御使いの聖歌隊

透き通るような綺麗な青い長髪に赤い瞳の少女と、茶色の髪に赤い目の少女。
二人はいつも一緒。
真っ黒な聖歌隊の衣装に身を包み、仲良く手を繋いで唄を歌う。
何処までも響くような高い声で青い少女が、それにハモるように少し低い声で茶色い少女が。
そこ声はどこまでも響く。
彼女たちの周りが廃墟と化した聖堂になっていることにも気づくことなく。
彼女たちの足元には苦しんで死んでいった人間たちがいることに気づくことなく。
二人は歌う。
この街の破滅を。
この世界の崩壊を。
歌声は響く。
どこまでも、どこまでも、広く。

これは、二人がこの結末を迎えるまでのお話──。
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