御使いの聖歌隊

夕食が終わり、みんなで教会へ向かうと祭壇前に膝をつき、両手を組むとお祈りをする。
今日も自分たちを護ってくれてありがとう。
明日もどうか数々の災厄から自分たちをお護りくださいと。
お祈りが終わると各々に用意された部屋へと戻り、就寝時間まで自由時間。
部屋に戻った二人は待ってました!と言わんばかりにスケッチブックを取り出しお絵かきを始める。
この教会からお迎えが来たらどんな服を着たいかとか、どんなお家に行きたいとか、どんなお部屋にしようかとか。
そんなことを真っ白なスケッチブックに描きながらお話しをする。

「すいはねー、ちいちゃんとおそろいの服がいいなー」
「あ! それちいもおもった! なんでもお揃いがいいねー!」
「おそろいー! えへへ~」

聖歌隊の服もかわいいけど世の中にはもっとかわいい洋服もある。
フリルやレースがいっぱい使われた、お姫様みたいな洋服。
白い肌触りのいいワンピース。
学校によってセーラー服やブレザーの洋服。
なにもかもが二人からしたら夢のような服ばかり。
いつかこの教会から引き取られて、二人でそんな洋服を着て、街の中をお散歩したり、街の外へお出かけしたり。
自由な暮らしが出来たらとても楽しいだろうなぁと笑いあう。

「ベッドは二人で一つでいいよねー」
「うんうん! ちいもすいちゃんと一緒でいいー!」
「真っ白なベッドにー、ふかふかなお布団!」
「雲みたいにかるくてふわふわなお布団!」

いいなぁいいなぁと思いながら二人はスケッチブックいっぱいに夢を膨らませる。
そうして夜も深まった頃、二人は疲れ切ったようにスケッチブックを広げたまま床で眠りに落ちてしまった。
就寝確認で回っていたシスターがそれを発見し、またですかと二人をベッドまで運ぶと寒くないように布団をかけ、スケッチブックを棚に戻すと部屋を後にした。
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