【GL】Fox Maiden-狐巫女の洗礼-
それからどのくらいが経っただろう。
花月は巫女に呼ばれ仕事を頼まれた。
花月単独での初仕事に社のみんながお祭り騒ぎ。
気をつけてねと御守を渡されたり、薬草を持たされたり。
巫女からは水晶玉と青い石でできたブレスレットを渡された。
「巫女様、これは?」
「その水晶は妾と交信できる。そっちの青いのはまあ、妾からの餞別だ。いいから黙って持っていけ」
「わかりました」
「花月ちゃーん! 気をつけてね!? やっぱりあたしも一緒に行く?」
「はいはい! 桜月も行くなら私も!」
「花月の独り立ちを邪魔しないでください」
花月は一人で立派に努めてみせますと言い切ると社の扉を開け、出ていく。
今回の任務はとある人たちと合流して、その中の一人を連れて帰ってくるという任務。
その人の名前は美月。
巫女に聞けばこの美月という女は巫女と深い関係があるという。
とりあえず手っ取り早く合流して連れてきた方が早いかと考え花月は森の中を進みながらその美月という女を探すため、巫女からもらった水晶にキスをする。
すると水晶が彼女の居場所を映し出してくれた。
彼女は今、三人の仲間たちとこちらに向かっているようだ。
どうやったらこの仲間に入れてもらえるだろうか。
そんなことを考えていると水晶が眩しいくらいに光りだし、花月の身体をすっぽりと隠してしまうとその姿をあの社に拾われてきたころの姿へと変えてしまった。
突然の事に驚きながらもまぁ子供の姿のほうが都合がいいかと花月は水晶を袖口にしまい美月達がいる場所へと向かう。
沢山の獣や、草木に阻まれながら花月は進む。
傷だらけになりながらもここが最短ルートだと確信して。
しばらく進むとやっと道らしい道に出た。
ボロボロな自分の姿を見てこれで倒れていたら拾ってくれるだろうかと思い、試しにその場にパタンと倒れ目を瞑り待ってみた。
――数時間後。
「ねー美月! 誰か倒れてるー!」
やかましい女の声が聞こえた。
これが美月か?と彼女たちの話を聞いているとこのやかましい女はエルラというらしく大丈夫?大丈夫?と何度も花月に声をかける。
花月はぴーぴーうるさいなぁ……と思いながらじっとその場で動かずにいた。
「敵……ではなさそうですね。リーダー、どうしますか?」
「見るからに弱そうだけどな!」
「……律」
「わかりました。やってみますね」
律と呼ばれた優しそうな声の人が花月に近づき治癒術を施す。
彼女たちが見守る中、そろそろいいかと花月はやっと目を覚まし、ここはどこですかと尋ねた。
辺りを見渡しながら彼女たちの顔を見ていくとその中の一人、この前水晶越しで見たポニーテールの少女が見てわからないの?と呆れたようにため息をつく。
その隣には今の花月とそう変わらない幼さの子供がいて、その子が手を繋いでいるポニーテールの少女におねーちゃん……と呼んでいたので多分この子は妹なんだろうと察した。
「あたしは美月。あんたは?」
「……かげつ。かげつはかげつ。はなにつきでかげつ」
そんなことを考えているとポニーテールの少女がそう名乗ってき、花月もとりあえず名乗っておこうと指で地面に自分の名前を書いて見せながら名乗った。
「くるみはね!くるみっていうの!おねーちゃんの妹!」
「くるみ……」
「ぼくは律、と言います。旋律の律です。どうぞよろしくお願いしますね、花月さん」
「りつ……」
「はいはーい! あたし、エルラ! ちなみにあたしがあんたの第一発見者ね!」
「えるら……」
「最後はオレだな。オレは樹。よろしくな、花月」
「いつき……」
よろしくおねがいしますと花月は立ち上がるとぺこっと頭を下げ、じっと美月を見つめる。
この子が巫女様の連れてこいって言ってた子……と見つめていると何?と赤い眼光がこちらを睨み付けた。
花月はなんでもありませんと告げると今度はみんなの顔を見渡し、なんで一緒にいるんですか?と口にした。
一同は少し戸惑いながらも君と一緒だよと代表して一番社交性がありそうな律が答えた。
「ぼくたちは狐巫女に復讐するために一緒にいるんです。彼女のせいでぼくたちは大切な人をたくさん失いました。君も、そうでしょう? こんなボロボロになってまで……よく頑張ってきましたね」
「ふくしゅう……」
「こんなところで長話もあれだからあそこの洞窟に入ろうよー、美月ー! あたし疲れたー!」
「わかったから。あんたもついてくる?」
「……かげつもいきます」
そう、と少し高めにくくられた黒髪を揺らし、美月はみなを連れて洞窟の中へと入っていく。
