【HL】水晶の燦めきに魅せられて
「おれが、やるの……。これはおれの、やくめだから……」
「ウィード……っ?」
おれがやるのと呟くウィードの瞳にはなぜか光はなく、一体何がと思った瞬間。
「スィール・オール・ディス」
そうウィードが紡いだ瞬間、僕の足元に青い魔法陣が広がり全身を同じ色の光のドームが包み込んだ。
その光に気づいたアリアさんがハッとしたようにウィードに駆け寄るとダメ……っ!と小さな体を抱きしめ言い聞かせるように叫んで。
けれど一度発動した術は収まらず気づけば先程までの痛みも背中の翼も消えていて。
一体なにがと状況を把握できずにいるとウィードがその場にばたんと倒れた。
「アリアさん……ウィードは……」
「お願い……っ、フランベルジュ、今見たことは誰にも言わないで……っ!」
お願いだからと消え入りそうな声で訴えてくるアリアさん。
僕は元から今のことを言うつもりもなかったから誰にも言わないと伝えると一体なにが起こったのかを尋ねた。
彼女は倒れたウィードを抱き上げ布団へ運ぶと引き出しから何かを取り出したかと思うと僕の前に置かれたのは黒い何かの欠片と虹色に光るビー玉のようなもので。
それを前にアリアさんは静かに話し始める。
この2つはウィードが生まれたときに持っていたものだと、そう告げて。
「ウィードは……人間じゃないの……。なんでそうなったか、私にもわからない……。なんでこの子だけがヒトとして生まれたのか、わからないの……」
「じゃあさっきのは……」
「……ウィードの力……。封印士って知ってる……? ヒトが人間の世界で生きていけるようにその力と姿を封じることとできる唯一の存在。そう私が調べた古書に書いてあったの」
「封印士……」
「それ以外は普通なの……。普通の子供なの……。だから私はウィードに約束させたの。人と違うその力を無闇に見せてはだめと。なのに……」
「でもそのおかげで僕は元に戻れたんで、責めないであげてください」
「そういえば、フランベルジュ。さっきのは一体……」
あれは……と僕は少し悩んだあと、ある人に貰ったんですとだけ答えた。
「ある人……?」
「はい。そして恐らく僕はもう人間ではなくなった、そう感じてます。僕にあれを渡したあの人はいずれ必要となると言ってましたから」
「そう……。それで、体は大丈夫なの……? フランベルジュ……」
大丈夫?と僕に近寄り頬に手をあてがい心配そうに見つめるアリアさんに僕はどきりとした。
高鳴る鼓動をなんとか抑えようとするけど、収まるどころか酷くなる一方で。
フランベルジュ……?と不安そうな声を漏らすアリアさんの瞳はまるでサファイアのように青く綺麗で、僕は自分の中に沸き立つ感情を必死に堪えてなんとか大丈夫ですからとアリアさんを引き離す。
不可解な行動にアリアさんはキョトンとしているけれど僕はまともに彼女を見ることができない。
そこで僕はやっと気づく。
──僕はアリアさんが好きなんだと。
不憫で、可哀想で、か弱くて、儚い。
少し目を離したらどこかに消えてしまいそうなそんな彼女が僕は好きで、守りたいんだと。
けれどアリアさんは旦那さんがいるし、子供だっている。
決して一線は超えてはいけない存在。
これ以上関わったら僕はきっとその一線を越えてしまいそうで。
こんな感情気づかなければよかったと悔しくて黙り込んでしまった。
「フランベルジュ……? 大丈夫……? 顔色が悪いみたい……」
「大丈夫ですから……」
「そう……?」
「あ、そうだ……! 僕、部屋片付けときますね」
そうだ気を紛らわせるためにも片付けようと立ち上がりアリアさんの傍を離れる。
アリアさんがそれなら私もと立ち上がろうとしてきたけど大丈夫だからウィードの傍にいてあげてと声をかけてその場に座っててもらって。
片付けをしながらなんとか気持ちを抑えようとするけれど自覚してしまった感情は膨れ上がる一方。
きっとアリアさんの旦那がもっと優しくていい人だったらこんな気持ちも生まれなかった。
