御使いの聖歌隊
「おにー、さん……?」
「水華、死んでしまったんですね……」
かわいそうにと千夏の腕の中で動かない水華に触れ、悲しそうな顔をする聖。
千夏はそんな聖に助けてと縋りつく。
彼は私一人では助けられませんと伝えると彼女の目線に合わせるように膝をつき、手伝ってくれますか?と訊ねた。
「お手伝い……?」
「そう。貴女の手伝いがあればこの子を助けることができます。どうしますか?」
「すいちゃん、また、ちいとおはなし、してくれる?」
「ええ。もちろん」
「ちい、なんでもする! だからまほーつかいのおにーさん! すいちゃんをたすけて!」
「いいでしょう。千夏。貴女の願い、叶えてあげましょう」
優しく微笑み聖は立ち上がると出現させた羽ペンで何かを記すと千夏に向けてそれを投げつけて。
瞬間、千夏の体がオレンジ色に光りだしなになに!?と驚く彼女に貴女も同じになるんですよと聖は告げた。
「ちいも……まぞくに、なるの……?」
「そうですよ。魔族になって、そして水華を貴女が救うんです」
「ちいが……すいちゃんを救う……ちいがすいちゃんを……」
「ええ、そうです。貴女が水華を救い、そして私の大切なあの子を救うんです。さぁ、こちら側へいらっしゃい、千夏」
恐ろしいほど優しく微笑む聖に千夏が手を伸ばした瞬間。
千夏の体が眩しいくらいのオレンジの光に包まれたかと思うと水華と同じ黒い聖歌隊服に変わっていて。
すいちゃんとおなじ……と呟く千夏に同じがいいでしょう?と微笑みかけると力強く頷くと聖の手をとり立ち上がる。
「さて、目撃者は消さなくてはなりませんね。と言ってもこの子たちは私が頂いていくんですが」
「あ、あ、あなたは、いったい……」
「ああ、申し遅れました。私は時と空間を支配する魔王、そして魔界コーキセリアの頂点に君臨する者。センチェルス・ノルフェーズと申します。以後お見知りおきを。といっても貴女にはここで死んでもらいますが」
くるっとその場で回り紫のゴシック服を身に纏った彼はそう名乗り、時計盤と三日月の刃がついた身の丈ほど杖を手にすると微笑みを絶やすことなくそう告げて。
その姿を見たシスターは腰が抜けたのか床に座り込んだまま動けず、そばにいた千夏はすごいすごい!と跳ねて喜んでいた。
「さて、その前に千夏の願いを叶えてあげなくてはなりませんね」
「すいちゃん、またもとにもどる?」
「ええ。ただ、蘇りとは少し異なりますが」
「ちがうの? すいちゃんちがうひとになっちゃうの、ちい、やだ……」
「違う人にはなりませんよ。そうですね……千夏にもわかりやすいようにいうと、千夏の時を水華と一緒に使うといえばわかりますか?」
「ちいの、とき?」
「そう。千夏が生きる限り、水華はずっと貴女の傍にいてくれます。だから千夏。貴女の生きる力を水華にわけてあげてください」
「ちいがすいちゃんを……。うん! わかった! ちい、すいちゃんたすける!」
いい子ですねと頭を撫でると聖は立ち上がり何かを唱えると千夏の頭上に突然オレンジ色の時計盤が現れる。
なぁにこれー?と首を傾げる千夏に聖はこれが貴女の生きる力ですよと返すと少し痛いですが我慢なさいと告げる。
「おにーさん……、ちい、もういたいのやだよぉ……」
「水華を助けるためですよ。出来ますね?」
「すいちゃんをたすけるため……?」
「そうです。それともやめますか?」
「やだ!! ちい、がまんするから! がまんするからすいちゃんたすけて!」
「いい返事です」
始めますよと杖の先を千夏の時計盤にむけて光を放つと彼女の時計盤になにやら文字を刻み込み始めた。
瞬間、千夏から悲痛な悲鳴が上がり痛い痛いとその場に倒れ蹲ってしまう。
けれど聖はやめる素振りすら見せずただそれを続けていて。
暫くして光が収まると時計盤は千夏の中にスーッと戻っていき短い呼吸を繰り返す彼女によく頑張りましたねと頭を撫でる。
「おに、さん……すい、ちゃ、んは……?」
「そろそろ目を覚ますと思いますよ」
「ほん、と……?」
「ええ。 ほら……」
動けない千夏の体をゆっくり起こし支えて指を差した先。
そこには同じようにゆっくりと身を起こす水華の姿があって。
水華はあたりをきょろきょろするとあれぇ?と首をかしげてなにがあったんだろうと不思議そうにしていた。
「水華、大丈夫ですか?」
「あ! おにーさん! ってあれ? おにーさんな服変わってるー! かっこいいかっこいい!」
「はいはい」
「すい、ちゃん……よかっ、た……、すいちゃん、もどって、きたぁ……」
「ちいちゃん!? ちいちゃんどしたの!?」
痛い痛いなの!?と駆け寄ってくると大丈夫だよと弱々しく笑う千夏。
そんな彼女に水華は待ってて!と立ち上がると月のステッキを取り出し千夏に向けてヒール!と唱えた。
すると体の痛みが嘘のように引いた千夏はゆっくりと立ち上がりありがとと水華に抱きついた。
「ちいちゃんもすいとおなじになったんだね」
「うんっ! ちい、すいちゃんといっしょ!」
「いっしょいっしょー!」
「水華、千夏。喜んでいるところすみませんが、次段階に移りますよ」
「「???」」
なぁに??と一緒に首を傾げる二人に聖はこう告げる。
