【HL】水晶の燦めきに魅せられて

「ままのもあらってー!」
「いやー、あのー、さすがにアリアさんのは僕が洗うわけには……」
「ままのはだめなの?」
「僕も男だから……」
「ままのもきれいにしてー!」

おねがいーと服を押し付けられてウィードの小さな手から零れ落ちそうだったのでとりあえず受け取った。
けれど、この後どうしよう。
服は最悪洗えるけど、さすがに下着は洗ってあげられない。
僕だって一応男だから……。
どうしようと思っていると僕の手に渡った自分の服を見て自分で洗うから……!と焦ったように立ち上がるアリアさん。
途端にアリアさんのそのままの姿がドラム缶から現れ僕はあーー!!っと悲鳴を上げ、くるっと後ろを向いて、彼女もそれに気づいてまた体を中に収めた。
そんな中ウィードだけは不思議そうな顔をして僕たちの顔を交互に見てはどしたのー?ときょとんとしていて。

「ままー? にぃにー?」
「あ、あの、フランベルジュ……っ、自分で洗うから、そこにおいといて……?」
「わ、わかりましたっ。あ、あのっ、僕の服そろそろ乾いてると思うんで、よかったら……。服、着てきたやつしかないし……っ」
「ありがとう……」
「ウィード、ママに僕の服持っていってあげて」
「はーい!」

元気よく返事したウィードはたかたかっと岩の上にある僕の服を持ってアリアさんに駆け寄っていく。
僕はなるべく見ないようにしてアリアさんの服を僕の服を干してあった場所に置くと一息ついてそろそろいいかなとどうですか?と声をかけながらアリアさんの方を振り返る。
すると彼女は僕の服を羽織るだけで戸惑っていて。
僕は慌てて顔を反らしてしゃがみこむと早く着てくださいと声にならない声で伝えた。

「男の人の着たことないから着方わからなくて……。これ、どこをどう合わせるのかしら……」
「あーえっとー、どう説明したら……」
「にぃににきせてもらったらー? だめなのー?」
「あー、いやーそれは……」
「にぃにーままかぜひいちゃうよー」

きせてあげてー?と僕の手を掴むウィードにどうしたらと困っているとアリアさんが大丈夫だから着せて……と歩み寄って僕の背中に抱き着いてきた。
柔らかなその感触を背中に受けて僕は反射的に立ち上がるとだめですよ!と振り返ってその体を引き離す。
瞬間きょとんとしたアリアさんの顔が見えて、そこからすぐ下にはアリアさんの胸が……。

「フランベルジュ……?」
「僕も、男、なんでっ……」
「にぃに、おかおまっかー!」
「私も恥ずかしいんだから……はやく……」
「わ、わかり、ました……。ほん、とに……いいんですね……?」
「いいから、はやく……」

恥ずかしそうに頬を赤らめ顔をそらすアリアさんに僕は一歩近づいて服に手をかける。
イスダリアの服は他のとこと違って少し特殊な構造で。
和服のような気方をするけど、そういう服ではないし……。
とりあえず……と僕はいつも自分が着ているようにまずは真ん中のチャックを上に締めてからケープっぽくなっているとこの合わせを右前にするようにして合わせて内側をボタンで止めて外側をチャックで止める。
僕のサイズだからアリアさんの体をすっぽり包んでるから下まで隠れてやっとそこで一息ついた。

「男性のって、こんな感じなのね……」
「女性のってワンピースみたいな感じですもんね」
「そうなの。後ろのチャックはずして上から被るだけだから楽で……。でも、私たち御子は少し特殊な服だから、普通のとは違うのよ」
「へぇ……」
「ほら、ウィードも着てたでしょう?」
「あ、あれがそうなんですか?」

そういえばウィードの服は周りの子供たちに比べて少し派手だなとは思っていたけれど、あれが御子の衣装なのか。
そんなことを考えているとアリアさんは自分の服の元へ行き、少し大きい袖口を折って捲り上げると川で洗い始める。
僕はその間に風呂にと一人でゆっくりドラム缶風呂に入って様子を伺っていた。
残ったウィードは脱いだ僕の下着を集めてこれもー!とアリアさんに持って行ってしまって。
突然のことに僕は慌ててドラム缶から出ようとするもさすがに真っ裸で出ていくわけにもいかず遠ざかっていくウィードの背中を見つめているしかなかった。
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