御使いの聖歌隊
がたごと揺れる馬車の荷台。
その中に積まれ、連れ去られた水華と千夏は怖い怖いと泣き続けた。
荷台にはたくさんの知らないものが積まれていて、二人以外にも何人が人が乗っていた。
「すいちゃんっ」
「ちいちゃんっ」
怖い怖いと二人はお互いを抱きしめ合って震えていた。
しばらくしてやっと馬車が止まり降りなさいと言われて荷台にいた人たちは恐る恐る外へ出ていく。
千夏と水華もゆっくり外に出るとそこはこの世界の中心の国、レグルスだった。
さぁこっちだと背中を押され二人は周りの人たちと一緒にお城の中へ入っていく。
お城の中は二人が見たことのないものであふれかえっていた。
高い天井にきらきらの照明。
真っ赤な絨毯。
所々にある窓もぴかぴかで綺麗な庭が見えた。
「さ、ここだよ。これからみんなを王様が歓迎してくれるからね」
「おーさま……?」
「ちいしらない……」
みんなも知らないとお互い顔を見合わせてひそひそ話していて。
そうして目の前の扉が開かれ、赤い絨毯がまっすぐ伸びた先にはとても偉そうな人が座っていた。
二人を連れてきた人たちは恭しく頭を下げて例の子たちはこの子達ですと周りの人たちと一緒にその人の前へ連れて行く。
「ご苦労だった。皆もよくここまで来てくれた。疲れただろう? 今日は用意させた部屋で各々ゆっくりするといい」
「だぁれ……?」
「ちい、しらないひと……」
「二人とも。この人がこの国の王様だよ」
「おーさまってなぁに?」
「国や世界の中で一番偉い人だよ」
「違うよ! 世界で一番すごいのは天使様だよ!」
「すいちゃんのいうとーり! 天使様が一番だもん!」
ちがうちがう!と反論する二人に連れてきた人は困惑の表情を浮かべるも、王様はよいよいと和やかな表情を変えず接してくれた。
「天使様がいちばんだもん!」
「いちばん! いちばん!」
「二人はユークレストの出身だったかな? 君たちの国では天使様を信仰するんだったね」
「うん! 天使様はすごいんだよー! すいたちをたくさん助けてくれてるの!」
「おーさまは何をするひとなのー?」
二人の質問に王が自分も国の人々を助け、守るのが仕事だと答えると、二人は顔を見合わせすごいすごいと飛び跳ねた。
そんな様子を見て連れてきた人に二人を部屋に案内してあげなさいと王は告げ、その人に声をかけられると周りの人と一緒に用意された部屋へと向かった。
一人に一部屋が割り当てられていたようで水華も千夏も別々の部屋へ案内されそうになり、部屋の前で一緒じゃなきゃやだー!と駄々を捏ね始めて。
困ったその人はそれならそっちかの部屋を二人で使うといいよと言ってくれて二人はぴょんぴょん飛び跳ねて喜ぶと右側の部屋に入っていった。
「わぁ……!」
「すごーい!」
二人が入った部屋は真っ白な天蓋付きの大きなベッドがあり、周りの家具も白で揃えられたものばかり。
窓に掛けられたカーテンも白いふわふわしたカーテンで。
ユークレストで二人が暮らしていた部屋より何倍も広くて大きい部屋だった。
テンションの上がった二人は部屋の中を走り回ると何があるのかな!と扉という扉を開けては中を確認し始める。
洋服がたくさん並んだクローゼット。
猫足のバスタブ。
三面鏡のドレッサー。
たくさんの見たことのない物の数々に二人は目を輝かせた。
「ここがこれからすいたちのお家になるんだね!」
「ちい、すごく怖かったけど、うれしい!」
「すいもー!」
すごいすごいとはしゃぎまわりしばらくすると疲れたのか二人はふかふかのベッドの上ですやすやと眠ってしまった。
その中に積まれ、連れ去られた水華と千夏は怖い怖いと泣き続けた。
荷台にはたくさんの知らないものが積まれていて、二人以外にも何人が人が乗っていた。
「すいちゃんっ」
「ちいちゃんっ」
怖い怖いと二人はお互いを抱きしめ合って震えていた。
しばらくしてやっと馬車が止まり降りなさいと言われて荷台にいた人たちは恐る恐る外へ出ていく。
千夏と水華もゆっくり外に出るとそこはこの世界の中心の国、レグルスだった。
さぁこっちだと背中を押され二人は周りの人たちと一緒にお城の中へ入っていく。
お城の中は二人が見たことのないものであふれかえっていた。
高い天井にきらきらの照明。
真っ赤な絨毯。
所々にある窓もぴかぴかで綺麗な庭が見えた。
「さ、ここだよ。これからみんなを王様が歓迎してくれるからね」
「おーさま……?」
「ちいしらない……」
みんなも知らないとお互い顔を見合わせてひそひそ話していて。
そうして目の前の扉が開かれ、赤い絨毯がまっすぐ伸びた先にはとても偉そうな人が座っていた。
二人を連れてきた人たちは恭しく頭を下げて例の子たちはこの子達ですと周りの人たちと一緒にその人の前へ連れて行く。
「ご苦労だった。皆もよくここまで来てくれた。疲れただろう? 今日は用意させた部屋で各々ゆっくりするといい」
「だぁれ……?」
「ちい、しらないひと……」
「二人とも。この人がこの国の王様だよ」
「おーさまってなぁに?」
「国や世界の中で一番偉い人だよ」
「違うよ! 世界で一番すごいのは天使様だよ!」
「すいちゃんのいうとーり! 天使様が一番だもん!」
ちがうちがう!と反論する二人に連れてきた人は困惑の表情を浮かべるも、王様はよいよいと和やかな表情を変えず接してくれた。
「天使様がいちばんだもん!」
「いちばん! いちばん!」
「二人はユークレストの出身だったかな? 君たちの国では天使様を信仰するんだったね」
「うん! 天使様はすごいんだよー! すいたちをたくさん助けてくれてるの!」
「おーさまは何をするひとなのー?」
二人の質問に王が自分も国の人々を助け、守るのが仕事だと答えると、二人は顔を見合わせすごいすごいと飛び跳ねた。
そんな様子を見て連れてきた人に二人を部屋に案内してあげなさいと王は告げ、その人に声をかけられると周りの人と一緒に用意された部屋へと向かった。
一人に一部屋が割り当てられていたようで水華も千夏も別々の部屋へ案内されそうになり、部屋の前で一緒じゃなきゃやだー!と駄々を捏ね始めて。
困ったその人はそれならそっちかの部屋を二人で使うといいよと言ってくれて二人はぴょんぴょん飛び跳ねて喜ぶと右側の部屋に入っていった。
「わぁ……!」
「すごーい!」
二人が入った部屋は真っ白な天蓋付きの大きなベッドがあり、周りの家具も白で揃えられたものばかり。
窓に掛けられたカーテンも白いふわふわしたカーテンで。
ユークレストで二人が暮らしていた部屋より何倍も広くて大きい部屋だった。
テンションの上がった二人は部屋の中を走り回ると何があるのかな!と扉という扉を開けては中を確認し始める。
洋服がたくさん並んだクローゼット。
猫足のバスタブ。
三面鏡のドレッサー。
たくさんの見たことのない物の数々に二人は目を輝かせた。
「ここがこれからすいたちのお家になるんだね!」
「ちい、すごく怖かったけど、うれしい!」
「すいもー!」
すごいすごいとはしゃぎまわりしばらくすると疲れたのか二人はふかふかのベッドの上ですやすやと眠ってしまった。