続・今夜だけでも
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
『おやすみ、柳宿』
何も言わないでと、言われたような気がした。
酷く傷付いたような寂しそうな笑顔を、寝台でごろりと寝転がりながら思い返す。
「なんなのよ、一体…」
普通に話をしていたつもりだったのに。
振り返った瞬間、ぽたぽたと涙を落としているその姿にギョッとしてしまった。
咄嗟に言葉が出なくて、飲み過ぎよ、なんて言ってしまったけれど。そんなんじゃないって事くらい分かっている。
(あたしのせいよね?やっぱ…)
なんだかよく分からないが泣かせてしまった。
あの状況であの涙は、まず間違いなく自分のせいだろう。
だが、思い当たる言葉と言えば…
(じゃあ、私の裸を見ても動揺してくれないんだ?)
(しないわよ、そんなの)
「興味、ない…」
ポツリと口に出す。
(柳宿ってさぁ、女の子には興味ないの?)
(全然?)
(まったく?少しもないの??)
畳み掛けるように投げかけられた質問。
あれは、もしかして…?
辿り着いた可能性に、枕を抱いたまま思わずガバッと起き上がった。
もしそうだとしたら。
もし、自分のことを好きなのだとしたら…
『そんなの、興味ないわ』
「…」
ああ…と合点がいってしまった。
同時に、やってしまったと、思った。
想い人から「君の裸になんの興味もない」と言われたら、そりゃあ女として涙のひとつも零れるだろう。
(謝るべき…よね…)
本当にこの想像が合っているかは分からないけれど、どんな理由であれ泣かせてしまったことに違いはないから。
でも、なんて言えばいいのだろう。
(興味ないって言ってゴメン、でいいのかしら?)
(ホントは興味あるから安心しなさい、なんて言うのはおかしいわよね)
(興味ないこともないのよ、とか…?)
(いやそれはダメだわ。ただのスケベ野郎みたいじゃないの)
(でも本当にそれが原因なのかしら…?ただの自意識過剰だったりして)
(あ、もしかして貧乳に悩んでるとか?巨乳がどうこう言ってたし)
(いやそんなんじゃさすがに泣かないわよね…大体貧乳くらいで泣いたとしたら逆に腹立つわ。あたしなんてどーすりゃいいのよ)
ひたすら悶々と考える。
(あの子…ホントにあたしのこと…?)
最終的にはそればかりが気になってしまって、なんだかソワソワとしてしまう。
「あ~もー…眠れないじゃないのよ」
まんまと思惑通りに頭の中を支配されているとも気付かずに。
寝台で再びゴロゴロと転がりながら、枕をぎゅう、と抱き締める柳宿だった。
·
1/2ページ