68.たずさえる手
夢主名前設定
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夜の京都。
ようやくある警察署へ到着した斎藤が、情報に目を通す名目で椅子に体を下ろした。
だがその矢先、一時の休息は失われた。
「藤田警部補、緊急の電信です」
「何だ」
渡された電信を見るなり舌打ちが出た。
神戸に集結した選りすぐりの警官達が何者かにより一夜のうちに殲滅された。
「全滅とは大幅な戦力喪失だな。ちっ、何者だ」
「分かりません。大阪への応援要請は済みました。いつでも動けるそうです」
「そうか、ご苦労」
手練ればかりを集めた五十人を短時間で始末する。志々雄の手下にも相当な使い手がいるらしい。
この際、先に把握できて幸運と捉えるしかあるまい。戦力の立て直しを考えなければ。
「あとは抜刀斎が人を斬る覚悟が出来たか、だな」
もう一人浮かんだ馬鹿、あれは期待しない方がいいだろう。
京都行きをけしかけた伊達男もどこかで上手く絡んでくれれば良いが期待は薄い。
抜刀斎と合流し、志々雄の居場所を探る。
京都で待つと言ったあの包帯男が何も仕掛けてこないとは思えない。
遠くないうちに動きがあるはず。こちらも急がねば。
現状、敵に挑むには些か戦力不足だ。
直後、打開策を思案する斎藤に思いがけない選択肢が増えることとなる。
激しく戸を叩く音と共に若い警官の慌てる声が響いた。
「藤田警部補!」
「今度は何だ」
「署長がお呼びです。着いて早々で申し訳ないが対応して欲しい男がいると」
「ほぅ、すぐ行く」
若い警官は興奮気味に伝えた。
ただの伝言では無いな。感じた斎藤は足早に署長の元へ向かった。
挨拶を済ませて案内されたのは牢が並ぶ地下。
硬い靴音を響かせるが目的の部屋に着く前に足を止めた。
署長曰く「野暮用」を果たす為だ。
「貴様か」
「おうよ」
署長にどうにかしてくれと示された牢に座る男、魚の骨を揺らす見覚えある馬鹿がにやけている。
相楽左之助、堂々の到着を宣言しているが、相変わらずだ。
相手をする気にもなれず背を向けた途端、牢の格子木が粉々に吹き飛んだ。
面白いヒヨっ子だ。
生きてここまで辿り着いたこと、認めてやろう。
それにこの技。少しは使える戦力になったか。
これから生き残れるか否かがこの男が真価だが面白い、この力、俺と共に使ってやろう。
失った戦力の補充に左之助を加えた斎藤だが、すっかり認めた訳ではない。
左之助は己の助言を無碍に、防御を全く磨かなかった。
もう一度ブチのめしてやりたいが今はこの先の牢にいる男の取り調べが優先だ。
顔を上げた時、左之助の顔が近付きむさ苦しさを感じた。
「おい、夢主の事、知ってるからな。俺は負けを認めちゃいねぇ」
何かと思えば、こんな時にそんな宣言をするなど阿呆も大概にしろ。
任務に集中したい今、夢主を思い出させる言動は腹立たしいが余計な手間暇は掛けられない。
斎藤は無視して厳重警備されている十本刀・張が捕らわれている牢の鍵を開けた。
ようやくある警察署へ到着した斎藤が、情報に目を通す名目で椅子に体を下ろした。
だがその矢先、一時の休息は失われた。
「藤田警部補、緊急の電信です」
「何だ」
渡された電信を見るなり舌打ちが出た。
神戸に集結した選りすぐりの警官達が何者かにより一夜のうちに殲滅された。
「全滅とは大幅な戦力喪失だな。ちっ、何者だ」
「分かりません。大阪への応援要請は済みました。いつでも動けるそうです」
「そうか、ご苦労」
手練ればかりを集めた五十人を短時間で始末する。志々雄の手下にも相当な使い手がいるらしい。
この際、先に把握できて幸運と捉えるしかあるまい。戦力の立て直しを考えなければ。
「あとは抜刀斎が人を斬る覚悟が出来たか、だな」
もう一人浮かんだ馬鹿、あれは期待しない方がいいだろう。
京都行きをけしかけた伊達男もどこかで上手く絡んでくれれば良いが期待は薄い。
抜刀斎と合流し、志々雄の居場所を探る。
京都で待つと言ったあの包帯男が何も仕掛けてこないとは思えない。
遠くないうちに動きがあるはず。こちらも急がねば。
現状、敵に挑むには些か戦力不足だ。
直後、打開策を思案する斎藤に思いがけない選択肢が増えることとなる。
激しく戸を叩く音と共に若い警官の慌てる声が響いた。
「藤田警部補!」
「今度は何だ」
「署長がお呼びです。着いて早々で申し訳ないが対応して欲しい男がいると」
「ほぅ、すぐ行く」
若い警官は興奮気味に伝えた。
ただの伝言では無いな。感じた斎藤は足早に署長の元へ向かった。
挨拶を済ませて案内されたのは牢が並ぶ地下。
硬い靴音を響かせるが目的の部屋に着く前に足を止めた。
署長曰く「野暮用」を果たす為だ。
「貴様か」
「おうよ」
署長にどうにかしてくれと示された牢に座る男、魚の骨を揺らす見覚えある馬鹿がにやけている。
相楽左之助、堂々の到着を宣言しているが、相変わらずだ。
相手をする気にもなれず背を向けた途端、牢の格子木が粉々に吹き飛んだ。
面白いヒヨっ子だ。
生きてここまで辿り着いたこと、認めてやろう。
それにこの技。少しは使える戦力になったか。
これから生き残れるか否かがこの男が真価だが面白い、この力、俺と共に使ってやろう。
失った戦力の補充に左之助を加えた斎藤だが、すっかり認めた訳ではない。
左之助は己の助言を無碍に、防御を全く磨かなかった。
もう一度ブチのめしてやりたいが今はこの先の牢にいる男の取り調べが優先だ。
顔を上げた時、左之助の顔が近付きむさ苦しさを感じた。
「おい、夢主の事、知ってるからな。俺は負けを認めちゃいねぇ」
何かと思えば、こんな時にそんな宣言をするなど阿呆も大概にしろ。
任務に集中したい今、夢主を思い出させる言動は腹立たしいが余計な手間暇は掛けられない。
斎藤は無視して厳重警備されている十本刀・張が捕らわれている牢の鍵を開けた。