孤独な神官は幼鬼に絆される
次の日の朝、目を覚ますと私の腕の中ですやすやと眠る小さな男の子がいた。
やはり昨日のあれは夢じゃなかったらしい。
私はその子が起きないようにゆっくりと体を起こし朝の準備をする。
コーヒーを入れて、そこら辺にあるシリアルに牛乳を入れて食べ、神官服を身に纏い、そろっと行くかと眠る彼に歩み寄る。
すやすや眠るその顔を見てこのまま寝かせておくかと思い家を出るとしっかりと鍵を閉め仕事場へと向かう。
「これはこれは、神官ラヴィニア様。昨晩は失礼いたしました」
そう声をかけてきたのは昨晩彼を追いかけていた人たちの一人で。
私は別に構わないと告げ、その後のことをとりあえず聞いてみた。
彼らはあの後私が指さした森の方を探索したらしい。
けれど彼らが追いかけていた子供はすでに私の家の中。
なので当然見つかることもなく泣く泣く別部隊が連れてきた子供たちと共に城に帰ってきたと話してくれた。
「そうか。ご苦労だった。その異形者の子供に対しては引き続き捜索を行うのか?」
「ええ、もちろん。捕らえ次第即見せしめのために処刑しろと仰せです」
「わかった。こちらも見つけ次其方らに報告しよう」
恐れ入りますと頭を下げ彼らが両端に寄り道を空けてくれるのを待つと私は補佐役が待つ部屋へと向かう。
「あ、ラヴィニア様、おはようございますっ!」
「ああ、おはよう。さっそくで悪いがエリシア。今日のスケジュールを確認したい」
部屋に入ると私は私の補佐である彼女、エリシアに歩み寄り声をかけると彼女はえっとですねとスケジュール帳をめくり、今日の予定を伝えてくれる。
彼女は最近私の補佐になった可愛らしいお嬢さんだ。
黒のおかっぱ頭に、赤い瞳が印象的な女の子。
歳はいくつか忘れたがこの身長だと昨日拾ったラグナと同じくらいだろうか。
そんなことを考えながら私は今日の予定を聞き、雑務をそこら辺にいる小間使いに任せ、渡された書類に目を通す。
「ラヴィニア様、少しお疲れですか?」
「いや、大丈夫だ。それよりエリシア。今日の執行人は?」
「あ、はい。今日の処刑執行人はリジ―執行官です」
「あー、あれか」
彼の処刑方法一番嫌なんだよなぁと思いながら私は今日の受刑者の名前を確認。
それから顔が見たいとエリシアに告げ受刑者たちがいる牢屋へと向かう。
「お疲れ様でございます! 神官ラヴィニア殿!」
「ああ。其方らもな。今日の受刑者の状態を確認しておきたい。通してくれ」
「もちろんですとも。さ、どうぞ」
牢屋へと続く扉前の兵に声をかけ私は彼女を連れて中へ進む。
収容房の番号を確認して中の受刑者を確認する。
ここにいるものは全て世界中に設置された魔力検知機に引っかかった異形者たち。
見た目は人間と変わらない者もいれば見た目から人間ではないことがわかる者もいた。
可哀想にと思い一部屋一部屋見て回る。
「どの受刑者も変わりないようだな」
「ラヴィニア様! ラヴィニア様!」
「どうした? エリシア」
こっちです!と手招かれ私はエリシアがいる部屋の前と向かう。
そこには私好みの少年が膝を抱えて座っていた。
ラグナと同じくらいの歳だろうか、背中には小さな灰色の羽を生やした子供。
エリシアはどうしますかー?と私に聞いてくる。
そう、彼女は私に唯一の理解者だ。
私がこうして直々に確認しに来ているのも、こうした子たちを見つけるため。
何度となく私が担当の時は逃がしてきた。
いつか罰せられるかもしれないと思いながらも私は私の欲には抗えなかったから。
「エリシア」
「はいっ。周辺の警戒してきますっ」
行ってきますー!とエリシアが少し離れた場所まで走っていくのを見送り私は鍵束から扉の鍵を手にすると開錠し中に入る。
中にいた子供は私の姿を見るなり怯え、泣きそうになってしまう。
そんな姿も可愛らしくていいが、そんなことを思っている場合じゃない。
私は少年の傍にしゃがみこんで怯えなくていいと声をかける。
けれど体の震えも泣きそうな顔も変わらない。
まぁそうか。
この格好をしているとなると誰でも怖がる。
仕方ない、と思いながら私は彼に手短に、小声で話す。
ここから助けてあげると。
彼は少し驚いたように大きな瞳をさらに大きく見開くと私を見上げほんとに……?と困惑したような声を漏らした。
「私のいうことが聞けるなら助けてあげる」
「ほんとに……? ぼくを、たすけてくれるの……?」
「助けてあげるから静かにして」
声を上げそうになった少年にしーっと人差し指を彼の唇にあてがうと彼はわかったと小さく頷いた。
私はそれでいいと立ち上がり、これをと金の鈴がついた赤い首輪を渡す。
受け取った彼は少し戸惑ったような顔をしたけれどそれを早くつけてと促し、首輪をつけさせる。
ちゃんとついたことを確認すると扉をノックしエリシアを呼び戻してから扉を開ける。
「ラヴィニア様、これを」
「ああ、悪いな」
渡された白いフード付きのローブを後ろにいる彼に手渡し早く着るように指示。
彼はそれをいそいそと被りそれを確認するとついてきなさいと告げ部屋を出る。
