欲望の影
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
柳宿と想いが通じ合ってから、しばらく経った頃。
名無しは夕食後に柳宿の部屋に向かうのが日課になっていた。一緒に美味しいお茶を楽しみ、時には用意してくれた甘味を味わいながら、心地よい時間を過ごす。
柳宿はどんな話題にも興味深々に耳を傾けてくれて、笑い合ったり愚痴を言い合ったり、キャピキャピとしたいつまでも終わらないお喋りは傍から見ると女子そのもので、恋人同士にはまるで見えないことだろう。
見た目は女の子で、喋り方も女の子そのもの。
仕草も自分よりずっと女性らしい。
それでも、最近少しだけ、以前よりどこか男っぽい雰囲気になったような気がする柳宿。
ご機嫌な様子でニコニコとお喋りをするその顔をじっと見つめる。相変わらず美しい顔立ちで、長いまつげ、整った鼻筋、艶やかな肌がそのままに輝いている。
「…名無し?」
顔だけでなく、手もまたしなやかで美しい柳宿。
手入れが行き届いていることがわかる爪と肌。
しかし、比べてみると意外にも手は大きい。よく見るとやはり作りが女性のそれとは違うのが分かる。
筋肉の付き方や関節の形、これは男の子特有の…
「…ちょっとォ?名無しちゃ~ん?」
「!…あっ………ご、ごめん!」
無意識に撫で回してしまっていた柳宿の手をパッと離した。
思わず顔が赤くなってしまう。柳宿は一瞬キョトンとした後、その表情をニヤニヤとしたものへと変えた。
「なぁにぃ?ぼーっとしてると思ったら急にペタペタ触りだして…名無しったら、エッチなことでも考えてたの?」
柳宿が楽しそうに手をヒラヒラさせながら、「もっと触る?」と笑っている。
「そんなんじゃ…!ただちょっと、観察してただけで」
「観察~?手を?」
「柳宿ってよく見ると本当に男の子なんだなぁって」
「あら。何よ、今さら。付き合ってるのに心外だわ」
柳宿が少し不満気な顔をしている。
「まぁ、でもそうよねぇ。あたしってその辺の女より美人だし?お淑やかだし?我ながらいい女だと思うわぁ」
オホホホホッといつもの調子で笑う柳宿を見て、やっぱり変わってないな、と思い直す。
「でもねぇ、アンタにだけは、そう思って貰いたくないのよね」
「え…」
コホンッと小さく咳払いをして、離した手の上に再び手を重ねてきた柳宿。
前のめりに見つめられ、内心ドキドキしながら見つめ返すと、柳宿がゆっくり間をおいて口を開いた。
低い、男の声で。
「……俺が男だってこと、分からせてやろうか…?」
1/4ページ