【幕】幕新ゆらり
夢主名前設定
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土方が恐ろしい顔で凄み、身を乗り出した。
嘘を吐いていないのは顔を見れば明白だと、夢主を止めようとした矢先に飛び出した言葉。
続きを聞き出さねばならなくなった。
骨太の腕が伸びて、今にも夢主の首を掴みそうだ。
「何を知ってるって言うんだ」
「いえ……」
土方は顎で皆に部屋の外に出ろと合図した。
幹部の中でも情報の把握に差異がある。
夢主から事情を聞き出す場に留めたくない存在もいた。
「少し離れて待っててくれ」
土方が視線を送ると、男達は素直に部屋を立ち去った。
夢主と土方だけが取り残される。
手を伸ばせば届く距離で、土方は尋問した。
「それで、新見さんと芹沢さんがどうしたって」
土方が怖い顔で真っ直ぐ夢主を見つめている。
葬式をしたから死を知っていても不思議ではない。しかし先程夢主が止めた言葉の先は単純ではない。
言ってみろと、土方は自らの顎をくいと動かして、話の先を催促した。
「も、もうお二人とも、いないのでしょう。新見さんは切腹、芹沢さんは……長州の手の者により暗殺」
「本当に詳しいな」
確かにそういう事になっている。余所者が知っているのはおかしいが。土方は思った。
怪しむ土方を察して夢主は尚も続けた。
「でも本当は……芹沢さんの片腕である新見さんを切腹に追い込み、芹沢さんを暗殺した。指示したのは、」
土方の迫力に負けまいと、夢主は真っ直ぐ目を見つめ返した。
史実でも明らかになっていない出来事。けれども多くの仮説が立てられ、有力視されている実行犯。
夢主は怖々と口にした。
「土方さん、貴方です」
夢主の言葉を聞いた瞬間、土方が刀を抜いた。
喉元に突き付けられた刃。
先程、斎藤の刀で指先を怪我した夢主は、向けられる刃の意味を理解して震えた。
「ま、待ってください、私は味方です、本当に新選組が大好きで……裏があるならこんな危険な話はしません!! 信じてください!」
夢主は体勢を崩して懸命に訴えた。
畳についた手が震えている。
土方の考え一つで自分の命は尽きてしまう。
でも自分が知る土方ならば、この場で刀を納めてくれるはず。
夢主は目を閉じて、命運を託した。
静寂が部屋を包み、僅かな時が永遠に感じられる。
外で動く者も無く部屋で固まる二人。互いの息遣いが耳に届くほど、静まり返っていた。
土方は暫く切っ先を夢主に向けていたが、やがて静かに刀を鞘に納めた。
自分に向けられた刃がもう無いと硬い音で知った夢主は、恐る恐る目を開いた。
「何故知っている」
「だから……本当に未来から来て、だから知ってるんです、これからの事だって知っています!」
夢主は言い切った。
土方は人の言葉の裏を見抜く力があるはず。
だから嘘を吐かなければ信じてくれる。夢主は土方を信じた。
「……いいだろう。ならば、何か近いうちに起こる出来事を言ってみろ」
このままでは埒が明かない、土方は物は試しと話を進めた。
今までの事は情報さえ掴めば語れる話。ならばこの先の出来事でお前を試すと、厳しい目を向けた。
「いいですけど……土方さん一人にはお話出来ません」
「何っ」
土方は顔をしかめた。
「どういう意味だ」
「だってこの先の出来事、情報はとても重要です。重大過ぎます。土方さん一人の一存で……歴史が変わってしまうかもしれないんですよ。たった一人が全てを掌握するのは……危険だからです」
「ほぉ、考えるな。ではどうすれば良い」
単純な女かと思えば随分と深く考えている。
土方は感心して夢主を観察した。
「幹部のみなさまを……全員ではありませんが、呼んでください」
「いいだろう」
土方は夢主の申し出を受け入れ、数名の幹部を部屋に入れた。
呼ばれたのは井上源三郎、山南敬介、そして斎藤一の三人だ。
