【GL】Fox Maiden-狐巫女の洗礼-

「巫女様、連れてまいりました」
「おお! 待ちくたびれたぞ! どれ、見せてみろ」

こちらですと被せた布を取りその姿を巫女の前に晒す。
巫女はその姿を見ると見違えたな!とその場所から立ち上がり急ぎ足で花月の元へやってくる。

「先程のおぬしとは雲泥の差だな! 気に入った! 今日からおぬしは妾の従者となれ! 妾が直々に手取り足取り教えてやろう!」
「じゅーしゃ……」

よいな!と花月を自分の元へ抱き寄せ狐面の人たちに告げるとそこにいた人たちは少しどよめきながらもそれが巫女様のご意思ならと跪いていた。
当の花月は巫女が何を言っているのかわからずただ彼女の大きな胸越しに顔を見上げているだけ。
それから花月は巫女の従者として相応しくなるために様々な教育を施された。
読み書きのできない花月に様々なものに例えて教えたり、数えることができない彼女に数え方を教えたり。
花月は教えられることを純粋に吸収していった。
そんな彼女を見て周りの人達の中にはからかうものもいれば、可愛がってくれる人もいた。
なにせこの社には子供は花月一人。
狐面の人たちは皆成人済みのものばかりで突然やってきた子供を育てることが楽しいとさえ感じる人がいたほどで。

「今日も相変わらずかわいいなぁー!!花月ちゃーん!」
「ちょっと! 桜月ばっかずるいじゃない!」
「むっ……桜月さつき葉月はづき、離れてほしいです」

その中でも初日に彼女を入浴させた二人の可愛がりようは異常で。
どれだけの年月が経っても二人は花月をお世話すると離してはくれなかった。
本日も花月は二人に抱きつかれ身動きが取れない状態で、困った彼女は離れてほしいと言うも二人は聞いていない。

「葉月は昨日お風呂当番だったでしょー! 今日はあたしが花月ちゃんのお風呂当番なのー!」
「残念でしたー! 今日の花月ちゃんの添い寝担当は私ですぅ!」
「あー!! ずるい! あたしも花月ちゃんと添い寝する!」
「だめー!」
「……花月は一人で寝れます…… 」
「賑やかだと思ったらまたおぬしらか」
「「み、巫女様!」」

不意に現れた巫女に二人は慌ててずらしていた狐面をかぶり直し、花月から離れ膝をつき頭を垂れる。
花月は今のうちにと二人から身を隠すように巫女の後ろへ回った。

「巫女様」
「人気者だな、花月」
「桜月も葉月も花月を子供扱いします。花月はもう小さい子供じゃないです」
「仕方なかろう? 花月はみんなにとって永遠に可愛い可愛い子供なのだからなぁ」
「む……」
「頬を膨らませてどうした? そんな顔も可愛いぞ、花月」

ぷいっと顔をそむける花月に巫女は楽しげに笑うとあまり花月を困らせるなよと二人に彼女を預け脱衣所を出ていった。
彼女の足音が聞こえなくなると二人はふぅ……と一息つきお風呂入ろっかと声をかけられた。

「二人は入らないですか?」
「あたしたちはほら、お世話係だからね。序列順だからまだまだ先かな」
「破ったら怒られちゃうしねー」
「……なら花月と一緒なら怒られないですか?」
「え、まぁ……花月ちゃんがあたしたちと入りたいって言う事ならたぶん……」
「なら一緒に入るです。そしたら二人とも花月を取り合わなくて済む」

これでおしまいと告げると二人は顔を見合わせ花月ちゃんがそういうならとぽいぽいと服を脱いでいく。
花月は一息つき、自分もと服を脱いでいるとあたしがやるー!と桜月に脱がされお風呂場へ突入した。
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