【GL】Fox Maiden-狐巫女の洗礼-
しばらくして、やっと泣きやんだ花月は泣き疲れたのか桜月の腕の中で眠っていて。
やっと静かになった彼女を見て二人はなにかを決意したように頷き、葉月が座り込んでいる風月を、桜月が眠っている花月をそれぞれ連れて社にいる巫女のもとへと戻った。
「巫女様、少々お話、宜しいでしょうか?」
部屋の扉の前で膝をつき桜月が巫女にそう声をかけると構わんと扉がひとりでに開く。
二人は面を被ることもなく部屋の中に入ると花月を傍に寝かせてからありがとうございますと頭を下げた。
「面をつけておらぬということは、私用か?」
「はい。巫女様」
「どういったことだ? 桜月、葉月」
「桜月よりお話をさせて頂きます」
「よい。申してみよ」
ありがとうございますと桜月は顔を上げるとこちらを見ている巫女をまっすぐ見つめ風月の世話係を解任してほしいと願い出た。
突然の申し出に驚くも巫女はすぐにいつもの冷静な表情に戻り、如何様な理由で?と問い詰めてくる。
「桜月はこの花月の傍に居りたく思います。花月はまだ未熟な子供故、このようなお話しをさせて頂きました」
「花月は幼い子供ではない。故に世話係などいらぬと思うが?」
「いいえ、巫女様。花月はまだ幼い子供です。感情のコントロールもできない、その感情の名前も知らない未熟な子供です」
「葉月からも言葉を添えさせて頂きたいと思いますが宜しいでしょうか?」
「よい、話してみよ」
「ありがとうございます。先程、見回りより風月を連れて帰社した所、花月と相見えました。その際、葉月たちが風月についたと見て、知ってしまった花月が怒りにより暴走、風月を手にかけようと致しました。しかし、彼女には怒りも憎しみも悲しみも区別がつきません。感情のままに力を振るい、葉月たちは危うく命を落とすところでした」
「花月が……そのようなことを……」
ふむ……と報告を受けた巫女は考え込む様子を見せ、眠る花月をちらっと見ると一息つきよかろうと桜月の申し出を受け入れた。
巫女は二人に向き合うと彼女たちに命じる。
葉月にはこのまま風月の世話を。
桜月には花月に心を教えてやれと。
二人はその命を受け入れありがとうございますと深々と頭を下げた。
「しかし……妾も見たかったな。花月のそのように取り乱すところを」
「それはもう、大変でした。今まで感情の出し方を教えてこなかったこちらのミスでもありますが」
「そうだな。そこは妾も反省すべき点だ。桜月、頼んだぞ」
「はい、巫女様」
「して、他に用件はあるか?」
「いえ。見回りもとくに異常なしでした」
「そうか。なら下がれ。とくに桜月。そなたは力を使って疲れただろう。今日はゆっくり休め」
そう言われ失礼しますと告げると葉月は風月をつれ先に部屋をあとにし、桜月はまたねと花月の頭を撫でると葉月を追うように部屋をあとにした。
やっと静かになった彼女を見て二人はなにかを決意したように頷き、葉月が座り込んでいる風月を、桜月が眠っている花月をそれぞれ連れて社にいる巫女のもとへと戻った。
「巫女様、少々お話、宜しいでしょうか?」
部屋の扉の前で膝をつき桜月が巫女にそう声をかけると構わんと扉がひとりでに開く。
二人は面を被ることもなく部屋の中に入ると花月を傍に寝かせてからありがとうございますと頭を下げた。
「面をつけておらぬということは、私用か?」
「はい。巫女様」
「どういったことだ? 桜月、葉月」
「桜月よりお話をさせて頂きます」
「よい。申してみよ」
ありがとうございますと桜月は顔を上げるとこちらを見ている巫女をまっすぐ見つめ風月の世話係を解任してほしいと願い出た。
突然の申し出に驚くも巫女はすぐにいつもの冷静な表情に戻り、如何様な理由で?と問い詰めてくる。
「桜月はこの花月の傍に居りたく思います。花月はまだ未熟な子供故、このようなお話しをさせて頂きました」
「花月は幼い子供ではない。故に世話係などいらぬと思うが?」
「いいえ、巫女様。花月はまだ幼い子供です。感情のコントロールもできない、その感情の名前も知らない未熟な子供です」
「葉月からも言葉を添えさせて頂きたいと思いますが宜しいでしょうか?」
「よい、話してみよ」
「ありがとうございます。先程、見回りより風月を連れて帰社した所、花月と相見えました。その際、葉月たちが風月についたと見て、知ってしまった花月が怒りにより暴走、風月を手にかけようと致しました。しかし、彼女には怒りも憎しみも悲しみも区別がつきません。感情のままに力を振るい、葉月たちは危うく命を落とすところでした」
「花月が……そのようなことを……」
ふむ……と報告を受けた巫女は考え込む様子を見せ、眠る花月をちらっと見ると一息つきよかろうと桜月の申し出を受け入れた。
巫女は二人に向き合うと彼女たちに命じる。
葉月にはこのまま風月の世話を。
桜月には花月に心を教えてやれと。
二人はその命を受け入れありがとうございますと深々と頭を下げた。
「しかし……妾も見たかったな。花月のそのように取り乱すところを」
「それはもう、大変でした。今まで感情の出し方を教えてこなかったこちらのミスでもありますが」
「そうだな。そこは妾も反省すべき点だ。桜月、頼んだぞ」
「はい、巫女様」
「して、他に用件はあるか?」
「いえ。見回りもとくに異常なしでした」
「そうか。なら下がれ。とくに桜月。そなたは力を使って疲れただろう。今日はゆっくり休め」
そう言われ失礼しますと告げると葉月は風月をつれ先に部屋をあとにし、桜月はまたねと花月の頭を撫でると葉月を追うように部屋をあとにした。