【ルミ敵堕ち編】絶望の果てに、世界で一番甘い奇跡を
ルミの姿が城下町から消え去ってから、さらに時間は残酷に流れ続けていた。
王宮の空気は、日を追うごとに息が詰まるほどの緊迫感を増している。
アルフレッドが直属の偵察部隊を総動員し、国境から王都の隅々に至るまで網の目を広げて捜索を続けさせたものの、ルミの行方は依然として杳として知れなかった。
何より不気味なのは、ルミを攫った犯人グループから、身代金や政治的譲歩を迫る「要求」が一向に届かないことだった。
「一体、敵の狙いはなんなんだ……。ルミくんほどの存在を誘拐しておきながら、なぜ何も言ってこない……」
国王執務室で、アルフレッドは深く椅子に腰掛け、眉間を指で押さえながら独りごちた。
ただの人質であれば、とっくに何らかの接触があるはずだ。
それがないということは、敵はレイストール王国との交渉ではなく、もっと別の、歪んだ目的のためにルミを拘束しているのではないか――。
そうした不穏な予測が頭をよぎり、アルフレッドの心をじわじわと焦らせていく。
そんな膠着状態の最中、重厚な扉が叩かれ、一人の伝令兵が血相を変えて室内に飛び込んできた。
「陛下! 地方の管轄領より、緊急の書状が届きました!」
「……何事だい?」
受け取った伝書に目を通した瞬間、アルフレッドの碧眼が鋭く見開かれた。
そこに記されていたのは、ここ最近、国内の特定地域で頻繁に発生している「集落の不審な襲撃と消滅」に関する追加報告だった。
被害に遭っているのは、すべてレイストール王国が直接管轄し、強固な防衛線を敷いているはずの要所や集落ばかりだった。
しかも、襲撃された場所はことごとく建物が崩壊し、生存者が一人も残らないほど徹底的に破壊し尽くされているという。
まるで、巨大な天災に一夜にして飲み込まれたかのように。
「またか……。これで、今月に入って四箇所目だぞ」
アルフレッドは痛む頭を抱え、深く溜息をついた。
国境の不穏を鎮圧したと思えば、今度は国内の管轄領が狙われる。
しかも、その破壊の規模は通常の賊や反乱軍の仕業とは思えないほど苛烈極まりないものだった。
ルミの捜索に全力を注ぎたいこの局面に、重なるようにして起こる不可解な大量虐殺。
これが単なる偶然なのか、それとも連動した陰謀なのか、今のアルフレッドには判断がつかなかった。
だが、これ以上の被害拡大は国家の威信に関わる。
「……すぐに臨時の調査団を編成しろ。宮廷魔導師の精鋭も同行させ、その消滅した集落の残痕を徹底的に調べ上げるんだ。一体どのような魔術が使われたのか、何者の仕業なのか、至急突き止めろ!」
「御意に!」
伝令兵が退室したあと、アルフレッドは再び静まり返った室内に一人取り残された。
見えない敵の手によって、少しずつ、けれど確実に削り取られていく王国の平穏。
その不気味な足音は、静かに王宮の足元まで迫りつつあった。
◆
王宮の一角にある、陽光の届かない静かな一室。
かつて城下町で傷ついたリリィの足は、王宮の優秀な治癒魔導師たちの手によって、すでに完璧な回復を迎えていた。
肉体の痛みは、もうどこにも残っていない。
しかし、彼女の心に刻まれた深い裂傷は、癒えるどころか日を追うごとにその血を流し続けていた。
「う、あ……っ……、ルミ、さま……。わたしの、せいで……っ」
リリィはベッドの上で膝を抱え、毎日、毎日、大粒の涙を流して泣きじゃくっていた。
脳裏に焼き付いて離れないのは、自分を突き飛ばしたルミの細い背中と、引き裂かれるような『早く逃げて』という叫び声。
