68.たずさえる手
夢主名前設定
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赤らむ夢主の顔が熱を増した。
張の緩んだ衿元から鍛えられた胸板が見える。
退屈凌ぎに体を動かしていたのか薄ら汗ばんでいた。
間近で張の匂いを嗅いでしまい、夢主は戸惑って目を伏せた。
それを見た張は満更でもない反応を嗤い、熱い息が確実に伝わる距離で囁いた。
「なぁ、ちょっくら遊んでくれへんか姉ちゃん」
両手首を力強く壁に押し付けられて逃げらない。
夢主は考える間もなく体を短く震わせた。目を瞑り紅潮した顔を晒している。
気を好くした張は夢主の耳を甘噛み始めた。歯を当てながら耳の形に添って舌を動かし濡らしていく。
「んんっ、駄目です、張さんだけは……ふぁ……ぁん……駄目、本当に殺されちゃう……」
……お腹が……はっちゃう……
……それにいつか、一さんに知られたら張さんが……
自らの操よりも腹の子を思い、更には張が密偵になった暁に斎藤に知れたら許されまいと、自分を襲おうとする男の身を案じていた。
「なんでワイの名前知ってんのや、ワイを殺すって誰が」
「わ……私は志々雄さんの客人です、離してください」
「へぇ、ホンマにおもろいな」
今度は確かな苛立ちが伝わってくる。
怒髪天を衝く、言葉通り目の前の逆立った髪は怒りを表しているようだ。
「確かに志々雄さんの客人やったらワイの首が飛んでまうわ」
「志々雄さんが帰還される頃です。いいんですか、方治さんが……新井赤空最後の一振りについての情報を……得る頃ですよ」
……剣心ごめんなさい、逆刃刀真打……守って……
どのみち張は方治から得た情報を元に新井青空を訪れ白山神社に向かう。
今、張を遠ざけられるなら。
夢主は緋村に詫びながら情報を口にした。
「何やて」
「……新井赤空」
「ほぉ」
何でワイの一番のお気に入りを知ってるんや。
顔を酷く歪めて張は夢主を見下ろしている。
いつ抜刀されても不思議ではない状況に生きた心地がしない。
「まぁええ、志々雄さんに挨拶せな思うて向かう途中やったんや。アンタも来い、確認や」
「あっ」
押されていた手首を急に引かれて転びそうになるが、意外にも張が受け止めてくれた。
「気ぃつけぇよ、さっきから頼りないなぁ」
志々雄の客人かもしれないからか、思わぬ優しさに夢主は口を開けたまま頷いた。
張は当初の目的を果たす為、夢主をぐいぐい引っ張って行く。
やがて怒号にも近い方治の声が聞こえて来た。
「方治はん相変わらず熱いなぁ」
「え……」
志々雄が抜刀斎を血祭りにあげると宣言し、方治が反対の弁を述べていた。由美がその会話を見守っている。
ひょいと顔を見せた張が話に割って入った。
その横で小さくなっている夢主を見つけて志々雄は嬉しそうに口を歪めた。
「張か、早いな。それに……よく来た、夢主」
「志々雄……さん」
フッと歪んだ口が弛んだ。
「この姿で会うのは初めてじゃなかったか」
「あっ……」
「お前を呼んで良かったぜ、また後でゆっくり話がある」
由美は見知らぬ女の登場と志々雄の反応に困惑している。
張もホンマやったんかいと冷や汗を掻いていた。
方治は早文で指示を受けた客人が、改めて志々雄が招いた者で間違いないと認知した。
だが部外者であることには違いない。この場にいる事に対し厳しい目を向けている。
張の緩んだ衿元から鍛えられた胸板が見える。
退屈凌ぎに体を動かしていたのか薄ら汗ばんでいた。
間近で張の匂いを嗅いでしまい、夢主は戸惑って目を伏せた。
それを見た張は満更でもない反応を嗤い、熱い息が確実に伝わる距離で囁いた。
「なぁ、ちょっくら遊んでくれへんか姉ちゃん」
両手首を力強く壁に押し付けられて逃げらない。
夢主は考える間もなく体を短く震わせた。目を瞑り紅潮した顔を晒している。
気を好くした張は夢主の耳を甘噛み始めた。歯を当てながら耳の形に添って舌を動かし濡らしていく。
「んんっ、駄目です、張さんだけは……ふぁ……ぁん……駄目、本当に殺されちゃう……」
……お腹が……はっちゃう……
……それにいつか、一さんに知られたら張さんが……
自らの操よりも腹の子を思い、更には張が密偵になった暁に斎藤に知れたら許されまいと、自分を襲おうとする男の身を案じていた。
「なんでワイの名前知ってんのや、ワイを殺すって誰が」
「わ……私は志々雄さんの客人です、離してください」
「へぇ、ホンマにおもろいな」
今度は確かな苛立ちが伝わってくる。
怒髪天を衝く、言葉通り目の前の逆立った髪は怒りを表しているようだ。
「確かに志々雄さんの客人やったらワイの首が飛んでまうわ」
「志々雄さんが帰還される頃です。いいんですか、方治さんが……新井赤空最後の一振りについての情報を……得る頃ですよ」
……剣心ごめんなさい、逆刃刀真打……守って……
どのみち張は方治から得た情報を元に新井青空を訪れ白山神社に向かう。
今、張を遠ざけられるなら。
夢主は緋村に詫びながら情報を口にした。
「何やて」
「……新井赤空」
「ほぉ」
何でワイの一番のお気に入りを知ってるんや。
顔を酷く歪めて張は夢主を見下ろしている。
いつ抜刀されても不思議ではない状況に生きた心地がしない。
「まぁええ、志々雄さんに挨拶せな思うて向かう途中やったんや。アンタも来い、確認や」
「あっ」
押されていた手首を急に引かれて転びそうになるが、意外にも張が受け止めてくれた。
「気ぃつけぇよ、さっきから頼りないなぁ」
志々雄の客人かもしれないからか、思わぬ優しさに夢主は口を開けたまま頷いた。
張は当初の目的を果たす為、夢主をぐいぐい引っ張って行く。
やがて怒号にも近い方治の声が聞こえて来た。
「方治はん相変わらず熱いなぁ」
「え……」
志々雄が抜刀斎を血祭りにあげると宣言し、方治が反対の弁を述べていた。由美がその会話を見守っている。
ひょいと顔を見せた張が話に割って入った。
その横で小さくなっている夢主を見つけて志々雄は嬉しそうに口を歪めた。
「張か、早いな。それに……よく来た、夢主」
「志々雄……さん」
フッと歪んだ口が弛んだ。
「この姿で会うのは初めてじゃなかったか」
「あっ……」
「お前を呼んで良かったぜ、また後でゆっくり話がある」
由美は見知らぬ女の登場と志々雄の反応に困惑している。
張もホンマやったんかいと冷や汗を掻いていた。
方治は早文で指示を受けた客人が、改めて志々雄が招いた者で間違いないと認知した。
だが部外者であることには違いない。この場にいる事に対し厳しい目を向けている。