【GL】Fox Maiden-狐巫女の洗礼-
「ここでお別れです。どうぞお気をつけて」
「ねぇ! 花月ちゃんも一緒にいこ……? あんな酷いことをするクソ巫女のとこにいる必要なんてないんだよ! あたしたちと一緒に行こうよ……!」
「エルラあんた……」
「……花月は巫女様の巫女使いです。だから一緒にはいけません」
「どうして……! 花月ちゃんにあんな……っ、蘇らせられるからって何度も殺されてるんでしょ!? それなのに……っ」
「どんなに酷いことをされようと花月は巫女様の巫女使い。決して巫女様の傍を離れることはできません」
なんでよ……!と悲痛な叫びを続けるエルラに花月は振り返るとあそこが自分の居場所だからとはっきり告げた。
それでもどうして、なんで……と泣き続けるエルラを美月は支えるように立ち上がらせさっさと行くわよと声をかける。
「エルラ」
「いや……。花月ちゃんを置いていけない……」
「エルラさん……」
「おねーちゃん、どうするの……?」
「ここでこうしてても埒があかない。今はあの巫女のゲームに勝つことだけを考えて。じゃないと私たちはあの巫女にいいようにされるだけ。わかってんでしょ?」
「わかってる! わかってるけど! あんなことを平気でさせるあいつのところに置き去りにするなんてあたしには出来ないよ!」
「しかしなぁ、花月はこっちに来る気はないぞ」
「そうですよ、エルラさん。彼女は彼女の意思であそこにいるんです。今はリーダーの言うとおりにしたほうが懸命です」
「いや! あたしはここにいる! 花月ちゃんはあたしの大切な妹だもん!」
絶対に動かないとエルラは美月の手を振り切り鳥居の中にいる花月に抱きついてそう叫んだ。
一同は困り果ててしまいどうしたらいいかと彼女を見ているしかなく。
花月は困った人ですねとため息をつくと自分に抱きついているエルラの背にそっと手を回し抱き締めるとなら自分を助けるためだと思ってくださいと囁いた。
「花月ちゃんを、助けるため……?」
「花月の居場所はここ。巫女様の洗礼を一身に受けた花月は巫女様の許可なくこの鳥居の外に出る事はできません。故に花月の居場所はここ、巫女様の傍しかないのです。だからエルラお姉ちゃんが花月を外に連れ出してください。その為に巫女様の悪趣味なゲームに勝って、巫女様を倒してください」
「そしたら、花月ちゃん、お外に出られるの?」
「はい。洗礼を施した相手が死ねば受けた花月はその呪縛から解放され、お外へ自由に行くことができます。だからエルラお姉ちゃんは花月を自由にするためにゲームに勝ってください。花月のために、今は美月たちと行ってください」
「そしたら、また、花月ちゃんと、旅が出来るの……?」
「はい」
だから行ってください、とエルラの頭をぽんぽんと撫で告げる花月。
エルラはぐずぐずしながらもわかったと頷き花月から離れると必ず助けるからと美月たちの元へ戻っていった。
花月は鳥居の内側でここで待ってますと告げ、くるっと背を向け、じっと階段で立っていた。
まるで早く行ってくださいと言わんばかりに。
「エルラ、行くわよ」
「うんっ! 待っててね! 花月ちゃん! 絶対、ぜーったい花月ちゃんを自由にしてあげるから!」
「……」
「行きましょう。彼女がこうしている間に遠くへ」
「そうだな。行こう、リーダー」
「ええ」
早く、遠くへ。
どこよりも遠くへ。
そう思い美月たちは社と反対方向へ逃げ出す。
社に残った花月は彼女たちの気配が完全に遠のいたのを感じてから巫女が待つ本殿へと戻っていった。
「巫女様、只今帰りました」
「戻ってきたな、花月。少々遅かった気もするが」
「少しトラブルがあっただけです」
「まぁ全部見ておったがな」
「なら聞かないでください。悪趣味です」
「そう言うな。花月がなんと言い訳をするのか楽しみにしておったのだから」
「悪趣味です」
「つれないなぁ。まぁよい。さぁ、諸君! ゲームを始めよう! 逃げた憐れな仔うさぎ共を引っ捕らえて妾の前に差し出せ! 見事捕えた者には褒美として願いを一つなんでも叶えてやろう! さぁ、いけ!」
『巫女様の仰せのままに!』
狐面の者たちは巫女の一声で離散した。
逃した彼女たちを捕らえるために。
自らの望みを叶えるために。
己の欲望を満たすために。
なんとしてでも自分が捕らえてみせると勢い込んで社を次々に後にした。
「さて、花月。お前はどうする?」
「花月は凶悪な狐巫女に囚われたお姫様という設定ですからここにいます」
「そうよな。お前は妾という檻に閉じ込められた憐れなお姫様だ。決して逃がさんぞ」
「逃げるつもりはありません。花月の全ては巫女様のものですから」
「いい返事だ。さすがは妾の巫女使いだな」