そして、冷たい石畳の上に無残に散らばった、二人で楽しそうに選んだ真っ赤なイチゴの光景だった。
自分がもっと強ければ。自分が怖がらずに、あのときルミ様の手を引っ張り返していれば。
押し寄せる激しい後悔と罪悪感が、か弱い彼女の精神を容赦なく擦り切らせていく。
「……リリィ」
そんな彼女の傍らに、音もなく寄り添う影があった。
新緑の瞳を酷く憂いに沈ませたレオが、そっとリリィの小さな身体を横から抱きすくめる。
その腕の力は驚くほど優しく、しかし決して彼女を離さないという強い執着に満ちていた。
「大丈夫、大丈夫ですよ、私の可愛いお姫様。そんなに泣かないでください……。貴方の綺麗な瞳が腫れてしまうのは、私の心が引き裂かれるよりも辛いことだ」
レオはリリィの涙に濡れた頬を、仕立ての良い手袋を嵌めた指先で丁寧に、何度も拭った。
その声音は、いつも通りの穏やかで甘やかな響きを保っている。
だが、その新緑の瞳の奥底には、リリィをここまで追い詰めた見えざる敵への、どす黒い殺意の炎が冷酷に揺らめいていた。
「……でも、ルミさまが……っ。どこに、いるのか、わからないの、です……。つらくて、いたい思いを……していたら、わたし……っ」
「ルミにぃなら、すぐに私たちが恐怖の底から引きずり出して見せます。叔父上も今、飢えた獣のように敵の尻尾を待っているところですからね。……ですから、自分を責めてはいけません。貴方は何も悪くない。悪いのはすべて、我が家の箱庭に泥靴で踏み込んできた、あの不浄の虫どもなのですから」
レオはリリィの白い髪に、愛おしげに何度も唇を寄せた。
リリィの回復を最優先に考え、彼女のそばを離れずに宥め続けているものの、レオの中の「戦闘狂」としての飢えと狂気もまた、すでに限界を迎えていた。
ルミを奪い、自らの最愛であるリリィにここまで消えない怯えと涙を刻みつけた外道どもに天罰を。
「もうすぐですよ、リリィ。その虫どもがどこに隠れていようと、必ず見つけ出し、貴方の目の前で一匹残らず磨り潰して差し上げます。……だから、安心してくださいね」
聖者のような美しい微笑みのまま、レオは極上の優しさでリリィの背中を撫で続ける。
その胸の内で、いつでも世界を血に染めるための冷徹な牙が、今か今かと解き放たれる瞬間を待っていた。
◆
冷徹な静寂が支配するアルヴィーノの執務室。
主を失ったソファの傍らには、あの日ルミがお茶会で使うはずだったお気に入りの磁器のティーカップが、磨かれたまま静かに佇んでいる。
いつもなら天真爛漫な笑顔で「アルヴィーノ!」と駆け寄ってくる最愛の姿は、そこにはない。
アルヴィーノは表情を一切変えぬまま、机の上に広げられた巨大な大陸地図をじっと見つめていた。
その瞳は、燃え盛るような怒りを完全に内側へ閉じ込め、絶対零度の思考回路を動かしている。
地図の上には、いくつかの地点に赤いバツ印がつけられていた。
兄であるアルフレッドのもたらした、最近国内で頻繁に発生している「集落の消滅」の被害地だ。
(……レイストールが管轄する要所ばかりが、正確に狙われている。それも、軍勢による進軍の痕跡すらなく、一夜にして生存者を一人も残さず徹底的に消し去る、圧倒的な力による殲滅)
アルヴィーノの細い指先が、地図の上のバツ印を静かに全くなぞっていく。
これほどの破壊を、目立った軍の動きもなしに行える存在など、この大陸にそう幾つもあるはずがない。
もしそれが、単一の強力な個体によるものだとしたら――。
そこへ、もう一つの異常な事実が重なる。
ルミを攫っていった工作員どもが、未だに何の要求も突きつけてこないこと。