「どうしてこの三人なんだ。まずはそれから説明しろ」
土方は夢主に問い、視線が集中する中で夢主は頷いた。
嘘を吐いていないのは顔を見れば明白だと、夢主を止めようとした矢先に飛び出した言葉。
続きを聞き出さねばならなくなった。
骨太の腕が伸びて、今にも夢主の首を掴みそうだ。
「何を知ってるって言うんだ」
「いえ……」
土方は顎で皆に部屋の外に出ろと合図した。
幹部の中でも情報の把握に差異がある。
夢主から事情を聞き出す場に留めたくない存在もいた。
「少し離れて待っててくれ」
土方が視線を送ると、男達は素直に部屋を立ち去った。
夢主と土方だけが取り残される。
手を伸ばせば届く距離で、土方は尋問した。
「それで、新見さんと芹沢さんがどうしたって」
土方が怖い顔で真っ直ぐ夢主を見つめている。
葬式をしたから死を知っていても不思議ではない。しかし先程夢主が止めた言葉の先は単純ではない。
言ってみろと、土方は自らの顎をくいと動かして、話の先を催促した。
「も、もうお二人とも、いないのでしょう。新見さんは切腹、芹沢さんは……長州の手の者により暗殺」
「本当に詳しいな」
確かにそういう事になっている。余所者が知っているのはおかしいが。土方は思った。
怪しむ土方を察して夢主は尚も続けた。
「でも本当は……芹沢さんの片腕である新見さんを切腹に追い込み、芹沢さんを暗殺した。指示したのは、」
土方の迫力に負けまいと、夢主は真っ直ぐ目を見つめ返した。
史実でも明らかになっていない出来事。けれども多くの仮説が立てられ、有力視されている実行犯。
夢主は怖々と口にした。
「土方さん、貴方です」
夢主の言葉を聞いた瞬間、土方が刀を抜いた。
喉元に突き付けられた刃。
先程、斎藤の刀で指先を怪我した夢主は、向けられる刃の意味を理解して震えた。
「ま、待ってください、私は味方です、本当に新選組が大好きで……裏があるならこんな危険な話はしません!! 信じてください!」
夢主は体勢を崩して懸命に訴えた。
畳についた手が震えている。
土方の考え一つで自分の命は尽きてしまう。
でも自分が知る土方ならば、この場で刀を納めてくれるはず。
夢主は目を閉じて、命運を託した。
静寂が部屋を包み、僅かな時が永遠に感じられる。
外で動く者も無く部屋で固まる二人。互いの息遣いが耳に届くほど、静まり返っていた。
土方は暫く切っ先を夢主に向けていたが、やがて静かに刀を鞘に納めた。
自分に向けられた刃がもう無いと硬い音で知った夢主は、恐る恐る目を開いた。
「何故知っている」
「だから……本当に未来から来て、だから知ってるんです、これからの事だって知っています!」
夢主は言い切った。
土方は人の言葉の裏を見抜く力があるはず。
だから嘘を吐かなければ信じてくれる。夢主は土方を信じた。
「……いいだろう。ならば、何か近いうちに起こる出来事を言ってみろ」
このままでは埒が明かない、土方は物は試しと話を進めた。
今までの事は情報さえ掴めば語れる話。ならばこの先の出来事でお前を試すと、厳しい目を向けた。
「いいですけど……土方さん一人にはお話出来ません」
「何っ」
土方は顔をしかめた。
「どういう意味だ」
「だってこの先の出来事、情報はとても重要です。重大過ぎます。土方さん一人の一存で……歴史が変わってしまうかもしれないんですよ。たった一人が全てを掌握するのは……危険だからです」
「ほぉ、考えるな。ではどうすれば良い」
単純な女かと思えば随分と深く考えている。
土方は感心して夢主を観察した。
「幹部のみなさまを……全員ではありませんが、呼んでください」
「いいだろう」
土方は夢主の申し出を受け入れ、数名の幹部を部屋に入れた。
呼ばれたのは井上源三郎、山南敬介、そして斎藤一の三人だ。
「どうしてこの三人なんだ。まずはそれから説明しろ」
土方は夢主に問い、視線が集中する中で夢主は頷いた。