孤独な神官は幼鬼に絆される
そうして一通りの仕事を終わらせると家へと帰宅する。
「はぁ……疲れた……」
「……!!」
家に入るとラグナが怯えたように座り込んでいるのが目に入った。
どうしたんだと思っていたがすぐに原因がわかりフードを取り顔を見せた。
「あ、あ、に、あ、さん……?」
「ごめんね。怖がらせたね。私だから安心して」
鍵を締めてローブを脱ぎ怯えるラグナに歩み寄ると妙に部屋が片付いていることに気づく。
脱ぎ散らかしてた服もないし、弁当のゴミやビールの空き缶もない。
もしかしてと彼に目をやるとだめでしたか……?と恐る恐る尋ねられた。
「おきたら、にあさんいなくて……でも、ぼくおいてもらってるのになにもしないのもって……だから……」
「いやだめじゃないけど……大変だったでしょ。床が見えるの久々だわ」
「あ、いえ……いや、はい……。でもぼく、おうちでもおなじことしてたので……」
ちょっとたいへんでしたけどと苦笑いするラグナに私はありがとうと言うとご飯にしよっかとキッチンに向かい冷蔵庫を開ける。
どうやらこの中も綺麗にしてくれたようでどこになにがあるかわかるようになっている。
しかし中にはラグナが食べられるものはなく、あるのは酒のつまみだけ。
まぁまともにご飯らしいご飯も食べてなかったしなと思いながらもどうするかと冷蔵庫を閉じた。
「コンビニか……けど、ラグナを連れて行くわけにも……」
角さえなければ普通の子供と変わらないんだけどなと考えているとラグナはもじもじしながらよければなにかつくりましょうか?と言ってきて。
この子なんでもできるな。
私はもしかして自分が愛すべきショタっ子に駄目にされるのか?
そんなことを考えているとラグナはだめですよね……としょんぼりしてしまった。
ころころ表情が変わって可愛いなと思いながらも必死に顔が緩まないようにして逆にいいの?と聞いてみた。
「あ、あの、にあさんがいいなら……。あ、でも、かんたんなものしかつくれないですよ?」
「いや、作ってくれるだけありがたいけど……」
「やった! ぼく、がんばりますね! おやくにたててうれしいです!」
「嫌になったらいつでも言って。とは言っても私も片付けられるほど余裕はないんだけど……」
「だいじょーぶです! ぼくにまかせてください!」
やる気満々なラグナは目をキラキラさせて私を見上げてくると早速ぱぱっとつくりますね!と冷蔵庫や野菜室を見ていく。
それじゃあその間にと脱いだローブをハンガーにかけてカーテンレールに引っ掛けると洗った洗濯物でもと洗濯機へ向かう。
洗濯機の扉を開くとそこには何もなくラグナが全部片付けたことが伺えた。
お風呂は……と浴室を開くとすでにバスタブにはお湯が張られているし散乱してたシャンプーボトルたちも隅の方に並べられていて。
ほんとに全部あの子が?と私はキッチンに戻る。
キッチンではラグナが小さな手で野菜室にあった野菜を切っていた。
足元に小さな風の渦を起こして器用にその上に乗って。
「器用だね、ラグナは」
「え? そうですか?」
「うん。なんか洗濯からなにまでやってもらってごめんね」
「いいえー。これからはぼくにまかせてくださいね!」
「でも悪いし、なんかあれば手伝うよ」
「だめですー。にあさんはつかれているんですからのんびりしててください!」
そう言って私の出入りを拒むようにキッチンの入り口に見えない壁を作られてしまう。
仕方ないと私はリビングのソファに座って言われた通りのんびりすることにした。
しばらくして私の前に出てきたのは焼きそばで。
しかも野菜が沢山入った焼きそば。
具入りの焼きそばなんていつぶりだろうか。
「おくちにあうといいんですが……」
「普通に美味しそう。いただきます」
「どうぞ」
ラグナがじっと見つめてくる中、私は一口焼きそばを食べる。
普通に美味しい。
人が使った料理はいつぶりなんだろう。
いつも冷えたコンビニ飯ばかり食べてたせいもあって温かい料理なんて久しぶりだった。
だからなんだろう。
私は夢中で目の前の焼きそばを頬張っていた。
「ふふ、よかったです。よろこんでもらえて。これからぼくがあったかいごはんをよういして、あったかいおふろもよういしますね! にあさんのつかれがすこしでもいやされるように!」
あーだめだ。
私はこの子にだめにされるらしい。
自分が愛でたいと思っていた対象に私は甘やかされて、ダメ人間にされる。
こんな毎日があっていいんだろうかと心の中で思いながら私はラグナが作ってくれたものを食べていた。