私が先頭で歩き、間に彼、後ろにエリシアを付かせ牢屋の入り口まで向かう。
やはり昨日のあれは夢じゃなかったらしい。
私はその子が起きないようにゆっくりと体を起こし朝の準備をする。
コーヒーを入れて、そこら辺にあるシリアルに牛乳を入れて食べ、神官服を身に纏い、そろっと行くかと眠る彼に歩み寄る。
すやすや眠るその顔を見てこのまま寝かせておくかと思い家を出るとしっかりと鍵を閉め仕事場へと向かう。
「これはこれは、神官ラヴィニア様。昨晩は失礼いたしました」
そう声をかけてきたのは昨晩彼を追いかけていた人たちの一人で。
私は別に構わないと告げ、その後のことをとりあえず聞いてみた。
彼らはあの後私が指さした森の方を探索したらしい。
けれど彼らが追いかけていた子供はすでに私の家の中。
なので当然見つかることもなく泣く泣く別部隊が連れてきた子供たちと共に城に帰ってきたと話してくれた。
「そうか。ご苦労だった。その異形者の子供に対しては引き続き捜索を行うのか?」
「ええ、もちろん。捕らえ次第即見せしめのために処刑しろと仰せです」
「わかった。こちらも見つけ次其方らに報告しよう」
恐れ入りますと頭を下げ彼らが両端に寄り道を空けてくれるのを待つと私は補佐役が待つ部屋へと向かう。
「あ、ラヴィニア様、おはようございますっ!」
「ああ、おはよう。さっそくで悪いがエリシア。今日のスケジュールを確認したい」
部屋に入ると私は私の補佐である彼女、エリシアに歩み寄り声をかけると彼女はえっとですねとスケジュール帳をめくり、今日の予定を伝えてくれる。
彼女は最近私の補佐になった可愛らしいお嬢さんだ。
黒のおかっぱ頭に、赤い瞳が印象的な女の子。
歳はいくつか忘れたがこの身長だと昨日拾ったラグナと同じくらいだろうか。
そんなことを考えながら私は今日の予定を聞き、雑務をそこら辺にいる小間使いに任せ、渡された書類に目を通す。
「ラヴィニア様、少しお疲れですか?」
「いや、大丈夫だ。それよりエリシア。今日の執行人は?」
「あ、はい。今日の処刑執行人はリジ―執行官です」
「あー、あれか」
彼の処刑方法一番嫌なんだよなぁと思いながら私は今日の受刑者の名前を確認。
それから顔が見たいとエリシアに告げ受刑者たちがいる牢屋へと向かう。
「お疲れ様でございます! 神官ラヴィニア殿!」
「ああ。其方らもな。今日の受刑者の状態を確認しておきたい。通してくれ」
「もちろんですとも。さ、どうぞ」
牢屋へと続く扉前の兵に声をかけ私は彼女を連れて中へ進む。
収容房の番号を確認して中の受刑者を確認する。
ここにいるものは全て世界中に設置された魔力検知機に引っかかった異形者たち。
見た目は人間と変わらない者もいれば見た目から人間ではないことがわかる者もいた。
可哀想にと思い一部屋一部屋見て回る。
「どの受刑者も変わりないようだな」
「ラヴィニア様! ラヴィニア様!」
「どうした? エリシア」
こっちです!と手招かれ私はエリシアがいる部屋の前と向かう。
そこには私好みの少年が膝を抱えて座っていた。
ラグナと同じくらいの歳だろうか、背中には小さな灰色の羽を生やした子供。
エリシアはどうしますかー?と私に聞いてくる。
そう、彼女は私に唯一の理解者だ。
私がこうして直々に確認しに来ているのも、こうした子たちを見つけるため。
何度となく私が担当の時は逃がしてきた。
いつか罰せられるかもしれないと思いながらも私は私の欲には抗えなかったから。
「エリシア」
「はいっ。周辺の警戒してきますっ」
行ってきますー!とエリシアが少し離れた場所まで走っていくのを見送り私は鍵束から扉の鍵を手にすると開錠し中に入る。
中にいた子供は私の姿を見るなり怯え、泣きそうになってしまう。
そんな姿も可愛らしくていいが、そんなことを思っている場合じゃない。
私は少年の傍にしゃがみこんで怯えなくていいと声をかける。
けれど体の震えも泣きそうな顔も変わらない。
まぁそうか。
この格好をしているとなると誰でも怖がる。
仕方ない、と思いながら私は彼に手短に、小声で話す。
ここから助けてあげると。
彼は少し驚いたように大きな瞳をさらに大きく見開くと私を見上げほんとに……?と困惑したような声を漏らした。
「私のいうことが聞けるなら助けてあげる」
「ほんとに……? ぼくを、たすけてくれるの……?」
「助けてあげるから静かにして」
声を上げそうになった少年にしーっと人差し指を彼の唇にあてがうと彼はわかったと小さく頷いた。
私はそれでいいと立ち上がり、これをと金の鈴がついた赤い首輪を渡す。
受け取った彼は少し戸惑ったような顔をしたけれどそれを早くつけてと促し、首輪をつけさせる。
ちゃんとついたことを確認すると扉をノックしエリシアを呼び戻してから扉を開ける。
「ラヴィニア様、これを」
「ああ、悪いな」
渡された白いフード付きのローブを後ろにいる彼に手渡し早く着るように指示。
彼はそれをいそいそと被りそれを確認するとついてきなさいと告げ部屋を出る。
私が先頭で歩き、間に彼、後ろにエリシアを付かせ牢屋の入り口まで向かう。