【HL】水晶の燦めきに魅せられて
「フランベルジュ……ほんとに、助けに来てくれたのね……」
「当たり前ですよ。僕はアリアさんの王子様、なんですから」
「もうっ……、貴方まであの子みたいなこというのね」
「僕が相手じゃいやですか? アリアさん」
「そんなことない。貴方こそ、私なんかでいいの?」
「もちろん」
貴女しか考えられないですと微笑み、触れるだけのキスをする。
するとアリアさんの姿が一変し、青かった髪が僕と同じ真っ赤に染まり、片目が赤く染まって。
何が起こってるんだと驚く僕の瞳に映った自分の姿を見たアリアさんはどうなってるの……?と困惑を隠せないようで。
「おひめさまだー! すい、はじめてみたー!」
「このひとがおにいちゃんのおひめさまなんだね!」
「姫……? それってどういう……」
「それより!」
「したみてー!」
下?と指を差された先を見下ろすと聖泉があった場所は枯れ果て、その惨状を僕たちの姿を茫然として見上げている住民たちがいて。
「ままー! にぃに!」
そんな中、ひと際目を輝かせて僕らを見ているウィードはほんとにおーじさまとおひめさまだー!とその場ではねて喜んで。
その後ろで住民たちが警戒するように集まって僕らを睨みつけていた。
僕はウィードを後ろに隠し住民たちと対峙するとこれでもう儀式はできないなと言い放ち炎の剣を彼らに向ける。
すると彼らは激高し、あの時のように罵声を浴びせてきたり、その場にある手あたり次第のものを投げつけてきたりしてきて。
僕はそれを炎の壁を作り防ぐとそのまま辺りを焼き尽くすように剣を薙いだ。
炎は周囲を舐めるように広がり、辺りの木々やイスダリアの街並みを一瞬にして覆いつくす。
その光景に人々は震え、逃げ惑い、僕らもそれに便乗して逃げ出そうと走りだした。
「フランベルジュ……、これからどこに……っ?」
「さぁ? でもどっかで静かに暮らそう。三人で。それで今度はウィードの王子様を待つんだ」
「おれのおーじさま!」
さっきまでいた二人の少女はいつの間にか姿を消しており、お礼を言う暇もなかった。
今度会ったらお礼をと考えながら走っているとアリアさんの付き人の彼が僕たちの前に立ちふさがった。
僕はアリアさんとウィードを後ろに庇い剣を構えるとそこをどけと叫ぶ。
けれど彼は大剣を構え、その場を動く気配すらなくて。
「俺様のモノに手を出しやがって、許さねぇぞ!! 小童が!」
「アリアさんもウィードもあんたの出世のための道具じゃない。そんな扱いしかしないあんたより僕の方が二人を幸せにしてやれる。ただそれだけだ」
「うるせぇ!! ここで殺してやる!」
身の丈程ある大剣を振りかざし襲い掛かってくるそいつに僕は仕方ないと相手をする。
僕の剣はそれほど厚みもなければ大きくもない。
けれど刀身に纏う炎が彼の大剣を焼き、徐々に亀裂を入れていき、思いっきり振り上げると大剣の刀身は折れ、その刃先は後ろへと飛ぶ。
後ろには僕が守るべき二人がいる。
やばいと駆け寄るも、刀身の方が早く彼女たちの近くにある木の幹に当たり倒れてきて。
アリアさんは咄嗟にウィードを守るように彼の体を突き飛ばし、自分も逃げようとした。
けれど、運悪くその木はアリアさんの片足を潰すかのように倒れこんできてしまって。
僕は慌ててアリアさんに駆け寄り何とかその木をどかそうとするも重くてびくともしない。
その後ろで付き人の彼が自分を裏切るからだと高笑い次はお前だと折れた剣で襲い掛かってくる。
しまった……と思い剣を構えようとするもうまく体勢を立て直すことが出来ず、もうだめかと目を瞑った。
けれどいつまでたっても痛みは襲ってこず恐る恐る目を空けるとそこには僕の剣を彼の胸に突き立てているウィードの小さな背中が見えて。