全部アリアさんに酷いことをした旦那のせいだと勝手に思い込み僕は散らかった家を片付け続けた。
「ウィード……っ?」
おれがやるのと呟くウィードの瞳にはなぜか光はなく、一体何がと思った瞬間。
「スィール・オール・ディス」
そうウィードが紡いだ瞬間、僕の足元に青い魔法陣が広がり全身を同じ色の光のドームが包み込んだ。
その光に気づいたアリアさんがハッとしたようにウィードに駆け寄るとダメ……っ!と小さな体を抱きしめ言い聞かせるように叫んで。
けれど一度発動した術は収まらず気づけば先程までの痛みも背中の翼も消えていて。
一体なにがと状況を把握できずにいるとウィードがその場にばたんと倒れた。
「アリアさん……ウィードは……」
「お願い……っ、フランベルジュ、今見たことは誰にも言わないで……っ!」
お願いだからと消え入りそうな声で訴えてくるアリアさん。
僕は元から今のことを言うつもりもなかったから誰にも言わないと伝えると一体なにが起こったのかを尋ねた。
彼女は倒れたウィードを抱き上げ布団へ運ぶと引き出しから何かを取り出したかと思うと僕の前に置かれたのは黒い何かの欠片と虹色に光るビー玉のようなもので。
それを前にアリアさんは静かに話し始める。
この2つはウィードが生まれたときに持っていたものだと、そう告げて。
「ウィードは……人間じゃないの……。なんでそうなったか、私にもわからない……。なんでこの子だけがヒトとして生まれたのか、わからないの……」
「じゃあさっきのは……」
「……ウィードの力……。封印士って知ってる……? ヒトが人間の世界で生きていけるようにその力と姿を封じることとできる唯一の存在。そう私が調べた古書に書いてあったの」
「封印士……」
「それ以外は普通なの……。普通の子供なの……。だから私はウィードに約束させたの。人と違うその力を無闇に見せてはだめと。なのに……」
「でもそのおかげで僕は元に戻れたんで、責めないであげてください」
「そういえば、フランベルジュ。さっきのは一体……」
あれは……と僕は少し悩んだあと、ある人に貰ったんですとだけ答えた。
「ある人……?」
「はい。そして恐らく僕はもう人間ではなくなった、そう感じてます。僕にあれを渡したあの人はいずれ必要となると言ってましたから」
「そう……。それで、体は大丈夫なの……? フランベルジュ……」
大丈夫?と僕に近寄り頬に手をあてがい心配そうに見つめるアリアさんに僕はどきりとした。
高鳴る鼓動をなんとか抑えようとするけど、収まるどころか酷くなる一方で。
フランベルジュ……?と不安そうな声を漏らすアリアさんの瞳はまるでサファイアのように青く綺麗で、僕は自分の中に沸き立つ感情を必死に堪えてなんとか大丈夫ですからとアリアさんを引き離す。
不可解な行動にアリアさんはキョトンとしているけれど僕はまともに彼女を見ることができない。
そこで僕はやっと気づく。
──僕はアリアさんが好きなんだと。
不憫で、可哀想で、か弱くて、儚い。
少し目を離したらどこかに消えてしまいそうなそんな彼女が僕は好きで、守りたいんだと。
けれどアリアさんは旦那さんがいるし、子供だっている。
決して一線は超えてはいけない存在。
これ以上関わったら僕はきっとその一線を越えてしまいそうで。
こんな感情気づかなければよかったと悔しくて黙り込んでしまった。
「フランベルジュ……? 大丈夫……? 顔色が悪いみたい……」
「大丈夫ですから……」
「そう……?」
「あ、そうだ……! 僕、部屋片付けときますね」
そうだ気を紛らわせるためにも片付けようと立ち上がりアリアさんの傍を離れる。
アリアさんがそれなら私もと立ち上がろうとしてきたけど大丈夫だからウィードの傍にいてあげてと声をかけてその場に座っててもらって。
片付けをしながらなんとか気持ちを抑えようとするけれど自覚してしまった感情は膨れ上がる一方。
きっとアリアさんの旦那がもっと優しくていい人だったらこんな気持ちも生まれなかった。
全部アリアさんに酷いことをした旦那のせいだと勝手に思い込み僕は散らかった家を片付け続けた。