凍てつく姫に、春を告ぐ-蒼き獅子の騎士譚-
パカパカと蹄の音を響かせ、夕暮れのレイストール城へと帰還した遠征組。
馬を預けるや否や、レオはもどかしさを隠せない足取りで、リリィとルミが待つ自身の部屋へと急いだ。
背後からは、いつものように足音も立てず、涼しい顔をしたアルヴィーノが歩いてくる。
重厚な扉の前に立ち、レオがそのノックももどかしく扉を押し開けた、その瞬間。
「アルヴィーノ様ぁーーっ!! おかえりなさーーーい!!」
部屋の奥から、白いフリルをひらひらと揺らした水色の塊が、もの凄い勢いで飛び出してきた。
ルミはレオの横を風のようにすり抜けると、その勢いのままアルヴィーノの胸へと飛び込み、思い切りその首に抱きついた。
「寂しかった! ちゃんとご飯食べてた!? 怪我してない!?」
「おやおや、ただいま戻りましたよ、俺の可愛い小鳥(ルミ)。そんなに勢いよく飛びついたら危ないでしょう?」
普段の冷徹な軍師の仮面はどこへやら、アルヴィーノはひょいとルミの身体を抱きとめると、その水色の長い髪をこの上なく愛おしそうに撫でまわし、とろけるような甘い声を出す。
ルミもその胸に顔をすり寄せ、完全に自分の「王子様」に溺れきった無邪気な笑顔を浮かべていた。
そんな、一瞬でピンク色の空間と化した入り口を通り抜け、レオは真っ直ぐに部屋の奥――自身のベッドへと視線を走らせた。
そこには、ルミの賑やかな声に驚いたように起き上がり、ベッドの縁にちょこんと腰掛けているリリィの姿があった。
数日間の留守中、ルミにぃの手厚いお世話のおかげだろう、その白い頬は健康的な赤みを帯び、怯えの色の代わりに、切ないほどの切望がその赤い瞳に宿っている。
リリィはレオの姿をその目に映した瞬間、じわっと大粒の涙を瞳に溜め、小さな手を胸の前できゅっと握り締めた。
「……れ、レオ様……っ」
おどおどとした、けれど、これ以上ないほどに愛おしさを孕んだ鈴を転がすような声。
「おかえりなさい、です……。……ずっと、待っていました……っ」
その声を聞いた瞬間、レオの胸の奥で、北方遠征の地獄を耐え抜いた狂気的な独占欲が、歓喜の悲鳴を上げて爆発した。
叔父から学んだ、彼女を自分なしでは生きていけなくするための「本当の優しさ」。
その甘い呪いを今すぐ彼女に注ぎ込みたくて、レオは泥にまみれた衣服のことも忘れ、愛おしい少女のもとへと歩み寄るのだった。
馬を預けるや否や、レオはもどかしさを隠せない足取りで、リリィとルミが待つ自身の部屋へと急いだ。
背後からは、いつものように足音も立てず、涼しい顔をしたアルヴィーノが歩いてくる。
重厚な扉の前に立ち、レオがそのノックももどかしく扉を押し開けた、その瞬間。
「アルヴィーノ様ぁーーっ!! おかえりなさーーーい!!」
部屋の奥から、白いフリルをひらひらと揺らした水色の塊が、もの凄い勢いで飛び出してきた。
ルミはレオの横を風のようにすり抜けると、その勢いのままアルヴィーノの胸へと飛び込み、思い切りその首に抱きついた。
「寂しかった! ちゃんとご飯食べてた!? 怪我してない!?」
「おやおや、ただいま戻りましたよ、俺の可愛い小鳥(ルミ)。そんなに勢いよく飛びついたら危ないでしょう?」
普段の冷徹な軍師の仮面はどこへやら、アルヴィーノはひょいとルミの身体を抱きとめると、その水色の長い髪をこの上なく愛おしそうに撫でまわし、とろけるような甘い声を出す。
ルミもその胸に顔をすり寄せ、完全に自分の「王子様」に溺れきった無邪気な笑顔を浮かべていた。
そんな、一瞬でピンク色の空間と化した入り口を通り抜け、レオは真っ直ぐに部屋の奥――自身のベッドへと視線を走らせた。
そこには、ルミの賑やかな声に驚いたように起き上がり、ベッドの縁にちょこんと腰掛けているリリィの姿があった。
数日間の留守中、ルミにぃの手厚いお世話のおかげだろう、その白い頬は健康的な赤みを帯び、怯えの色の代わりに、切ないほどの切望がその赤い瞳に宿っている。
リリィはレオの姿をその目に映した瞬間、じわっと大粒の涙を瞳に溜め、小さな手を胸の前できゅっと握り締めた。
「……れ、レオ様……っ」
おどおどとした、けれど、これ以上ないほどに愛おしさを孕んだ鈴を転がすような声。
「おかえりなさい、です……。……ずっと、待っていました……っ」
その声を聞いた瞬間、レオの胸の奥で、北方遠征の地獄を耐え抜いた狂気的な独占欲が、歓喜の悲鳴を上げて爆発した。
叔父から学んだ、彼女を自分なしでは生きていけなくするための「本当の優しさ」。
その甘い呪いを今すぐ彼女に注ぎ込みたくて、レオは泥にまみれた衣服のことも忘れ、愛おしい少女のもとへと歩み寄るのだった。