52.訊ね石
夢主名前設定
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地面の砂利をにじるように踏みつける音がゆっくり近づいてくる。
刃衛らしいじっとり響く足音に夢主は冷や汗が流れ落ちるのを感じた。
「ふふふ、壬生狼の女、最も壬生狼の連中は壊滅したが」
「ちがっ……」
「おやぁ、生き残り連中を知っているのか。まさか今も共にいるだなんて事は無いだろう、なぁお嬢さん」
「っく……」
心の一方にかかった訳ではない。夢主は睨み付けたいと力を込めるが、目が合ってはいけないことが枷となる。
背後に回った刃衛の声は熱い息と共に耳へ届き、夢主は反射的に肩をすぼめて嫌がった。
「そう怖がるな、今夜は仕事が待っているんで機嫌がいいんだよ」
「仕事……」
「まぁそれはいい。先日面白い男を見かけてね、おかしいかな奴は死んだはずなんだが、貴様、知っているか」
「何……」
「沖田総司だよ」
「総司さっ……」
「うふわははは!生きているのか!!こいつはいい!!あぁぁ今宵の仕事が楽しみだ!さっさと終えて探さねば!」
夢主のたった一言で沖田の生存に確証を得たのか、元々情報でも握っていたのか刃衛は狂ったように大笑いした。
恐る恐る刃衛の様子を探ると、天を仰ぐように喜んでいた。
刃衛は剣心を見つけて幕末の悦びを思い出し、標的を政治家から剣心へとすり替える。
まさかその対象に沖田がなってしまうのでは、夢主は恐れた。
「何を、総司……沖田さんはもうこの世にはいません、戊辰戦争の最中に肺の病で……有名なお話です!」
「生きている!生きているのだ!!!」
暗殺稼業の男の思想は分からない。
少しでも沖田から気を逸らそうとその死を訴えるが、刃衛が聞き入れる様子は全くない。
「沖田さんはっ!」
もはや顔を逸らすのも忘れて訴えていると、川向こうからやってくる人の気配があった。
土の道を強く蹴って走る足音は夢主の耳のもしっかり届いた。
「取り敢えず俺は今夜の仕事を終えてくるさ。今夜はちょいと大事な仕事でね、ここで騒ぎになると面倒だからな」
「あっ……」
ニッ……と鼻先が触れそうな程に顔が近づき目が合った。
技をかけられる、恐怖を感じるが刃衛は余程大事な仕事を抱えているのか、恐ろしい笑みを見せつけるだけで大人しく体を離した。
「お前、沖田と繋がっているのならば、せいぜい気を付けるんだな、ふふ……うふふ、うふわははは!」
刃衛は逃げるように、現れた時と同じ路地へ姿を消した。
緊張が解けた夢主がへなへなと座り込もうとした時、慣れた感触で体を支えられた。
刃衛らしいじっとり響く足音に夢主は冷や汗が流れ落ちるのを感じた。
「ふふふ、壬生狼の女、最も壬生狼の連中は壊滅したが」
「ちがっ……」
「おやぁ、生き残り連中を知っているのか。まさか今も共にいるだなんて事は無いだろう、なぁお嬢さん」
「っく……」
心の一方にかかった訳ではない。夢主は睨み付けたいと力を込めるが、目が合ってはいけないことが枷となる。
背後に回った刃衛の声は熱い息と共に耳へ届き、夢主は反射的に肩をすぼめて嫌がった。
「そう怖がるな、今夜は仕事が待っているんで機嫌がいいんだよ」
「仕事……」
「まぁそれはいい。先日面白い男を見かけてね、おかしいかな奴は死んだはずなんだが、貴様、知っているか」
「何……」
「沖田総司だよ」
「総司さっ……」
「うふわははは!生きているのか!!こいつはいい!!あぁぁ今宵の仕事が楽しみだ!さっさと終えて探さねば!」
夢主のたった一言で沖田の生存に確証を得たのか、元々情報でも握っていたのか刃衛は狂ったように大笑いした。
恐る恐る刃衛の様子を探ると、天を仰ぐように喜んでいた。
刃衛は剣心を見つけて幕末の悦びを思い出し、標的を政治家から剣心へとすり替える。
まさかその対象に沖田がなってしまうのでは、夢主は恐れた。
「何を、総司……沖田さんはもうこの世にはいません、戊辰戦争の最中に肺の病で……有名なお話です!」
「生きている!生きているのだ!!!」
暗殺稼業の男の思想は分からない。
少しでも沖田から気を逸らそうとその死を訴えるが、刃衛が聞き入れる様子は全くない。
「沖田さんはっ!」
もはや顔を逸らすのも忘れて訴えていると、川向こうからやってくる人の気配があった。
土の道を強く蹴って走る足音は夢主の耳のもしっかり届いた。
「取り敢えず俺は今夜の仕事を終えてくるさ。今夜はちょいと大事な仕事でね、ここで騒ぎになると面倒だからな」
「あっ……」
ニッ……と鼻先が触れそうな程に顔が近づき目が合った。
技をかけられる、恐怖を感じるが刃衛は余程大事な仕事を抱えているのか、恐ろしい笑みを見せつけるだけで大人しく体を離した。
「お前、沖田と繋がっているのならば、せいぜい気を付けるんだな、ふふ……うふふ、うふわははは!」
刃衛は逃げるように、現れた時と同じ路地へ姿を消した。
緊張が解けた夢主がへなへなと座り込もうとした時、慣れた感触で体を支えられた。