欲望の影
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「美人とかお淑やかさなんて関係ないわ。惚れるかどうかは別問題よ。あんたはもしあたしより美形で大人の男が現れたら、さっさとそっちに乗り換えるつもり?」
「そんなことない!」
「でしょ?あたしも同じよ。それに、あんたは自分では気づいてないかもしれないけど、すっごく魅力的で可愛いのよ」
「ちょっと鈍臭いところもね」と付け加える柳宿を照れくさそうに睨むと、柳宿はニヤリと笑った。
「だから、心配しなくていいのよ。あたしを信じなさい」
「うん…分かった」
信じると答えると、今度は満足そうに微笑んだ。
「まぁ、色気に関してはもう少し磨く必要があるかもしれないけどね」
「なっ…なによ!」
「冗談よ。今のままでも十分よ。それに、自然と色気も出てくるわよ。だって、あたしがそばにいるんだから」
「…柳宿が色気の出し方を教えてくれるってこと?」
そう聞くと、柳宿は首を振りながら言った。
「女の色気ってのは、相手の男が引き出すものよ。だから、あんたがこれからもっと色っぽくなるかどうかは、あたしの腕次第ってことね」
「柳宿の腕次第…」
「…そうよ」
寝台が小さくギシッと音を立てた。
「あたしの、腕次第…」
柳宿がぽつりと呟くと、その声に重なって、寝台がさらにギシッと音を立てる。
「柳宿…?」
「…あたしが、あんたを本当に女として見てるかどうか…」
柳宿の声が低く響き、部屋の空気が一瞬で緊張感を帯びた。
「試して、みる…?」
「…!」
気がつけば、柳宿がすでに覆いかぶさるようにして、じっとこちらを見下ろしていた。
「男として見てなかったのは、あんたの方でしょ?」
冷たくも感じられる低い声と、まるで獲物を捉えたような鋭い目つきに体が固まってしまう。
しかし次の瞬間には、柳宿の声は切なげな響きに変わった。
「……あたしは、ずっと…」
柳宿の冷たい手が頬をそっと撫でる。
体がビクリと反応するが、柳宿は気にする様子もなく、その手をゆっくりと下へと移していく。
無言で首筋を撫でる柳宿の手が、緊張と期待が入り混じった空気の中、次第に胸元へと差し掛かり、思わずその手を掴んで静止した。
「ちょっと、待って…」
「…」
何を考えているのか分からない真剣な表情の柳宿と目を合わせると、柳宿はゆっくりと、固く張り詰めた空気を和らげるように、にっこりと笑顔を浮かべた。
「どうやら、伝わったみたいね」
「…つ、伝わった」
相変わらず柳宿に押し倒されて動けない状態のまま、顔を赤らめてコクコクと頷いた。
柳宿が静かに微笑んだその直後、顔を寄せてきた柳宿に、唇を塞がれた。
「!!」
「……………今はこれで、我慢しといてあげるわ」
耳元で「今はね」と囁くように意味深に繰り返す柳宿の言葉に、思わず息を呑んでしまう。
彼が抑えていた感情のスイッチを押してしまったような予感が、胸に広がった。
4/4ページ