人質を外交の交渉道具にするでもなく、身代金を要求するでもなく、ただ監禁し続けているという不自然さ。
要求がないのではない。最初から交渉などする気がないのだ。
ならば、奴らがルミを拉致した本当の目的は一体何か。
「……なるほど、そういうことですか」
アルヴィーノの口から、氷の割れるような低い声が漏れた。
各地の不可解な大量虐殺。ルミの拉致と、沈黙。
それらのバラバラだったピースが、アルヴィーノの頭脳の中で、瞬時に一つの恐るべき、そして最悪の正解を導き出していった。
(奴らはルミを『人質』として見ているのではない。……ルミの中にある膨大な闇の魔力を、強引に引き出し、制御し、自らの『兵器』として利用している)
そうでなければ、レイストールの防衛線を紙切れのように引き裂く「圧倒的な殲滅」の説明がつかない。
あの天災のような破壊の爪痕は、実験によって無理やり暴走させられ、敵の操り人形と化してしまった、ルミの闇魔法そのものの威力ではないのか。
自分たちの管轄領を正確に狙っているのは、レイストールへの復讐、あるいは兵器としての『性能テスト』。
「私のルミを、そのような薄汚い実験の道具にしているとは……」
パキリ、と硬質な音が響いた。
アルヴィーノの手元から溢れ出た凄まじい魔力が、机の上の大理石を、そして広げられた地図の半分を瞬時に真っ白く凍りつかせていく。
紫瞳の奥底で、かつてないほどの狂気的な暗黒の炎が、静かに、けれど爆発的に燃え上がった。
すべてが繋がった。
敵の狙いも、ルミが今どこでどれほどの苦痛を味わわされているかも。
正解へ至った魔王は、椅子から静かに立ち上がると、漆黒の軍服の襟を正した。
理性が弾け飛ぶほどの激昂を、完璧な冷徹さで塗り潰しながら、彼は最愛を地獄から引きずり戻し、その手で世界を終わらせるための冷酷な一歩を踏み出そうとしていた。
王宮の空気は、日を追うごとに息が詰まるほどの緊迫感を増している。
アルフレッドが直属の偵察部隊を総動員し、国境から王都の隅々に至るまで網の目を広げて捜索を続けさせたものの、ルミの行方は依然として杳として知れなかった。
何より不気味なのは、ルミを攫った犯人グループから、身代金や政治的譲歩を迫る「要求」が一向に届かないことだった。
「一体、敵の狙いはなんなんだ……。ルミくんほどの存在を誘拐しておきながら、なぜ何も言ってこない……」
国王執務室で、アルフレッドは深く椅子に腰掛け、眉間を指で押さえながら独りごちた。
ただの人質であれば、とっくに何らかの接触があるはずだ。
それがないということは、敵はレイストール王国との交渉ではなく、もっと別の、歪んだ目的のためにルミを拘束しているのではないか――。
そうした不穏な予測が頭をよぎり、アルフレッドの心をじわじわと焦らせていく。
そんな膠着状態の最中、重厚な扉が叩かれ、一人の伝令兵が血相を変えて室内に飛び込んできた。
「陛下! 地方の管轄領より、緊急の書状が届きました!」
「……何事だい?」
受け取った伝書に目を通した瞬間、アルフレッドの碧眼が鋭く見開かれた。
そこに記されていたのは、ここ最近、国内の特定地域で頻繁に発生している「集落の不審な襲撃と消滅」に関する追加報告だった。
被害に遭っているのは、すべてレイストール王国が直接管轄し、強固な防衛線を敷いているはずの要所や集落ばかりだった。
しかも、襲撃された場所はことごとく建物が崩壊し、生存者が一人も残らないほど徹底的に破壊し尽くされているという。
まるで、巨大な天災に一夜にして飲み込まれたかのように。