花月は巫女に呼ばれ仕事を頼まれた。
花月単独での初仕事に社のみんながお祭り騒ぎ。
気をつけてねと御守を渡されたり、薬草を持たされたり。
巫女からは水晶玉と青い石でできたブレスレットを渡された。
「巫女様、これは?」
「その水晶は妾と交信できる。そっちの青いのはまあ、妾からの餞別だ。いいから黙って持っていけ」
「わかりました」
「花月ちゃーん! 気をつけてね!? やっぱりあたしも一緒に行く?」
「はいはい! 桜月も行くなら私も!」
「花月の独り立ちを邪魔しないでください」
花月は一人で立派に努めてみせますと言い切ると社の扉を開け、出ていく。
今回の任務はとある人たちと合流して、その中の一人を連れて帰ってくるという任務。
その人の名前は美月。
巫女に聞けばこの美月という女は巫女と深い関係があるという。
とりあえず手っ取り早く合流して連れてきた方が早いかと考え花月は森の中を進みながらその美月という女を探すため、巫女からもらった水晶にキスをする。
すると水晶が彼女の居場所を映し出してくれた。
彼女は今、三人の仲間たちとこちらに向かっているようだ。
どうやったらこの仲間に入れてもらえるだろうか。
そんなことを考えていると水晶が眩しいくらいに光りだし、花月の身体をすっぽりと隠してしまうとその姿をあの社に拾われてきたころの姿へと変えてしまった。
突然の事に驚きながらもまぁ子供の姿のほうが都合がいいかと花月は水晶を袖口にしまい美月達がいる場所へと向かう。
沢山の獣や、草木に阻まれながら花月は進む。
傷だらけになりながらもここが最短ルートだと確信して。
しばらく進むとやっと道らしい道に出た。
ボロボロな自分の姿を見てこれで倒れていたら拾ってくれるだろうかと思い、試しにその場にパタンと倒れ目を瞑り待ってみた。
――数時間後。
「ねー美月! 誰か倒れてるー!」
やかましい女の声が聞こえた。
これが美月か?と彼女たちの話を聞いているとこのやかましい女はエルラというらしく大丈夫?大丈夫?と何度も花月に声をかける。
花月はぴーぴーうるさいなぁ……と思いながらじっとその場で動かずにいた。
「敵……ではなさそうですね。リーダー、どうしますか?」
「見るからに弱そうだけどな!」
「……律」
「わかりました。やってみますね」
律と呼ばれた優しそうな声の人が花月に近づき治癒術を施す。
彼女たちが見守る中、そろそろいいかと花月はやっと目を覚まし、ここはどこですかと尋ねた。
辺りを見渡しながら彼女たちの顔を見ていくとその中の一人、この前水晶越しで見たポニーテールの少女が見てわからないの?と呆れたようにため息をつく。
その隣には今の花月とそう変わらない幼さの子供がいて、その子が手を繋いでいるポニーテールの少女におねーちゃん……と呼んでいたので多分この子は妹なんだろうと察した。
「あたしは美月。あんたは?」
「……かげつ。かげつはかげつ。はなにつきでかげつ」
そんなことを考えているとポニーテールの少女がそう名乗ってき、花月もとりあえず名乗っておこうと指で地面に自分の名前を書いて見せながら名乗った。
「くるみはね!くるみっていうの!おねーちゃんの妹!」
「くるみ……」
「ぼくは律、と言います。旋律の律です。どうぞよろしくお願いしますね、花月さん」
「りつ……」
「はいはーい! あたし、エルラ! ちなみにあたしがあんたの第一発見者ね!」
「えるら……」
「最後はオレだな。オレは樹。よろしくな、花月」
「いつき……」
よろしくおねがいしますと花月は立ち上がるとぺこっと頭を下げ、じっと美月を見つめる。
この子が巫女様の連れてこいって言ってた子……と見つめていると何?と赤い眼光がこちらを睨み付けた。
花月はなんでもありませんと告げると今度はみんなの顔を見渡し、なんで一緒にいるんですか?と口にした。
一同は少し戸惑いながらも君と一緒だよと代表して一番社交性がありそうな律が答えた。
「ぼくたちは狐巫女に復讐するために一緒にいるんです。彼女のせいでぼくたちは大切な人をたくさん失いました。君も、そうでしょう? こんなボロボロになってまで……よく頑張ってきましたね」
「ふくしゅう……」
「こんなところで長話もあれだからあそこの洞窟に入ろうよー、美月ー! あたし疲れたー!」
「わかったから。あんたもついてくる?」
「……かげつもいきます」
そう、と少し高めにくくられた黒髪を揺らし、美月はみなを連れて洞窟の中へと入っていく。