主と従者の檻に、世界で一番甘い誓いを
研究所を灰燼に帰した二人は、そのまま馬車を走らせ、今度はその黒幕たる貴族たちの屋敷へと向かった。
今度は逃げ場のない、「審判」の儀式だ。
貴族たちの私邸に足を踏み入れた二人を護衛たちが止めようとするが、アルヴィーノが銀の杖を軽く振るだけで、重力魔法によって全員がその場に縫い付けられたように動けなくなった。
「騒がしいですね。ルミが耳を塞いでいるでしょう」
アルヴィーノの冷ややかな一言に、その場にいた者たちは恐怖で青ざめ、声を上げることもできなくなった。
広間に引きずり出された当主たちが、震えながら命乞いを始める。
「わ、私は……ただ命令に……っ! お慈悲を……!」
「どうかお助けを……!」
見苦しい言い訳を吐き出す彼らを見下ろし、ルミは静かに黄金の杖を構えた。
その瞳には、かつて自分が味わった恐怖や孤独の記憶すらも、今ではただの無価値な砂のように映っている。
「……王子様。この人たち、うるさいね」
「ええ、耳障りですね。では、二人で静かにしてもらいましょうか」
ルミが杖を地面に突き立てると、床から這い出した漆黒の影が、貴族たちを足元から飲み込み始めた。
「――深淵の鎖よ、罪人を永遠の静寂へ誘え!アビス・シャックル!!」
影の鎖が貴族たちの四肢を縛り上げ、その魔力と権威を根こそぎ吸い上げていく。
声帯までもが影に飲み込まれ、彼らは口をパクパクとさせるだけで、悲鳴さえも上げられなくなった。
アルヴィーノは愛おしげにルミの背中に手を添え、杖を握るその小さな手を自らの大きな手で包み込んだ。
「貴方の闇が彼らの傲慢を縛り、私の焔がその魂まで焼き切ります。――終わりにするために、心を一つにしましょう」
アルヴィーノが空間に亀裂を走らせ、そこから禍々しい業火を呼び出した。
「――断罪の果て、無に帰せし業火よ、焼き払え。『イグニス・アナイアレイション」
放たれた業火は、広間全体を包み込んだ。
研究員たちを焼き払った時とは違う、もっと濃密で、逃げ場のない浄化の炎。
貴族たちの豪奢な屋敷は、彼らの醜い欲望と共に、一瞬にして光の中に溶けて消えた。
悲鳴も、言い訳も、何もかもが炎の中で無音の灰へと変わっていく。
焼け残ったものは何もなく、ただそこには静かな更地と夕闇が残るのみだった。
「……ねえ、王子様。終わったね」
「ええ、終わりました。……これでもう、貴方を傷つける者はどこにも存在しません」
アルヴィーノは真っ白に燃え尽きた場所を見つめ、ルミを抱きかかえて優しく微笑んだ。
「帰りましょう、ルミ。……王宮では、貴方の好きなブルーベリータルトを山ほど用意させてあります。今夜は、誰にも邪魔されず、二人で甘い時間を過ごしましょう」
「うん! いっぱい食べる!」
二人は全てを焼き払った後の穏やかな風の中、王宮へと帰路につく。
彼らの背後には、彼らを傷つけようとした者たちの面影はもう、一片の灰すらも残っていなかった。
今度は逃げ場のない、「審判」の儀式だ。
貴族たちの私邸に足を踏み入れた二人を護衛たちが止めようとするが、アルヴィーノが銀の杖を軽く振るだけで、重力魔法によって全員がその場に縫い付けられたように動けなくなった。
「騒がしいですね。ルミが耳を塞いでいるでしょう」
アルヴィーノの冷ややかな一言に、その場にいた者たちは恐怖で青ざめ、声を上げることもできなくなった。
広間に引きずり出された当主たちが、震えながら命乞いを始める。
「わ、私は……ただ命令に……っ! お慈悲を……!」
「どうかお助けを……!」
見苦しい言い訳を吐き出す彼らを見下ろし、ルミは静かに黄金の杖を構えた。
その瞳には、かつて自分が味わった恐怖や孤独の記憶すらも、今ではただの無価値な砂のように映っている。
「……王子様。この人たち、うるさいね」
「ええ、耳障りですね。では、二人で静かにしてもらいましょうか」
ルミが杖を地面に突き立てると、床から這い出した漆黒の影が、貴族たちを足元から飲み込み始めた。
「――深淵の鎖よ、罪人を永遠の静寂へ誘え!アビス・シャックル!!」
影の鎖が貴族たちの四肢を縛り上げ、その魔力と権威を根こそぎ吸い上げていく。
声帯までもが影に飲み込まれ、彼らは口をパクパクとさせるだけで、悲鳴さえも上げられなくなった。
アルヴィーノは愛おしげにルミの背中に手を添え、杖を握るその小さな手を自らの大きな手で包み込んだ。
「貴方の闇が彼らの傲慢を縛り、私の焔がその魂まで焼き切ります。――終わりにするために、心を一つにしましょう」
アルヴィーノが空間に亀裂を走らせ、そこから禍々しい業火を呼び出した。
「――断罪の果て、無に帰せし業火よ、焼き払え。『イグニス・アナイアレイション」
放たれた業火は、広間全体を包み込んだ。
研究員たちを焼き払った時とは違う、もっと濃密で、逃げ場のない浄化の炎。
貴族たちの豪奢な屋敷は、彼らの醜い欲望と共に、一瞬にして光の中に溶けて消えた。
悲鳴も、言い訳も、何もかもが炎の中で無音の灰へと変わっていく。
焼け残ったものは何もなく、ただそこには静かな更地と夕闇が残るのみだった。
「……ねえ、王子様。終わったね」
「ええ、終わりました。……これでもう、貴方を傷つける者はどこにも存在しません」
アルヴィーノは真っ白に燃え尽きた場所を見つめ、ルミを抱きかかえて優しく微笑んだ。
「帰りましょう、ルミ。……王宮では、貴方の好きなブルーベリータルトを山ほど用意させてあります。今夜は、誰にも邪魔されず、二人で甘い時間を過ごしましょう」
「うん! いっぱい食べる!」
二人は全てを焼き払った後の穏やかな風の中、王宮へと帰路につく。
彼らの背後には、彼らを傷つけようとした者たちの面影はもう、一片の灰すらも残っていなかった。
