57.宿すもの、宿る者
夢主名前設定
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「大丈夫ですか夢主ちゃん」
「総司さん……」
「とにかく中へ戻りましょう」
殺気に縛られた体で目にした生々しい首四つ。
精神への負荷は計り知れない。
「……大丈夫?」
「……はい、大丈夫です」
大丈夫。こうなると知っていて、流れに任せたのだから……
力なく立ち上がる夢主をすぐさま沖田が支えた。
「蒼紫様が立ち向かうのに、私だけ逃げられない……」
「夢主ちゃん……」
こんな時、そばにいてくれる沖田に感謝しかない。
ひとりではとても受け止めきれなかっただろう。
「四乃森蒼紫はどうなるんでしょうね」
「総司さん、お優しいですね」
「いえ、気になるだけですよ、あの状態では何をしでかすか」
「蒼紫様は大丈夫です。……少し時間は掛かっちゃいますが、蒼紫様なら……っ」
涙が滲む。
とても大きな遠回りになってしまうけれど、必ず蒼紫の心は戻ってくる。
多くの人が傷つくが、傷ついた分だけそれぞれ強くなる。
「蒼紫様はちゃんと……戻ってきます」
「……そうですか」
慰めるよう、沖田の手がそっと肩に触れた。
まだまだ問題が起こる、語られずとも複雑な今後が見える。
こんな時にどんな言葉が必要なのか。
沖田は夢主を取り巻く人々の笑顔を思い浮かべた。
「あの人が来たって事は観柳邸で騒動があって……終わった。きっと緋村さん達も戻って来るでしょう」
「はい、きっと恵さんも一緒に」
「どうします、日が昇ったら神谷道場に行ってみますか。僕も一緒に行ってもいいのか迷うところですが、ははっ」
「総司さんたら……」
くすくすと肩が揺れ、夢主にか弱いながら笑顔が戻ってきた。
「恵さんにどう説明したらいいんだろう……緋村さんも私の秘密を詳しく知っている訳ではないんです」
「うぅん……全てを打ち明けるか、誤魔化すか」
「今はまだ……一さんがそのうち神谷道場にお仕事で伺う時が来るんです。その時までは……私の秘密も一さんの事も……誰にも言えません」
「そっか、それじゃ話を合わせないとですね」
「面倒臭いですよね、すみません」
「ははっ、楽しいじゃない。何だか密談みたいで」
「密談ですよ、ふふっ。昔から総司さんには相談に乗ってもらってますよね、今回もお願いします」
「いいですよぉ、僕は策を練るのは苦手ですが夢主ちゃんと話すのは大好きですから」
苦手と言うが動乱の中で様々な困難を乗り越え鍛えられ、謀が得意とまでは行かないが、十分頼れる相談相手になっている。
ふざけて笑う姿は夢主に元気を与えた。
「恵さん、小国診療所に住み込みで働き始めると思うんです。だから午後か明日にでも行ってみようと思うんですけど……総司さんも一緒に行ってくれますか」
「もちろんいいですよ、僕もあの女医さんの無事な姿を確認したいですしね」
どうしても恵に頼みたい事、それは一人では怖いと感じてしまう事。
斎藤には同行を願えない。
「一さんには内緒にしてもらえますか、小国診療所へ行くこと」
「いいですけど……夢主ちゃんの体の事なら斎藤さんに話すべきでは……」
「それが……とにかく、一緒に来ていただければ分かると思いますから……お願いします。赤べこにも行かなくちゃ……」
「一度に済ませなくても、体を第一に考えてくださいね」
再び俯いてしまった夢主は沖田の明るい声に励まされた。
二人は恵を訪ねるべく小国診療所を目指した。
「総司さん……」
「とにかく中へ戻りましょう」
殺気に縛られた体で目にした生々しい首四つ。
精神への負荷は計り知れない。
「……大丈夫?」
「……はい、大丈夫です」
大丈夫。こうなると知っていて、流れに任せたのだから……
力なく立ち上がる夢主をすぐさま沖田が支えた。
「蒼紫様が立ち向かうのに、私だけ逃げられない……」
「夢主ちゃん……」
こんな時、そばにいてくれる沖田に感謝しかない。
ひとりではとても受け止めきれなかっただろう。
「四乃森蒼紫はどうなるんでしょうね」
「総司さん、お優しいですね」
「いえ、気になるだけですよ、あの状態では何をしでかすか」
「蒼紫様は大丈夫です。……少し時間は掛かっちゃいますが、蒼紫様なら……っ」
涙が滲む。
とても大きな遠回りになってしまうけれど、必ず蒼紫の心は戻ってくる。
多くの人が傷つくが、傷ついた分だけそれぞれ強くなる。
「蒼紫様はちゃんと……戻ってきます」
「……そうですか」
慰めるよう、沖田の手がそっと肩に触れた。
まだまだ問題が起こる、語られずとも複雑な今後が見える。
こんな時にどんな言葉が必要なのか。
沖田は夢主を取り巻く人々の笑顔を思い浮かべた。
「あの人が来たって事は観柳邸で騒動があって……終わった。きっと緋村さん達も戻って来るでしょう」
「はい、きっと恵さんも一緒に」
「どうします、日が昇ったら神谷道場に行ってみますか。僕も一緒に行ってもいいのか迷うところですが、ははっ」
「総司さんたら……」
くすくすと肩が揺れ、夢主にか弱いながら笑顔が戻ってきた。
「恵さんにどう説明したらいいんだろう……緋村さんも私の秘密を詳しく知っている訳ではないんです」
「うぅん……全てを打ち明けるか、誤魔化すか」
「今はまだ……一さんがそのうち神谷道場にお仕事で伺う時が来るんです。その時までは……私の秘密も一さんの事も……誰にも言えません」
「そっか、それじゃ話を合わせないとですね」
「面倒臭いですよね、すみません」
「ははっ、楽しいじゃない。何だか密談みたいで」
「密談ですよ、ふふっ。昔から総司さんには相談に乗ってもらってますよね、今回もお願いします」
「いいですよぉ、僕は策を練るのは苦手ですが夢主ちゃんと話すのは大好きですから」
苦手と言うが動乱の中で様々な困難を乗り越え鍛えられ、謀が得意とまでは行かないが、十分頼れる相談相手になっている。
ふざけて笑う姿は夢主に元気を与えた。
「恵さん、小国診療所に住み込みで働き始めると思うんです。だから午後か明日にでも行ってみようと思うんですけど……総司さんも一緒に行ってくれますか」
「もちろんいいですよ、僕もあの女医さんの無事な姿を確認したいですしね」
どうしても恵に頼みたい事、それは一人では怖いと感じてしまう事。
斎藤には同行を願えない。
「一さんには内緒にしてもらえますか、小国診療所へ行くこと」
「いいですけど……夢主ちゃんの体の事なら斎藤さんに話すべきでは……」
「それが……とにかく、一緒に来ていただければ分かると思いますから……お願いします。赤べこにも行かなくちゃ……」
「一度に済ませなくても、体を第一に考えてくださいね」
再び俯いてしまった夢主は沖田の明るい声に励まされた。
二人は恵を訪ねるべく小国診療所を目指した。