御使いの聖歌隊

ーー数日後。

「すいはすいてーあくあっていうのー!」
「ちいはちてーあーすっていうのー!」

先に魔王として迎え入れられていた各魔王へ二人は挨拶をして回る。
九尾の耳と尻尾を持つ同じ帝の地位を持つ聖帝せいていセイティ、同じ狐耳の光帝こうていラミール。
そしてラミールの姫である鮮やかなピンク色の髪の桜月さつき
彼女たちに千夏と水華の世話を任せると聖はその場から姿を消した。
どうやらまた別の仲間を探しに向かうようで二人を預けられた彼女たちは忙しい奴だなと息をついた。

「まったく。花月たちをなんだと思ってるんですか、あの人」
「まぁまぁ。かわいくて素直な子たちっぽいし! ねー! アクアちゃん! アースちゃん!」
「桜月は子供に甘いんですよ」
「そなたも甘やかされておるからのう」
「巫女様。花月のどこが甘やかされてると見えるんですか。心外です」
「ほらほら二人ともー! けんかしないのー! これからよろしくね、アクアちゃん、アースちゃん!」

子供の扱いに慣れているのか桜月は二人の頭をぽんぽんと頭を撫でると人懐っこい笑顔を見せ、そう話しかけて。
二人はそんな桜月を見てここならもう大丈夫だねと笑いあうとよろしくね!と声をそろえて挨拶をする。
ここなら二人を否定する人はいない。
ここならもう離れ離れにならないで済む。
ずっとずっと二人一緒にいられる。
とても幸せな世界だと二人は確信し、聖が言ったその日まで彼女らと行動を共にすることになった。
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