孤独な神官は幼鬼に絆される
「にあさん……あの……」
「つかれた……」
家に着き鍵をかけると私はそのまま玄関先で倒れた。
ローブも脱がず脱力するように。
驚いたラグナが私の体を揺するけどもう動けない。
ここから一歩も動けない。
「にあさーん! せめてひろいとこまでいきましょー! にあさーん!」
「むり……もうむり……」
「むぅ……。じゃあひろいとこまでがんばってくれたらぼくがひざまくらでなでなでしてあげます!」
「わかった」
極限状態だった私はゆっくり立ち上がりリビングまで行き、ローブを脱ぐとそのままソファに倒れた。
久々に戦ったし、王に意見まで言って、イレギュラーが多すぎた。
私はもう一歩も動けない。
その間ラグナは忙しなく動き回り後片付けをしているようで。
「にあさん、ごはんなにたべますか?」
「美味しいものなら何でもいい。疲れた」
「うーん、じゃあにらたまつくります! ぱぱっとつくっちゃうんでまっててくださいね!」
そう言って数分後、悲しそうな顔をしてラグナは私のところに来るとキッチンに届かないと訴えてきた。
え?と疑問に思ってから今日の朝のことを思い出した。
そうだ、あのウィードとかいう子供にお願いして封印してもらったんだったと。
「ごめんなさい、にあさん……」
「大丈夫だから。ニラ玉、だっけ? 待ってて、すぐ作るから」
「にあさん……」
仕方ないと立ち上がり神官服を脱ぎ捨て下着だけになるとそのままキッチンに向かおうとする。
けれどそれを止めたのは他の誰でもないラグナで。
なに?と声をかけると顔を背けながらふくきてください……と消え入りそうな声で訴えてきた。
「さすがにそのかっこうはまずいです……」
「あー……わかった」
それならとスウェットを引き出しから引っ張り出すとそれを着てキッチンに向かいニラ玉を作り始める。
別に自炊できないわけじゃない。
疲れてやる気がでなかっただけ。
適当にニラを切って、フライパンにいれて卵をいれて炒めて。
すまなさそうにしているラグナにお風呂やってきてくれる?と声をかけると彼はぱぁっと花が咲いたような笑顔になって元気よく返事するとお風呂場へかけていった。
楽しそうな鼻歌がお風呂場の方から聞こえる。
機嫌が直ったようでよかったとあくびをしながらニラ玉を作り、お皿に盛るとパックのご飯を温めてラグナが戻ってくるのを待った。
「にあさんできましたー!」
「ありがとう、ラグナ。ご飯もできたから食べようか」
「はいっ!」
たかたかっと戻ってきたラグナはぼくがもってきます!とニラ玉が乗ったお皿を両手でテーブルへ持っていった。
私はその後を追ってパックご飯を持っていく。
そうして二人で床に座るといただきますと言ってから目の前の料理に手を付け始めた。
「ん! おいしいです! にあさん、おりょうりできるんですね!」
「まぁ、簡単なものならね。普段は面倒でやらないけど」
「そうなんですね。にあさん、おしごとたいへんそうですもんね……」
ぼくもせめて……と少し悲しそうな顔をするラグナに今度踏み台を買ってこようと提案する。
そしたらご飯作れるからと。
するとラグナはがんばります!とまた笑ってくれた。
癒やされるなぁと思いながら私は自分の分を平らげると食洗機に食器をつっこみ、買っておいたビールを手に戻ってくるとラグナが食べ終わるのを待った。
「にあさんたべるのはやいですね……」
「そう? でも私に合わせなくて大丈夫だから。ゆっくり食べて」
「はい」
少しずつ自分の分を食べていくラグナを横目に私はビールを飲んでお風呂が沸くのを待つ。
テレビは特に面白いものもやってないからつける必要もない。
いつも寝に帰る程度の家だから最低限のものしかないなと周りを見渡す。
ラグナの服も買ってこなきゃだし今度のオフの時にでも買いにいくかと考えているとにあさんと声をかけられた。
私がどうしたの?と返すとさっきのほんとうなんですか?と尋ねてきて。
さっきの……と思い返しあの食料品店でのことかと思いまぁ、ねと曖昧な返事を返した。
「にあさんはやっぱりそっちがわのひと、なんですね……」
「まぁ、そうね。私は人間だから」
「でもにあさんはぼくをたすけてくれました。なんでですか……?」
「なんで、か。なんでだろうね。ただ私に助けを求めてきたラグナを放っておけなかったんだと思うよ」
「……じゃあもし、ぼくがおにだって、わかったら……」
「私は捕まるでしょうね。全ての権利を、地位を剥奪されて。その先に待つのは死のみよ」
「そんな……」
「だから貴方の角と力を封じさせてもらったの。ごめんね」
私の保身の為。
そしてラグナを守るため。
そうせざるをえなかった。
そんなことをビールを飲みながら話しているとお風呂が沸き、先にもらうわと告げてお風呂場へと向かった。
