孤独な神官は幼鬼に絆される

「これでおしまいっと……」

買い出しも終わり私たちはラヴィニア様の家に戻っていた。
ラヴィニア様は今、ぐっすりとお眠りになっている。
窓も開けないで、真っ暗な部屋の中で。

「これは変わらないんですね、ラヴィニア様」
「にあさん、ぐっすりねむってますね」
「そうだね。じゃあとりあえず買ってきたものを片付けようか」
「はい」

ラヴィニア様を起こさないように、と電気もつけず、足音を立てないようにして私たちは買ってきたものをしまっていく。
ある程度片付け終わると今度は神官服の洗濯に取り掛かる。
布の量がかなり多いし、洗濯機で洗えないからバスタブに張られたお湯の中に投入。
中につけ置きの洗剤を入れて暫く放置している間に買ってきたビールを冷蔵庫へ。
入らなかった分は傍に箱ごと置いておく。
そうしてひと段落するとラグナくんがさっきの服に着替えて戻ってきた。

「にあさん、おきたらびっくりするでしょうか?」
「たぶんね。てかラグナくんって子鬼って言ってたけど、ほんとのところどうなのよ?」
「ないしょです」
「いいじゃん、私にだけ教えてよー」
「だめです。エリシアさん、すぐにあさんにいっちゃいそうですから」
「むぅ……」

ないしょですといたずらっ子のように笑うラグナくんに私は只者ではない気がして。
けれどどんなに聞いてもラグナくんは自分のことについてはなにも教えてくれなかった。
いつか教えてくれることを期待して私は神官服をバスタブからあげると水を抜き、再び貯めてもみ洗いしてから浴室内に干した。
ほんとは外に干したいんだけどラヴィニア様はぐっすり眠っていらっしゃるし。
起床されたら干せばいいやとそこに干してからラグナくんのところに戻った。

「にあさん……だいじょーぶですよ……。にあさんのことはぼくがまもってあげますからね」
「ラグナくん?」
「あ、エリシアさん。おせんたくおわったんですね」

ラグナくんはラヴィニア様の頭を撫でながら優しく声をかけていて。
そこは私の場所だったのになぁと少し悔しい気持ちを抱えながらベッドに腰掛けるとゆっくり眠ってて大丈夫ですからねと布団越しにぽんぽんとして、起きるまで二人でラヴィニア様の寝顔を堪能していた。
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