褒美だと抱き寄せられると花月は再び巫女の洗礼を黙って受け入れた。
「ねぇ! 花月ちゃんも一緒にいこ……? あんな酷いことをするクソ巫女のとこにいる必要なんてないんだよ! あたしたちと一緒に行こうよ……!」
「エルラあんた……」
「……花月は巫女様の巫女使いです。だから一緒にはいけません」
「どうして……! 花月ちゃんにあんな……っ、蘇らせられるからって何度も殺されてるんでしょ!? それなのに……っ」
「どんなに酷いことをされようと花月は巫女様の巫女使い。決して巫女様の傍を離れることはできません」
なんでよ……!と悲痛な叫びを続けるエルラに花月は振り返るとあそこが自分の居場所だからとはっきり告げた。
それでもどうして、なんで……と泣き続けるエルラを美月は支えるように立ち上がらせさっさと行くわよと声をかける。
「エルラ」
「いや……。花月ちゃんを置いていけない……」
「エルラさん……」
「おねーちゃん、どうするの……?」
「ここでこうしてても埒があかない。今はあの巫女のゲームに勝つことだけを考えて。じゃないと私たちはあの巫女にいいようにされるだけ。わかってんでしょ?」
「わかってる! わかってるけど! あんなことを平気でさせるあいつのところに置き去りにするなんてあたしには出来ないよ!」
「しかしなぁ、花月はこっちに来る気はないぞ」
「そうですよ、エルラさん。彼女は彼女の意思であそこにいるんです。今はリーダーの言うとおりにしたほうが懸命です」
「いや! あたしはここにいる! 花月ちゃんはあたしの大切な妹だもん!」
絶対に動かないとエルラは美月の手を振り切り鳥居の中にいる花月に抱きついてそう叫んだ。
一同は困り果ててしまいどうしたらいいかと彼女を見ているしかなく。
花月は困った人ですねとため息をつくと自分に抱きついているエルラの背にそっと手を回し抱き締めるとなら自分を助けるためだと思ってくださいと囁いた。
「花月ちゃんを、助けるため……?」
「花月の居場所はここ。巫女様の洗礼を一身に受けた花月は巫女様の許可なくこの鳥居の外に出る事はできません。故に花月の居場所はここ、巫女様の傍しかないのです。だからエルラお姉ちゃんが花月を外に連れ出してください。その為に巫女様の悪趣味なゲームに勝って、巫女様を倒してください」
「そしたら、花月ちゃん、お外に出られるの?」
「はい。洗礼を施した相手が死ねば受けた花月はその呪縛から解放され、お外へ自由に行くことができます。だからエルラお姉ちゃんは花月を自由にするためにゲームに勝ってください。花月のために、今は美月たちと行ってください」
「そしたら、また、花月ちゃんと、旅が出来るの……?」
「はい」
だから行ってください、とエルラの頭をぽんぽんと撫で告げる花月。
エルラはぐずぐずしながらもわかったと頷き花月から離れると必ず助けるからと美月たちの元へ戻っていった。
花月は鳥居の内側でここで待ってますと告げ、くるっと背を向け、じっと階段で立っていた。
まるで早く行ってくださいと言わんばかりに。
「エルラ、行くわよ」
「うんっ! 待っててね! 花月ちゃん! 絶対、ぜーったい花月ちゃんを自由にしてあげるから!」
「……」
「行きましょう。彼女がこうしている間に遠くへ」
「そうだな。行こう、リーダー」
「ええ」
早く、遠くへ。
どこよりも遠くへ。
そう思い美月たちは社と反対方向へ逃げ出す。
社に残った花月は彼女たちの気配が完全に遠のいたのを感じてから巫女が待つ本殿へと戻っていった。
「巫女様、只今帰りました」
「戻ってきたな、花月。少々遅かった気もするが」
「少しトラブルがあっただけです」
「まぁ全部見ておったがな」
「なら聞かないでください。悪趣味です」
「そう言うな。花月がなんと言い訳をするのか楽しみにしておったのだから」
「悪趣味です」
「つれないなぁ。まぁよい。さぁ、諸君! ゲームを始めよう! 逃げた憐れな仔うさぎ共を引っ捕らえて妾の前に差し出せ! 見事捕えた者には褒美として願いを一つなんでも叶えてやろう! さぁ、いけ!」
『巫女様の仰せのままに!』
狐面の者たちは巫女の一声で離散した。
逃した彼女たちを捕らえるために。
自らの望みを叶えるために。
己の欲望を満たすために。
なんとしてでも自分が捕らえてみせると勢い込んで社を次々に後にした。
「さて、花月。お前はどうする?」
「花月は凶悪な狐巫女に囚われたお姫様という設定ですからここにいます」
「そうよな。お前は妾という檻に閉じ込められた憐れなお姫様だ。決して逃がさんぞ」
「逃げるつもりはありません。花月の全ては巫女様のものですから」
「いい返事だ。さすがは妾の巫女使いだな」
褒美だと抱き寄せられると花月は再び巫女の洗礼を黙って受け入れた。