「またか……。これで、今月に入って四箇所目だぞ」
アルフレッドは痛む頭を抱え、深く溜息をついた。
国境の不穏を鎮圧したと思えば、今度は国内の管轄領が狙われる。
しかも、その破壊の規模は通常の賊や反乱軍の仕業とは思えないほど苛烈極まりないものだった。
ルミの捜索に全力を注ぎたいこの局面に、重なるようにして起こる不可解な大量虐殺。
これが単なる偶然なのか、それとも連動した陰謀なのか、今のアルフレッドには判断がつかなかった。
だが、これ以上の被害拡大は国家の威信に関わる。
「……すぐに臨時の調査団を編成しろ。宮廷魔導師の精鋭も同行させ、その消滅した集落の残痕を徹底的に調べ上げるんだ。一体どのような魔術が使われたのか、何者の仕業なのか、至急突き止めろ!」
「御意に!」
伝令兵が退室したあと、アルフレッドは再び静まり返った室内に一人取り残された。
見えない敵の手によって、少しずつ、けれど確実に削り取られていく王国の平穏。
その不気味な足音は、静かに王宮の足元まで迫りつつあった。
◆
王宮の一角にある、陽光の届かない静かな一室。
かつて城下町で傷ついたリリィの足は、王宮の優秀な治癒魔導師たちの手によって、すでに完璧な回復を迎えていた。
肉体の痛みは、もうどこにも残っていない。
しかし、彼女の心に刻まれた深い裂傷は、癒えるどころか日を追うごとにその血を流し続けていた。
「う、あ……っ……、ルミ、さま……。わたしの、せいで……っ」
リリィはベッドの上で膝を抱え、毎日、毎日、大粒の涙を流して泣きじゃくっていた。
脳裏に焼き付いて離れないのは、自分を突き飛ばしたルミの細い背中と、引き裂かれるような『早く逃げて』という叫び声。
そして、冷たい石畳の上に無残に散らばった、二人で楽しそうに選んだ真っ赤なイチゴの光景だった。
自分がもっと強ければ。自分が怖がらずに、あのときルミ様の手を引っ張り返していれば。
押し寄せる激しい後悔と罪悪感が、か弱い彼女の精神を容赦なく擦り切らせていく。
「……リリィ」
そんな彼女の傍らに、音もなく寄り添う影があった。
新緑の瞳を酷く憂いに沈ませたレオが、そっとリリィの小さな身体を横から抱きすくめる。
その腕の力は驚くほど優しく、しかし決して彼女を離さないという強い執着に満ちていた。
「大丈夫、大丈夫ですよ、私の可愛いお姫様。そんなに泣かないでください……。貴方の綺麗な瞳が腫れてしまうのは、私の心が引き裂かれるよりも辛いことだ」
レオはリリィの涙に濡れた頬を、仕立ての良い手袋を嵌めた指先で丁寧に、何度も拭った。
その声音は、いつも通りの穏やかで甘やかな響きを保っている。
だが、その新緑の瞳の奥底には、リリィをここまで追い詰めた見えざる敵への、どす黒い殺意の炎が冷酷に揺らめいていた。
「……でも、ルミさまが……っ。どこに、いるのか、わからないの、です……。つらくて、いたい思いを……していたら、わたし……っ」
「ルミにぃなら、すぐに私たちが恐怖の底から引きずり出して見せます。叔父上も今、飢えた獣のように敵の尻尾を待っているところですからね。……ですから、自分を責めてはいけません。貴方は何も悪くない。悪いのはすべて、我が家の箱庭に泥靴で踏み込んできた、あの不浄の虫どもなのですから」
レオはリリィの白い髪に、愛おしげに何度も唇を寄せた。
リリィの回復を最優先に考え、彼女のそばを離れずに宥め続けているものの、レオの中の「戦闘狂」としての飢えと狂気もまた、すでに限界を迎えていた。
ルミを奪い、自らの最愛であるリリィにここまで消えない怯えと涙を刻みつけた外道どもに天罰を。