「つかれた……」
家に着き鍵をかけると私はそのまま玄関先で倒れた。
ローブも脱がず脱力するように。
驚いたラグナが私の体を揺するけどもう動けない。
ここから一歩も動けない。
「にあさーん! せめてひろいとこまでいきましょー! にあさーん!」
「むり……もうむり……」
「むぅ……。じゃあひろいとこまでがんばってくれたらぼくがひざまくらでなでなでしてあげます!」
「わかった」
極限状態だった私はゆっくり立ち上がりリビングまで行き、ローブを脱ぐとそのままソファに倒れた。
久々に戦ったし、王に意見まで言って、イレギュラーが多すぎた。
私はもう一歩も動けない。
その間ラグナは忙しなく動き回り後片付けをしているようで。
「にあさん、ごはんなにたべますか?」
「美味しいものなら何でもいい。疲れた」
「うーん、じゃあにらたまつくります! ぱぱっとつくっちゃうんでまっててくださいね!」
そう言って数分後、悲しそうな顔をしてラグナは私のところに来るとキッチンに届かないと訴えてきた。
え?と疑問に思ってから今日の朝のことを思い出した。
そうだ、あのウィードとかいう子供にお願いして封印してもらったんだったと。
「ごめんなさい、にあさん……」
「大丈夫だから。ニラ玉、だっけ? 待ってて、すぐ作るから」
「にあさん……」
仕方ないと立ち上がり神官服を脱ぎ捨て下着だけになるとそのままキッチンに向かおうとする。
けれどそれを止めたのは他の誰でもないラグナで。
なに?と声をかけると顔を背けながらふくきてください……と消え入りそうな声で訴えてきた。
「さすがにそのかっこうはまずいです……」
「あー……わかった」
それならとスウェットを引き出しから引っ張り出すとそれを着てキッチンに向かいニラ玉を作り始める。
別に自炊できないわけじゃない。
疲れてやる気がでなかっただけ。
適当にニラを切って、フライパンにいれて卵をいれて炒めて。
すまなさそうにしているラグナにお風呂やってきてくれる?と声をかけると彼はぱぁっと花が咲いたような笑顔になって元気よく返事するとお風呂場へかけていった。
楽しそうな鼻歌がお風呂場の方から聞こえる。
機嫌が直ったようでよかったとあくびをしながらニラ玉を作り、お皿に盛るとパックのご飯を温めてラグナが戻ってくるのを待った。
「にあさんできましたー!」
「ありがとう、ラグナ。ご飯もできたから食べようか」
「はいっ!」
たかたかっと戻ってきたラグナはぼくがもってきます!とニラ玉が乗ったお皿を両手でテーブルへ持っていった。
私はその後を追ってパックご飯を持っていく。
そうして二人で床に座るといただきますと言ってから目の前の料理に手を付け始めた。
「ん! おいしいです! にあさん、おりょうりできるんですね!」
「まぁ、簡単なものならね。普段は面倒でやらないけど」
「そうなんですね。にあさん、おしごとたいへんそうですもんね……」
ぼくもせめて……と少し悲しそうな顔をするラグナに今度踏み台を買ってこようと提案する。
そしたらご飯作れるからと。
するとラグナはがんばります!とまた笑ってくれた。
癒やされるなぁと思いながら私は自分の分を平らげると食洗機に食器をつっこみ、買っておいたビールを手に戻ってくるとラグナが食べ終わるのを待った。
「にあさんたべるのはやいですね……」
「そう? でも私に合わせなくて大丈夫だから。ゆっくり食べて」
「はい」
少しずつ自分の分を食べていくラグナを横目に私はビールを飲んでお風呂が沸くのを待つ。
テレビは特に面白いものもやってないからつける必要もない。
いつも寝に帰る程度の家だから最低限のものしかないなと周りを見渡す。
ラグナの服も買ってこなきゃだし今度のオフの時にでも買いにいくかと考えているとにあさんと声をかけられた。
私がどうしたの?と返すとさっきのほんとうなんですか?と尋ねてきて。
さっきの……と思い返しあの食料品店でのことかと思いまぁ、ねと曖昧な返事を返した。
「にあさんはやっぱりそっちがわのひと、なんですね……」
「まぁ、そうね。私は人間だから」
「でもにあさんはぼくをたすけてくれました。なんでですか……?」
「なんで、か。なんでだろうね。ただ私に助けを求めてきたラグナを放っておけなかったんだと思うよ」
「……じゃあもし、ぼくがおにだって、わかったら……」
「私は捕まるでしょうね。全ての権利を、地位を剥奪されて。その先に待つのは死のみよ」
「そんな……」
「だから貴方の角と力を封じさせてもらったの。ごめんね」
私の保身の為。
そしてラグナを守るため。
そうせざるをえなかった。
そんなことをビールを飲みながら話しているとお風呂が沸き、先にもらうわと告げてお風呂場へと向かった。