59.炸裂間際
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斎藤は抜刀斎との接触を模索していた。
居場所を突き止め、見つけてからは動向を把握し時機を待っていた。
そろそろかと考えていた矢先、川路から指令が下ったのだ。
緋村抜刀斎こと緋村剣心に接触し、その力量を量れと。
力量を量るとは剣を持っての接触の許可。これは密偵になって以来、一番美味しい仕事だ。
愉悦で刀を振るう趣向は無いが、この件に関しては血が騒ぐのを否定出来ない。
黒笠事件の捜査で浮かび上がった政治家、渋海が新たな人斬りを探しているらしい。
刃衛を殺した犯人を抹殺する為、即ち緋村抜刀斎を殺せる男を探している。
こいつは面白い。二つの問題が同時に解決する。
斎藤は指示した調査を終えて戻った部下に視線を向けた。
早速次の任務だ。
「お前、石田散薬を知っているか」
「石田散薬ですか、えぇ知っていますよ。うちの親父も世話になっています」
「そうか、それなら話は早い。あの薬売りの箱を調達して欲しい」
「箱をですか。あの背負う箱ですよね」
「そうだ。仕事で使うんでな、出来るか。本物でもそうと見えれば贋物でも構わん」
「はい、それはまぁ何とかなるかと」
石田散薬は明治大正と時を経て昭和の初期まで販売が続く薬。
江戸周辺では知られた存在だ。
「時間があれば俺が行ってもいいんだがな」
「藤田警部補がですか」
「冗談だ。頼んだぞ」
副長が若い頃世話になっていた日野の家、斎藤もそこへなら素顔のまま訪れることが出来る。
家の者とも面識がある。あそこの彦五郎は話が分かる男だ。斎藤が正直に話せば難なく箱を貸してくれるだろう。
藤田五郎の仮面がいらない地に興味はあるが忙しい身。
斎藤は素直に部下に手配を任せた。
本物だろうが偽物だろうが構わない。目にした者に『新選組の密偵が変装に利用した石田散薬』と伝わればいい。
「さて、藤田五郎の出番となりそうだな」
家に放置したままの制帽を取りに戻るか。
斎藤は忘れていた感覚を取り戻すように、ニィと細い目を弓なりに歪めて資料室を後にした。
居場所を突き止め、見つけてからは動向を把握し時機を待っていた。
そろそろかと考えていた矢先、川路から指令が下ったのだ。
緋村抜刀斎こと緋村剣心に接触し、その力量を量れと。
力量を量るとは剣を持っての接触の許可。これは密偵になって以来、一番美味しい仕事だ。
愉悦で刀を振るう趣向は無いが、この件に関しては血が騒ぐのを否定出来ない。
黒笠事件の捜査で浮かび上がった政治家、渋海が新たな人斬りを探しているらしい。
刃衛を殺した犯人を抹殺する為、即ち緋村抜刀斎を殺せる男を探している。
こいつは面白い。二つの問題が同時に解決する。
斎藤は指示した調査を終えて戻った部下に視線を向けた。
早速次の任務だ。
「お前、石田散薬を知っているか」
「石田散薬ですか、えぇ知っていますよ。うちの親父も世話になっています」
「そうか、それなら話は早い。あの薬売りの箱を調達して欲しい」
「箱をですか。あの背負う箱ですよね」
「そうだ。仕事で使うんでな、出来るか。本物でもそうと見えれば贋物でも構わん」
「はい、それはまぁ何とかなるかと」
石田散薬は明治大正と時を経て昭和の初期まで販売が続く薬。
江戸周辺では知られた存在だ。
「時間があれば俺が行ってもいいんだがな」
「藤田警部補がですか」
「冗談だ。頼んだぞ」
副長が若い頃世話になっていた日野の家、斎藤もそこへなら素顔のまま訪れることが出来る。
家の者とも面識がある。あそこの彦五郎は話が分かる男だ。斎藤が正直に話せば難なく箱を貸してくれるだろう。
藤田五郎の仮面がいらない地に興味はあるが忙しい身。
斎藤は素直に部下に手配を任せた。
本物だろうが偽物だろうが構わない。目にした者に『新選組の密偵が変装に利用した石田散薬』と伝わればいい。
「さて、藤田五郎の出番となりそうだな」
家に放置したままの制帽を取りに戻るか。
斎藤は忘れていた感覚を取り戻すように、ニィと細い目を弓なりに歪めて資料室を後にした。