短編集

サンタさんはどこにいるの?



それはある夜。

「センチェルス、そーっと、そーっとだよ」
「わかってますよ」

眠る我が子二人の枕元。
ウィードが見守る中、センチェルスは綺麗に包装されたプレゼントを二人の枕元に置いた。
眠る子どもたちを起こさないようにそっと部屋を出ると扉を閉めふぅと一息。

「これで任務完了ですね」
「うん! 喜んでくれるといいなぁ」
「きっと喜んでくれると思いますよ」
「そうだよね! じゃあ俺もそろそろ寝よっかな! 早く寝ないとサンタさん来てくれないもんね」
「そう、ですね」
「センチェルス?」

少し困ったような顔をするセンチェルスにウィードは小首をかしげ、なんか変なこと言ったかなぁ?と疑問を投げかける。
彼はなんでもないですよと答えた後、早く寝ましょうかとベッドへ誘う。

「ねぇ、センチェルス。サンタさんはどこから来るんだろ? 俺たちのお家、煙突がないでしょ? 玄関から入ってくるのかな?」
「どうでしょうか? サンタさんは人間じゃないかもしれないですよ? 不思議な力でやってくるかもしれません」
「でもまぶしくないよ?」
「光と共に現れるとは限りませんから」

ベッドの中、向かい合わせで腕の中にいる恋人に問われればセンチェルスは優しく答えを返す。
ゆっくり優しく頭を撫でる手にウィードはうとうととし始めて、眠ってもいいですよと声をかける。
けれどさっきとは変わり眠い目を擦りながら首を横に振ってぎゅっと抱きつくと今日が終わってほしくないと呟いた。

「きょーはね……たんじょーび、だから……ねたら、おわっちゃ、う……でしょ……? だからね、おきて、るの……」
「寝ても起きてても今日は終わりますよ。それに今日が終わっても、幸せな日々は変わりませんから」
「しあわせ、おわ、らない……?」
「ええ、終わりません。ずっと、こうしている限り。私が貴方の幸せを守りますから」
「そっか……センチェルスは、おれの、おーじさま、だも、んね……」
「そうですよ。だからお姫様である貴方はこうして私の腕の中でなんの心配もせず眠ればいいんです。わかりましたか?」
「ん……そ、だね……おれ、せん、ちぇるす、のなか、で………」

すぅ……と眠りに落ちたのか静かな寝息が聞こえほっと一息するとセンチェルスは彼の額にキスをしおやすみなさいと声をかけてからこっそり持ってきていた小さな包みを彼の枕元へ置く。

「ハッピーバースデー、そしてメリークリスマス。これからも私の隣で笑っていてくださいね」

眠る彼にそう告げるとセンチェルスもゆっくり眠りへ落ちていった。
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