ウィードはその小さな手でしっかりと剣を構えて彼の胸を貫いていて、驚く僕とアリアさんの前でこないで!!と大声で叫んだ。
「おれのにぃにとままをいじめないで!! ぱぱなんてきらい!! だいっきらい! きえちゃえ!!」
あーーー!!と叫び声をあげながらウィードはさらに剣を突き上げ、そのまま突き放すように剣を離し、彼を倒すと自分も気を失い倒れてしまう。
こんな子供になんてことをさせたんだと思い僕は倒れるウィードを抱きしめてごめんと小さく謝り、今度は僕の番だとアリアさんを救うため倒れている木をどうにかしようと考える。
大きくて重い木の幹を僕一人で持ち上げることなんてできない。
僕の剣ではこの幹を切断することもできない。
それなら……焼くしかない。
そう思い僕は彼に刺さった剣を引き抜くと構え、幹に向かって炎を放つ。
早く、早く燃えてくれと僕は祈る思いでその炎を見ていて。
けれどその木は燃えづらいらしくなかなか燃えて行ってくれない。
どうしたらと悔しい顔をする僕にアリアさんは逃げて……と消え入りそうな声で告げて。
そんなことできないとしゃがみこむ僕に彼女は巻き込んでごめんなさい、こんなことになってごめんなさいと泣いて訴えてくる。
「私がわがままを言ったから……っ、私が、生きたいって願ってしまったから……っ、貴方を、こんなっ……ごめんなさいっ、ごめんなさい、フランベルジュ……っ」
「アリアさんのせいじゃないですって!!」
「ごめんなさい、ごめんなさいっ……。でも今なら、貴方だけでも自由にしてあげられるから……っ。私を置いて、貴方だけでも逃げて、フランベルジュ……」
「そんなことできるわけないじゃないですか……!」
「もういいの……。私は、もう……。だから、フラン、ベルジュ……あなたは、別の場所で生きて……」
そう言い残しアリアさんは気を失ってしまった。
僕はどうすることもできず立ち尽くし、しばらく考えた後彼なら……と二人を炎のバリアで守りその場を離れた。
「当たり前ですよ。僕はアリアさんの王子様、なんですから」
「もうっ……、貴方まであの子みたいなこというのね」
「僕が相手じゃいやですか? アリアさん」
「そんなことない。貴方こそ、私なんかでいいの?」
「もちろん」
貴女しか考えられないですと微笑み、触れるだけのキスをする。
するとアリアさんの姿が一変し、青かった髪が僕と同じ真っ赤に染まり、片目が赤く染まって。
何が起こってるんだと驚く僕の瞳に映った自分の姿を見たアリアさんはどうなってるの……?と困惑を隠せないようで。
「おひめさまだー! すい、はじめてみたー!」
「このひとがおにいちゃんのおひめさまなんだね!」
「姫……? それってどういう……」
「それより!」
「したみてー!」
下?と指を差された先を見下ろすと聖泉があった場所は枯れ果て、その惨状を僕たちの姿を茫然として見上げている住民たちがいて。
「ままー! にぃに!」
そんな中、ひと際目を輝かせて僕らを見ているウィードはほんとにおーじさまとおひめさまだー!とその場ではねて喜んで。
その後ろで住民たちが警戒するように集まって僕らを睨みつけていた。
僕はウィードを後ろに隠し住民たちと対峙するとこれでもう儀式はできないなと言い放ち炎の剣を彼らに向ける。
すると彼らは激高し、あの時のように罵声を浴びせてきたり、その場にある手あたり次第のものを投げつけてきたりしてきて。
僕はそれを炎の壁を作り防ぐとそのまま辺りを焼き尽くすように剣を薙いだ。
炎は周囲を舐めるように広がり、辺りの木々やイスダリアの街並みを一瞬にして覆いつくす。
その光景に人々は震え、逃げ惑い、僕らもそれに便乗して逃げ出そうと走りだした。
「フランベルジュ……、これからどこに……っ?」
「さぁ? でもどっかで静かに暮らそう。三人で。それで今度はウィードの王子様を待つんだ」
