【GL】Fox Maiden-狐巫女の洗礼-
洞窟に入るとランプで明かりを取ると花月に聞かれるまま律をはじめ、みんなが各々の話を始めた。
律は婚約者を、エルラは家族を、樹は兄弟を、それぞれなくしたと。
みな巫女から不思議な力を授かり、その酷使で死んでいったと。
あいつさえいなければそんな力を授かることもなく平和で幸せな生活を送れたはずだと。
皆、口々にそう話した。
「花月さんはどうしてあそこで倒れていたんですか?」
「かげつは……」
なんて言おう、と考えているとみんなの視線が集中する。
こまったと少し悩んでから社から逃げてきたと話した。
するとみんなが驚いた顔をした。
まずかったか……と俯いていると社内はどんな感じだっただとか一斉に聞かれ花月は戸惑いながらもその一つ一つに答えていい範囲を考えながら答えていた。
「かげつはしたっぱなので、くわしいことはわからないです。でもざっとこんなかんじです。やくにたちましたか?」
「立った立った! ありがと!花月ちゃん!」
「ならよかったです。たすけてくれたおれいができて、かげつもうれしいです」
「おねーちゃん! これでまた一歩、狐巫女に近づけたね!」
「そうね」
「なんか花月さんって子供っぽくない感じで不思議ですね」
「あ、確かに。胡桃ちゃんがいつも美月にべったりだからなんか不思議ー」
「まぁいいじゃねぇか。巫女さんとこで大変な目にあってこんな風にされちまってるかもしれねぇだろ?」
「確かに! 花月ちゃん、もうなにも怖くないからね! お姉ちゃんたちが守ってあげるから!」
「あ、はい。ありがとうございます」
ぺこと軽く頭を下げるとかわいいなぁ!と花月はエルラにぎゅーっと抱きしめられてしまう。
桜月や葉月みたいな人だなと思いながら花月はエルラにされるがままでいて。
そんな様子を見て妹ができたみたいねと美月に言われエルラはハッとし、花月をじっと見つめ、あたしが今日からお姉ちゃんね!と告げる。
花月はよくわからないままおねえちゃん?と呼ぶとエルラはかわいいー!とまた力いっぱい抱きしめた。
「今日はそれくらいにして、さっさと寝るわよ。明日には社に着くんだから」
「あ、そうだった。さ、花月ちゃん! エルラお姉ちゃんと一緒に寝ましょー!」
「はい。えるらおねえちゃん」
美月の合図もあり一同は洞窟の壁際により、各々眠りにつく。
けれど当の美月は眠る素振りも見せず寄りかかって眠る妹を見守りながらじっと座っていた。
「みつき」
「……どうしたの」
「みつきはどうして、きつねみこをたおそうとするですか?」
「憎いからよ。あいつがいる限り能力者は増える一方。それと同時に死んでいく人も。あいつさえいなければ私たちは幸せになれるの。だから殺す」
「ぜんぶきつねみこのせい、ですか?」
「そうよ」
「……そうですか」
「あんたは?」
「かげつはこわいです。にげてきたところにまたもどる。こわいです。でも、きつねみこはいちゃいけない。みんなをふこうにするから」
とりあえず同調しておこうと心にもないことを口にしながら花月は美月の出方を伺う。
けれど美月はその通りよというだけで特に何か探りを入れてくる様子はなかった。
花月はふぅ……と一息つくとゆっくりと起き上がり、少し外の空気を吸ってきますと告げ、一人洞窟を後にした。
律は婚約者を、エルラは家族を、樹は兄弟を、それぞれなくしたと。
みな巫女から不思議な力を授かり、その酷使で死んでいったと。
あいつさえいなければそんな力を授かることもなく平和で幸せな生活を送れたはずだと。
皆、口々にそう話した。
「花月さんはどうしてあそこで倒れていたんですか?」
「かげつは……」
なんて言おう、と考えているとみんなの視線が集中する。
こまったと少し悩んでから社から逃げてきたと話した。
するとみんなが驚いた顔をした。
まずかったか……と俯いていると社内はどんな感じだっただとか一斉に聞かれ花月は戸惑いながらもその一つ一つに答えていい範囲を考えながら答えていた。
「かげつはしたっぱなので、くわしいことはわからないです。でもざっとこんなかんじです。やくにたちましたか?」
「立った立った! ありがと!花月ちゃん!」
「ならよかったです。たすけてくれたおれいができて、かげつもうれしいです」
「おねーちゃん! これでまた一歩、狐巫女に近づけたね!」
「そうね」
「なんか花月さんって子供っぽくない感じで不思議ですね」
「あ、確かに。胡桃ちゃんがいつも美月にべったりだからなんか不思議ー」
「まぁいいじゃねぇか。巫女さんとこで大変な目にあってこんな風にされちまってるかもしれねぇだろ?」
「確かに! 花月ちゃん、もうなにも怖くないからね! お姉ちゃんたちが守ってあげるから!」
「あ、はい。ありがとうございます」
ぺこと軽く頭を下げるとかわいいなぁ!と花月はエルラにぎゅーっと抱きしめられてしまう。
桜月や葉月みたいな人だなと思いながら花月はエルラにされるがままでいて。
そんな様子を見て妹ができたみたいねと美月に言われエルラはハッとし、花月をじっと見つめ、あたしが今日からお姉ちゃんね!と告げる。
花月はよくわからないままおねえちゃん?と呼ぶとエルラはかわいいー!とまた力いっぱい抱きしめた。
「今日はそれくらいにして、さっさと寝るわよ。明日には社に着くんだから」
「あ、そうだった。さ、花月ちゃん! エルラお姉ちゃんと一緒に寝ましょー!」
「はい。えるらおねえちゃん」
美月の合図もあり一同は洞窟の壁際により、各々眠りにつく。
けれど当の美月は眠る素振りも見せず寄りかかって眠る妹を見守りながらじっと座っていた。
「みつき」
「……どうしたの」
「みつきはどうして、きつねみこをたおそうとするですか?」
「憎いからよ。あいつがいる限り能力者は増える一方。それと同時に死んでいく人も。あいつさえいなければ私たちは幸せになれるの。だから殺す」
「ぜんぶきつねみこのせい、ですか?」
「そうよ」
「……そうですか」
「あんたは?」
「かげつはこわいです。にげてきたところにまたもどる。こわいです。でも、きつねみこはいちゃいけない。みんなをふこうにするから」
とりあえず同調しておこうと心にもないことを口にしながら花月は美月の出方を伺う。
けれど美月はその通りよというだけで特に何か探りを入れてくる様子はなかった。
花月はふぅ……と一息つくとゆっくりと起き上がり、少し外の空気を吸ってきますと告げ、一人洞窟を後にした。