祭りの夜
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「もう、びっくりさせないでよね!もーちょっとで腰抜けるとこだったじゃない!」
「なによ失礼ねぇ。あたし、腰抜けるような顔もタヌキの顔もしてないわっ」
失礼しちゃうとブツブツ言いながらも、柳宿も名無しも楽しそうな様子だ。
「てっきり、二人は喧嘩でもしているのかと思ったのだ」
少し待ってて、と名無しが場を離れたところで、隣に立つ柳宿に問いかけた。
「別に喧嘩なんて…ちょっと言い合いしただけよ」
いつものことよ、と柳宿が言った。
「それならいいのだが。あまり悠長にしていると、彼女を他の男に取られてしまうかもしれないのだ。柳宿はそれでもいいのだ?」
そう言うと、一瞬驚いた顔を見せた柳宿は、バツが悪そうに下を向いた。
「やぁねぇ井宿まで…。美朱にもこの前同じようなこと言われたわ。そんなに分かりやすかったかしら」
「恋心というのは、第三者から見ると分かりやすいものなのだ」
名無しの気持ちも同じこと。きっと、本人たちだけが気付いていないのだろう。
「名無しは…とてもいい匂いがするのだ」
思い立ってそう呟くと、柳宿がばっと勢いよく顔を上げてこちらを見た。
「……何よそれ。どういう意味?」
「オイラも男ってことなのだ」
固まった柳宿に向けて、少しだけ面をずらしながらニヤリと笑ってみせた。
「お待たせー!…って、どうしたの?」
戻ってきた名無しが、井宿と柳宿の間に流れる微妙な緊張感に気づき二人を交互に見比べた。
「名無し、ちょっとこっちに来なさい」
柳宿が手を掴んで引っ張る。
「えっ何??井宿は…」
「いいのよ」
有無を言わさずズンズン進んでいく柳宿。
わけもわからず振り返ると、ヒラヒラと手を振る井宿が見えた。