「はぁ……疲れた……」
「……!!」
家に入るとラグナが怯えたように座り込んでいるのが目に入った。
どうしたんだと思っていたがすぐに原因がわかりフードを取り顔を見せた。
「あ、あ、に、あ、さん……?」
「ごめんね。怖がらせたね。私だから安心して」
鍵を締めてローブを脱ぎ怯えるラグナに歩み寄ると妙に部屋が片付いていることに気づく。
脱ぎ散らかしてた服もないし、弁当のゴミやビールの空き缶もない。
もしかしてと彼に目をやるとだめでしたか……?と恐る恐る尋ねられた。
「おきたら、にあさんいなくて……でも、ぼくおいてもらってるのになにもしないのもって……だから……」
「いやだめじゃないけど……大変だったでしょ。床が見えるの久々だわ」
「あ、いえ……いや、はい……。でもぼく、おうちでもおなじことしてたので……」
ちょっとたいへんでしたけどと苦笑いするラグナに私はありがとうと言うとご飯にしよっかとキッチンに向かい冷蔵庫を開ける。
どうやらこの中も綺麗にしてくれたようでどこになにがあるかわかるようになっている。
しかし中にはラグナが食べられるものはなく、あるのは酒のつまみだけ。
まぁまともにご飯らしいご飯も食べてなかったしなと思いながらもどうするかと冷蔵庫を閉じた。
「コンビニか……けど、ラグナを連れて行くわけにも……」
角さえなければ普通の子供と変わらないんだけどなと考えているとラグナはもじもじしながらよければなにかつくりましょうか?と言ってきて。
この子なんでもできるな。
私はもしかして自分が愛すべきショタっ子に駄目にされるのか?
そんなことを考えているとラグナはだめですよね……としょんぼりしてしまった。
ころころ表情が変わって可愛いなと思いながらも必死に顔が緩まないようにして逆にいいの?と聞いてみた。
「あ、あの、にあさんがいいなら……。あ、でも、かんたんなものしかつくれないですよ?」
「いや、作ってくれるだけありがたいけど……」
「やった! ぼく、がんばりますね! おやくにたててうれしいです!」
「嫌になったらいつでも言って。とは言っても私も片付けられるほど余裕はないんだけど……」
「だいじょーぶです! ぼくにまかせてください!」
やる気満々なラグナは目をキラキラさせて私を見上げてくると早速ぱぱっとつくりますね!と冷蔵庫や野菜室を見ていく。
それじゃあその間にと脱いだローブをハンガーにかけてカーテンレールに引っ掛けると洗った洗濯物でもと洗濯機へ向かう。
洗濯機の扉を開くとそこには何もなくラグナが全部片付けたことが伺えた。
お風呂は……と浴室を開くとすでにバスタブにはお湯が張られているし散乱してたシャンプーボトルたちも隅の方に並べられていて。
ほんとに全部あの子が?と私はキッチンに戻る。
キッチンではラグナが小さな手で野菜室にあった野菜を切っていた。
足元に小さな風の渦を起こして器用にその上に乗って。
「器用だね、ラグナは」
「え? そうですか?」
「うん。なんか洗濯からなにまでやってもらってごめんね」
「いいえー。これからはぼくにまかせてくださいね!」
「でも悪いし、なんかあれば手伝うよ」
「だめですー。にあさんはつかれているんですからのんびりしててください!」
そう言って私の出入りを拒むようにキッチンの入り口に見えない壁を作られてしまう。
仕方ないと私はリビングのソファに座って言われた通りのんびりすることにした。
しばらくして私の前に出てきたのは焼きそばで。
しかも野菜が沢山入った焼きそば。
具入りの焼きそばなんていつぶりだろうか。
「おくちにあうといいんですが……」
「普通に美味しそう。いただきます」
「どうぞ」
ラグナがじっと見つめてくる中、私は一口焼きそばを食べる。
普通に美味しい。
人が使った料理はいつぶりなんだろう。
いつも冷えたコンビニ飯ばかり食べてたせいもあって温かい料理なんて久しぶりだった。
だからなんだろう。
私は夢中で目の前の焼きそばを頬張っていた。
「ふふ、よかったです。よろこんでもらえて。これからぼくがあったかいごはんをよういして、あったかいおふろもよういしますね! にあさんのつかれがすこしでもいやされるように!」
あーだめだ。
私はこの子にだめにされるらしい。
自分が愛でたいと思っていた対象に私は甘やかされて、ダメ人間にされる。
こんな毎日があっていいんだろうかと心の中で思いながら私はラグナが作ってくれたものを食べていた。