たどり着いた村は活気に溢れ、人々が行き交う村だった。
ジープから降り、三蔵達と名前は泊まれる宿を探していた。


「案外、栄えてる村だな」
「そうですね。これなら宿もすぐ見つかりそうです」


悟浄と八戒の会話を横目に、村の人に目を向けるとチラチラと視線を感じるーーー。



この格好、やっぱ目立つよね...

迷惑かけちゃうーーー。



そっと4人と距離を取って前を見据えると、スッと背後を見る三蔵と目が合う。


「離れるな、厄介女。探すのが面倒だ」
「......すみません」
「迷子になったら俺が探してやる！」
「ありがとう、ございます...」


悟空に苦笑いを向けると、三蔵がチッと舌打ちをして再び進んで行く。
宿の前に着き、八戒と三蔵が宿の主人と話している間に悟浄が名前の隣で背中を壁に寄りかかり声を掛けた。


「なーんか落ち込んでる？」
「...え」
「みたいに見えたからさ。なんかあった？」
「...何もありませんよ。ご心配ありがとうございます」


そっと微笑み呟けば、悟浄もふと笑い煙草に火をつけて煙を吐く。


「名前ちゃんさ...無理して笑わなくていいんじゃない？」
「！......む、無理なんてしてませんっ...」
「そーお？まぁ、何でか大体予想はつくけど...。あんまり気ィ張らない方がいいって言うか、気ィ遣わなくてもいいんじゃない？」
「.........」



見透かされてるーーー...



「話ならいつでも聞くし。特にあの生臭坊主の事はね～」
「...ありがとうございます...でも大丈夫ですよ」


名前がニコッと笑うと、気負けした様子で悟浄が苦笑いを浮かべて頭をポンと撫でた。


「悟浄も名前さんも、部屋が取れましたよ。これは名前さんの部屋の鍵です。僕たちは隣の部屋ですから」
「ぁ、...ありがとうございます...」


鍵を渡され受け取り握られた鍵を見つめる。


「飯だ！飯ー！」
「うるせぇんだよ猿！せっかく名前ちゃんといい雰囲気だったのによー...」
「てめぇらさっさと中入れ。特にそこのエロ河童」


腕を組みながら煙草を咥えて言う三蔵に、名前は鋭い目線から目を逸らして黙って宿へと入って行った。