貴女たちにも魔王となってもらいますと。
「水華、死んでしまったんですね……」
かわいそうにと千夏の腕の中で動かない水華に触れ、悲しそうな顔をする聖。
千夏はそんな聖に助けてと縋りつく。
彼は私一人では助けられませんと伝えると彼女の目線に合わせるように膝をつき、手伝ってくれますか?と訊ねた。
「お手伝い……?」
「そう。貴女の手伝いがあればこの子を助けることができます。どうしますか?」
「すいちゃん、また、ちいとおはなし、してくれる?」
「ええ。もちろん」
「ちい、なんでもする! だからまほーつかいのおにーさん! すいちゃんをたすけて!」
「いいでしょう。千夏。貴女の願い、叶えてあげましょう」
優しく微笑み聖は立ち上がると出現させた羽ペンで何かを記すと千夏に向けてそれを投げつけて。
瞬間、千夏の体がオレンジ色に光りだしなになに!?と驚く彼女に貴女も同じになるんですよと聖は告げた。
「ちいも……まぞくに、なるの……?」
「そうですよ。魔族になって、そして水華を貴女が救うんです」
「ちいが……すいちゃんを救う……ちいがすいちゃんを……」
「ええ、そうです。貴女が水華を救い、そして私の大切なあの子を救うんです。さぁ、こちら側へいらっしゃい、千夏」
恐ろしいほど優しく微笑む聖に千夏が手を伸ばした瞬間。
千夏の体が眩しいくらいのオレンジの光に包まれたかと思うと水華と同じ黒い聖歌隊服に変わっていて。
すいちゃんとおなじ……と呟く千夏に同じがいいでしょう?と微笑みかけると力強く頷くと聖の手をとり立ち上がる。
「さて、目撃者は消さなくてはなりませんね。と言ってもこの子たちは私が頂いていくんですが」
「あ、あ、あなたは、いったい……」
「ああ、申し遅れました。私は時と空間を支配する魔王、そして魔界コーキセリアの頂点に君臨する者。センチェルス・ノルフェーズと申します。以後お見知りおきを。といっても貴女にはここで死んでもらいますが」
くるっとその場で回り紫のゴシック服を身に纏った彼はそう名乗り、時計盤と三日月の刃がついた身の丈ほど杖を手にすると微笑みを絶やすことなくそう告げて。
その姿を見たシスターは腰が抜けたのか床に座り込んだまま動けず、そばにいた千夏はすごいすごい!と跳ねて喜んでいた。
「さて、その前に千夏の願いを叶えてあげなくてはなりませんね」
「すいちゃん、またもとにもどる?」
「ええ。ただ、蘇りとは少し異なりますが」
「ちがうの? すいちゃんちがうひとになっちゃうの、ちい、やだ……」
「違う人にはなりませんよ。そうですね……千夏にもわかりやすいようにいうと、千夏の時を水華と一緒に使うといえばわかりますか?」
「ちいの、とき?」
「そう。千夏が生きる限り、水華はずっと貴女の傍にいてくれます。だから千夏。貴女の生きる力を水華にわけてあげてください」
「ちいがすいちゃんを……。うん! わかった! ちい、すいちゃんたすける!」
いい子ですねと頭を撫でると聖は立ち上がり何かを唱えると千夏の頭上に突然オレンジ色の時計盤が現れる。
なぁにこれー?と首を傾げる千夏に聖はこれが貴女の生きる力ですよと返すと少し痛いですが我慢なさいと告げる。
「おにーさん……、ちい、もういたいのやだよぉ……」
「水華を助けるためですよ。出来ますね?」
「すいちゃんをたすけるため……?」
「そうです。それともやめますか?」
「やだ!! ちい、がまんするから! がまんするからすいちゃんたすけて!」
「いい返事です」
始めますよと杖の先を千夏の時計盤にむけて光を放つと彼女の時計盤になにやら文字を刻み込み始めた。
瞬間、千夏から悲痛な悲鳴が上がり痛い痛いとその場に倒れ蹲ってしまう。
けれど聖はやめる素振りすら見せずただそれを続けていて。
暫くして光が収まると時計盤は千夏の中にスーッと戻っていき短い呼吸を繰り返す彼女によく頑張りましたねと頭を撫でる。
「おに、さん……すい、ちゃ、んは……?」
「そろそろ目を覚ますと思いますよ」
「ほん、と……?」
「ええ。 ほら……」
動けない千夏の体をゆっくり起こし支えて指を差した先。
そこには同じようにゆっくりと身を起こす水華の姿があって。
水華はあたりをきょろきょろするとあれぇ?と首をかしげてなにがあったんだろうと不思議そうにしていた。
「水華、大丈夫ですか?」
「あ! おにーさん! ってあれ? おにーさんな服変わってるー! かっこいいかっこいい!」
「はいはい」
「すい、ちゃん……よかっ、た……、すいちゃん、もどって、きたぁ……」
「ちいちゃん!? ちいちゃんどしたの!?」
痛い痛いなの!?と駆け寄ってくると大丈夫だよと弱々しく笑う千夏。
そんな彼女に水華は待ってて!と立ち上がると月のステッキを取り出し千夏に向けてヒール!と唱えた。
すると体の痛みが嘘のように引いた千夏はゆっくりと立ち上がりありがとと水華に抱きついた。
「ちいちゃんもすいとおなじになったんだね」
「うんっ! ちい、すいちゃんといっしょ!」
「いっしょいっしょー!」
「水華、千夏。喜んでいるところすみませんが、次段階に移りますよ」
「「???」」
なぁに??と一緒に首を傾げる二人に聖はこう告げる。
貴女たちにも魔王となってもらいますと。