「もうすぐですよ、リリィ。その虫どもがどこに隠れていようと、必ず見つけ出し、貴方の目の前で一匹残らず磨り潰して差し上げます。……だから、安心してくださいね」
聖者のような美しい微笑みのまま、レオは極上の優しさでリリィの背中を撫で続ける。
その胸の内で、いつでも世界を血に染めるための冷徹な牙が、今か今かと解き放たれる瞬間を待っていた。
◆
冷徹な静寂が支配するアルヴィーノの執務室。
主を失ったソファの傍らには、あの日ルミがお茶会で使うはずだったお気に入りの磁器のティーカップが、磨かれたまま静かに佇んでいる。
いつもなら天真爛漫な笑顔で「アルヴィーノ!」と駆け寄ってくる最愛の姿は、そこにはない。
アルヴィーノは表情を一切変えぬまま、机の上に広げられた巨大な大陸地図をじっと見つめていた。
その瞳は、燃え盛るような怒りを完全に内側へ閉じ込め、絶対零度の思考回路を動かしている。
地図の上には、いくつかの地点に赤いバツ印がつけられていた。
兄であるアルフレッドのもたらした、最近国内で頻繁に発生している「集落の消滅」の被害地だ。
(……レイストールが管轄する要所ばかりが、正確に狙われている。それも、軍勢による進軍の痕跡すらなく、一夜にして生存者を一人も残さず徹底的に消し去る、圧倒的な力による殲滅)
アルヴィーノの細い指先が、地図の上のバツ印を静かに全くなぞっていく。
これほどの破壊を、目立った軍の動きもなしに行える存在など、この大陸にそう幾つもあるはずがない。
もしそれが、単一の強力な個体によるものだとしたら――。
そこへ、もう一つの異常な事実が重なる。
ルミを攫っていった工作員どもが、未だに何の要求も突きつけてこないこと。
人質を外交の交渉道具にするでもなく、身代金を要求するでもなく、ただ監禁し続けているという不自然さ。
要求がないのではない。最初から交渉などする気がないのだ。
ならば、奴らがルミを拉致した本当の目的は一体何か。
「……なるほど、そういうことですか」
アルヴィーノの口から、氷の割れるような低い声が漏れた。
各地の不可解な大量虐殺。ルミの拉致と、沈黙。
それらのバラバラだったピースが、アルヴィーノの頭脳の中で、瞬時に一つの恐るべき、そして最悪の正解を導き出していった。
(奴らはルミを『人質』として見ているのではない。……ルミの中にある膨大な闇の魔力を、強引に引き出し、制御し、自らの『兵器』として利用している)
そうでなければ、レイストールの防衛線を紙切れのように引き裂く「圧倒的な殲滅」の説明がつかない。
あの天災のような破壊の爪痕は、実験によって無理やり暴走させられ、敵の操り人形と化してしまった、ルミの闇魔法そのものの威力ではないのか。
自分たちの管轄領を正確に狙っているのは、レイストールへの復讐、あるいは兵器としての『性能テスト』。
「私のルミを、そのような薄汚い実験の道具にしているとは……」
パキリ、と硬質な音が響いた。
アルヴィーノの手元から溢れ出た凄まじい魔力が、机の上の大理石を、そして広げられた地図の半分を瞬時に真っ白く凍りつかせていく。
紫瞳の奥底で、かつてないほどの狂気的な暗黒の炎が、静かに、けれど爆発的に燃え上がった。
すべてが繋がった。
敵の狙いも、ルミが今どこでどれほどの苦痛を味わわされているかも。
正解へ至った魔王は、椅子から静かに立ち上がると、漆黒の軍服の襟を正した。
理性が弾け飛ぶほどの激昂を、完璧な冷徹さで塗り潰しながら、彼は最愛を地獄から引きずり戻し、その手で世界を終わらせるための冷酷な一歩を踏み出そうとしていた。