「おれのおーじさま!」
さっきまでいた二人の少女はいつの間にか姿を消しており、お礼を言う暇もなかった。
今度会ったらお礼をと考えながら走っているとアリアさんの付き人の彼が僕たちの前に立ちふさがった。
僕はアリアさんとウィードを後ろに庇い剣を構えるとそこをどけと叫ぶ。
けれど彼は大剣を構え、その場を動く気配すらなくて。
「俺様のモノに手を出しやがって、許さねぇぞ!! 小童が!」
「アリアさんもウィードもあんたの出世のための道具じゃない。そんな扱いしかしないあんたより僕の方が二人を幸せにしてやれる。ただそれだけだ」
「うるせぇ!! ここで殺してやる!」
身の丈程ある大剣を振りかざし襲い掛かってくるそいつに僕は仕方ないと相手をする。
僕の剣はそれほど厚みもなければ大きくもない。
けれど刀身に纏う炎が彼の大剣を焼き、徐々に亀裂を入れていき、思いっきり振り上げると大剣の刀身は折れ、その刃先は後ろへと飛ぶ。
後ろには僕が守るべき二人がいる。
やばいと駆け寄るも、刀身の方が早く彼女たちの近くにある木の幹に当たり倒れてきて。
アリアさんは咄嗟にウィードを守るように彼の体を突き飛ばし、自分も逃げようとした。
けれど、運悪くその木はアリアさんの片足を潰すかのように倒れこんできてしまって。
僕は慌ててアリアさんに駆け寄り何とかその木をどかそうとするも重くてびくともしない。
その後ろで付き人の彼が自分を裏切るからだと高笑い次はお前だと折れた剣で襲い掛かってくる。
しまった……と思い剣を構えようとするもうまく体勢を立て直すことが出来ず、もうだめかと目を瞑った。
けれどいつまでたっても痛みは襲ってこず恐る恐る目を空けるとそこには僕の剣を彼の胸に突き立てているウィードの小さな背中が見えて。
ウィードはその小さな手でしっかりと剣を構えて彼の胸を貫いていて、驚く僕とアリアさんの前でこないで!!と大声で叫んだ。
「おれのにぃにとままをいじめないで!! ぱぱなんてきらい!! だいっきらい! きえちゃえ!!」
あーーー!!と叫び声をあげながらウィードはさらに剣を突き上げ、そのまま突き放すように剣を離し、彼を倒すと自分も気を失い倒れてしまう。
こんな子供になんてことをさせたんだと思い僕は倒れるウィードを抱きしめてごめんと小さく謝り、今度は僕の番だとアリアさんを救うため倒れている木をどうにかしようと考える。
大きくて重い木の幹を僕一人で持ち上げることなんてできない。
僕の剣ではこの幹を切断することもできない。
それなら……焼くしかない。
そう思い僕は彼に刺さった剣を引き抜くと構え、幹に向かって炎を放つ。
早く、早く燃えてくれと僕は祈る思いでその炎を見ていて。
けれどその木は燃えづらいらしくなかなか燃えて行ってくれない。
どうしたらと悔しい顔をする僕にアリアさんは逃げて……と消え入りそうな声で告げて。
そんなことできないとしゃがみこむ僕に彼女は巻き込んでごめんなさい、こんなことになってごめんなさいと泣いて訴えてくる。
「私がわがままを言ったから……っ、私が、生きたいって願ってしまったから……っ、貴方を、こんなっ……ごめんなさいっ、ごめんなさい、フランベルジュ……っ」
「アリアさんのせいじゃないですって!!」
「ごめんなさい、ごめんなさいっ……。でも今なら、貴方だけでも自由にしてあげられるから……っ。私を置いて、貴方だけでも逃げて、フランベルジュ……」
「そんなことできるわけないじゃないですか……!」
「もういいの……。私は、もう……。だから、フラン、ベルジュ……あなたは、別の場所で生きて……」
そう言い残しアリアさんは気を失ってしまった。
僕はどうすることもできず立ち尽くし、しばらく考えた後彼なら……と二人を炎のバリアで守りその場を離れた。