御使いの聖歌隊
「おにーさんはやっぱりまほーつかいなんだね!」
「まぁ、似たようなものですね」
「ちいたちにもまほー、使えるようになるー?」
「貴女たちも魔法が使いたいのですか?」
「うん! だってすいたち、天使様の御使いだもん!」
「でも、ちいたち、天使様の力、使えないの!」
「そう、ですね……。なら少しだけ、貴女たちに力を与えましょう。私との約束を守れるならの話ですが」
「おにーさんとの約束?」
ええ、と小さく頷き二人にこう伝える。
“人間の前ではこの力を使ってはいけませんよ”と。
どーしてー?と声を揃えて聞いてくる二人に聖は特別な力だからだと一言そう答えた。
「約束、できますか?」
「うん! おにーさんとの約束!」
「ちいたちちゃんと守るー!」
「いい子たちですね。では二人とも、私があげたブレスレットを付けた手を出してください」
「「はーい!」」
元気よく返事をした二人は小さなその手を聖の手に乗せてこれでいい?と首をかしげる。
聖は大丈夫と答えるとゆっくり、深く呼吸をした後、何か呪文のようなものを唱えた。
するとすぐに水華の周りを青い光が、千夏の周りをオレンジの光がふわふわと舞い出し、二人のブレスレットに吸い込まれていく。
幻想的な光景に二人はすごーい……とお互いを見ていて。
光が収まると聖は二人の手を離し、これで終わりですと告げた。
「おにーさん、どうやって使うのー?」
「えい! えい!ってする?」
「そんなに力まなくても大丈夫ですよ。二人は天使の御使いでしょう? いつものように祈ってごらんなさい」
「いつもにみたいに?」
「すいちゃん! やろやろ!」
「うん!」
二人は両手を胸の前で組み合わせ、膝をつくといつもみたいに祈りの体勢に入る。
すると二人の背中に小さな白い羽がぴょこんと現れて聖はうまくいきましたねと満足そうに頷いた。
「わー! みてみてー! ちいに羽あるー!」
「すいにもあるよー!」
「よかったですね。水華、千夏」
「これって聖歌隊のお洋服についていたのと似てるね!」
「そうですか。ならそのまま力を使っても怪しまれなさそうですね。貴女たちの力は癒しの力。いつものように歌を奏でてごらんなさい。きっと傷も病も治っていくでしょう」
「でもみんなの前で使っちゃいけないんでしょー?」
「おにーさんとの約束だもんね!」
「ええ。ですが今、貴女たちは定期的にしていることがあるでしょう? お城のバルコニーで、週に1回」
「あ!」
「おうたのじかん!」
正解ですと二人の頭を撫でた聖は、その時にだけ使いなさいと告げた。
その時なら人々は天使の御使いからの施しだと勘違いして二人を自分とは異なる存在だとは思わない。
その上、そうしていけば何不自由なく二人はずっとこの国民たちから大切にされ、幸せに暮らしていけるでしょうと。
そして釘を刺すように繰り返す。
“それ以外の時に使ってはいけません”と。
使ったら最後、二人は人間たちから敵視され永久に離れ離れになってしまうと。
そう告げて。
二人は力強く頷くと約束!と小さな手の小指を差し出して。
聖はその小指に自分の小指を絡めると約束ですからねと微笑んだ。
「おにーさん、ありがとー!」
「ちいたちがんばるね!」
「くれぐれも無理のない程度に励みなさい。そしていつか……」
時が来たときに迎えに来ますと告げ、聖はその場から姿を消した。
二人はばいばーい!と手を大きく振り彼に別れをいうと手を繋ぎ森を後にした。
「まぁ、似たようなものですね」
「ちいたちにもまほー、使えるようになるー?」
「貴女たちも魔法が使いたいのですか?」
「うん! だってすいたち、天使様の御使いだもん!」
「でも、ちいたち、天使様の力、使えないの!」
「そう、ですね……。なら少しだけ、貴女たちに力を与えましょう。私との約束を守れるならの話ですが」
「おにーさんとの約束?」
ええ、と小さく頷き二人にこう伝える。
“人間の前ではこの力を使ってはいけませんよ”と。
どーしてー?と声を揃えて聞いてくる二人に聖は特別な力だからだと一言そう答えた。
「約束、できますか?」
「うん! おにーさんとの約束!」
「ちいたちちゃんと守るー!」
「いい子たちですね。では二人とも、私があげたブレスレットを付けた手を出してください」
「「はーい!」」
元気よく返事をした二人は小さなその手を聖の手に乗せてこれでいい?と首をかしげる。
聖は大丈夫と答えるとゆっくり、深く呼吸をした後、何か呪文のようなものを唱えた。
するとすぐに水華の周りを青い光が、千夏の周りをオレンジの光がふわふわと舞い出し、二人のブレスレットに吸い込まれていく。
幻想的な光景に二人はすごーい……とお互いを見ていて。
光が収まると聖は二人の手を離し、これで終わりですと告げた。
「おにーさん、どうやって使うのー?」
「えい! えい!ってする?」
「そんなに力まなくても大丈夫ですよ。二人は天使の御使いでしょう? いつものように祈ってごらんなさい」
「いつもにみたいに?」
「すいちゃん! やろやろ!」
「うん!」
二人は両手を胸の前で組み合わせ、膝をつくといつもみたいに祈りの体勢に入る。
すると二人の背中に小さな白い羽がぴょこんと現れて聖はうまくいきましたねと満足そうに頷いた。
「わー! みてみてー! ちいに羽あるー!」
「すいにもあるよー!」
「よかったですね。水華、千夏」
「これって聖歌隊のお洋服についていたのと似てるね!」
「そうですか。ならそのまま力を使っても怪しまれなさそうですね。貴女たちの力は癒しの力。いつものように歌を奏でてごらんなさい。きっと傷も病も治っていくでしょう」
「でもみんなの前で使っちゃいけないんでしょー?」
「おにーさんとの約束だもんね!」
「ええ。ですが今、貴女たちは定期的にしていることがあるでしょう? お城のバルコニーで、週に1回」
「あ!」
「おうたのじかん!」
正解ですと二人の頭を撫でた聖は、その時にだけ使いなさいと告げた。
その時なら人々は天使の御使いからの施しだと勘違いして二人を自分とは異なる存在だとは思わない。
その上、そうしていけば何不自由なく二人はずっとこの国民たちから大切にされ、幸せに暮らしていけるでしょうと。
そして釘を刺すように繰り返す。
“それ以外の時に使ってはいけません”と。
使ったら最後、二人は人間たちから敵視され永久に離れ離れになってしまうと。
そう告げて。
二人は力強く頷くと約束!と小さな手の小指を差し出して。
聖はその小指に自分の小指を絡めると約束ですからねと微笑んだ。
「おにーさん、ありがとー!」
「ちいたちがんばるね!」
「くれぐれも無理のない程度に励みなさい。そしていつか……」
時が来たときに迎えに来ますと告げ、聖はその場から姿を消した。
二人はばいばーい!と手を大きく振り彼に別れをいうと手を繋ぎ森を後にした。