さんはよ」
「いつもの事ですよ」


それぞれが荷物を置き、名前も起こさぬように静かに窓際に荷物を置くーーー...



ガシャーーン！！



「「「「！！」」」」


刹那、部屋の窓ガラスが割られ破片が飛び散るーーー。


「きゃっ...！」
「...っ...名前！」


悟空が名前を呼ぶ声が響いた時には、妖怪に首筋を腕で組まれ身動きが取れない状態になっていた...


「...っ...」



く、るしっ......

振り、解けなっーーー...



ガチャリ......



妖怪の腕に力を込めた時、背後に銃口の向けられる音が耳に入り、少しだけ視線を横に向ける。
すると三蔵がいつの間にベッドから起き上がり、機嫌の悪い表情を浮かべつつ妖怪に銃口を向けていた。


「なっ......！」
「さっきからうるせぇんだよ。人が気持ちよく寝てんのに邪魔しやがって」
「う、...撃てるなら撃ってみろ！経文を渡せばこの女は助けてやるよっ！！」
「......経、文...？」



バァーン...！



一瞬、若紫色の冷たい瞳と目が合ったと思えば、背後から銃声が響き微かに頬に返り血が飛び散るーーー...



え？

嘘っ......