分からん奴
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「なぁ、お前…もしかして男か?」
仲間になってすぐのこと。
隣を歩く柳宿におもむろにそう聞くと、きょとんとした顔でこちらを向いた。
「……やっぱり女か?」
大きな目に長い睫毛。白い肌によく映える紫の長い髪はやたらと艶やかで。
体つきも華奢…なわりには力がある様だが、それは七星士としての能力なんだろう。
しばらく考えるような素振りを見せた後で、柳宿が口を開いた。
「ね、なんで男だと思ったわけ?」
「なんでって…なんでやろな?」
そう言えば、と自分で言っておきながら考える。見た目も言葉も女そのものなのに、柳宿といると男同士でつるんでる時と同じ様な感覚に陥るのだ。
「オレ基本的に女は好かんのやけど、なんやお前からはその…なんも感じへんというか」
「…へぇ」
野生の勘ってやつかしら、と心の中で呟く柳宿。男装をしていたところで周りからは女だと思われるというのに、すぐに見破られるのも何だか悔しい。
「ふふ、どっちかしらね?」
「なんやそれ。もったいぶるっちゅーことは、やっぱ男か」
「さぁ?ってか女だったらアンタすっごい失礼なこと言ってるわけだけど、それ気付いてる?」
「ほんなら女なんか?」
「ん~そうかもしれないし、そうじゃないかもしれないわね」
「…」
からかっているのだろう、楽しそうにニヤつく柳宿を再びじっと見つめる。
「…男やな。男やろ?」
「こんなに美人なのに?」
「自分で言うなや。男か女かそこんとこはっきりしといて貰わんと、色々困るやろが」
「あら、何を困ることがあるのよ?」
「何をって…色々や、色々!」
ぶすっとする翼宿に、くすくすと笑う柳宿。
「じゃ、おっぱい触ってみる?」
「は!?」
「あたし、見ての通りぺったんこなんだけど、少しくらいは…あるかもよ?」
はいどーぞ、と手を広げて促してみる。
「おまっ…ふざけんなや!」
「あら、真っ赤。意外とウブなのねぇ」
ケタケタと笑われ、思わず声を荒らげた。
「お前なぁ!〇〇〇付いとんのか付いとらんのか、はっきり答えんかい!!」
「あんた、セクハラで訴えるわよ?」
「人でいつまでも遊んどるお前が悪いやろ!」
「遊んでないわよ。そんなに気になるなら、付いてるかどうか触ってみればいいじゃない」
手を掴み、あろうことか自分の股間へ持っていこうとする柳宿。
「…っ…遊んどるやんけ!!」
バッ!と勢いよく手を引くと、お腹を抱えて笑い出した。どうも分が悪い。あっはははは!と笑うその顔をギッと睨みつける。
「冗談よ冗談!も~そんな怖い顔で睨まないでよ。お察しの通り、あたしは男よ。お・と・こ!」
「…ほんまやな?」
「そーよ、残念ながら」
「なんや、ただのオカマか」
「あ?なんか言った?」
ジロっと睨まれる。
「体は男だけど、心は乙女よ」
「…」
それをオカマと言うんやろ、と思いつつ。
えらい綺麗なオカマもおったもんやなぁと改めてその姿を見て感心してしまう。
「この天性の美貌とたゆまぬ努力で、いつか星宿様をオトしてみせるんだからっ」
「ほー、さよか」
「だからあたしに惚れても無駄だからね?」
「惚れるかボケ!」
またケラケラと笑い出す柳宿。
この尻に敷かれそうな感じは、やっぱり女を相手にしている様で。
それでも戦いの際に見せる姿はやたらと雄々しくて。
「男らしいんか女らしいんか、よー分からん奴やな」
「なによそれェ、褒めてんの?」
このよく分からない自分の新たな仲間に、フ、と少しの笑みを零す。
「…ま、そうかもしれへんな」
「惚れても無駄よ?」
「惚れるかボケェ!何度も言わせんなや!」
それでも意外と嫌いやない、なーんてことは言うたれへんけどな。
不機嫌な顔を装いながら、心の中で呟いた。
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