孤独な神官は幼鬼に絆される

そうして私はとある城の一室に連れてこられた。
ここは魔界コーキセリア。
センチェルスの話曰く大切な人を取り戻すために仲間が欲しかったという。
そのために各時間、時空を回って勧誘し、こうして仲間を増やしている。
そういうことらしく、私が来て仲間は後一人らしい。
今もその残りの一人を勧誘しに行ってしまったので現在ここにいるのは私、エリシア、ラグナの三人のみ。
仲間が集まり次第天界へ戦争を仕掛けると言うが、私は力の使い方も、ましてや魔王として何をしなきゃなんないのかもわからない。

「ところでなんでラグナじゃ駄目だったの?」
「あ、それはね、ぼくがしそだからなんです。さすがにおにのしそであるぼくがまおうになるのはあまりにもきょうりょくすぎるのでだめなんだそうで」
「なんか大変ね」
「でもぼくとしては、にあさんといっしょになれてうれしいです!」
「あの、さ。やっぱそれってあんたが私の好みに合わせて作ってるキャラなわけ? 辛くない? 本来の性格とかしゃべり方でもいいんだけど……」
「にあさんだって、かれとはなしていたときにおしごとモードにはいっちゃうじゃないですかー」
「確かに。まぁ長年そうやって公私を分けてましたもんね、ラヴェント様は」

ある意味癖ですねとエリシアに言われ確かにと納得。
そんな私にラグナはぼくはぼくでこうしているので!と変わらない笑顔で言われたのでまぁこの子が辛くないならこのままでもいいかと思った。
センチェルスに言われて姫化と言う私の力を引き出すための事をやってみた結果、服装はあの白一色の服になって、ラグナ本人にほんとにすきですねと言われてしまう始末。
いや否定はしない。
可愛くて好きだし。

「にあさん、これからはずーっといっしょですよ。はなしてなんてあげませんから」
「わかってる」
「始祖様に見初められるなんて、ラヴェント様、さすがですね!」
「私は何もしてないんだけど……」

私の何が良かったのか聞いてもラグナはなんとなくですとしか答えてくれない。
多分彼だけが感じることのできる特殊なもので私が選ばれたのだろう。

「じゃあ、にあさん、ぼくがちからのつかいかた、おしえてあげますね! まおうとしてのちからのつかいかたも!」
「そうね、よろしく。ラグナ」
「はいっ!」
「エリーもお手伝いしますよ!」

そうして私は彼が仲間を集めるまでの時間をラグナに自身の力のこと、その使い方を教わることになった。
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