52.訊ね石
夢主名前設定
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夜が明けると同時に出立した斎藤。
夢主が飛び起きた時には、昨日と同じ光景が残されていた。
衝立に掛かった寝巻、僅かに窪み変化が見られる枕。
「一さん、帰ってる!」
数時間前には、ここにいたと示す品々。
今朝は枕を嗅がずに、すぐさま文机を覗いた。小石が移動している。
「動いてる、バツ……一さん分かってくれたんだ!蛍はまだいないけど……ふふっ、一さん」
仔細に伝えずとも察してくれた。嬉しくて夢主はこの日の夜も似たような文を用意した。
書きながら照れくさくて笑ってしまう。
そんな手紙を置いて布団に入ると、石の結果が楽しみでにやけてしまう。
それでも眠気は夢主を確実に眠りに引き込んだ。
この日も斎藤が帰宅したのは夢主がすっかり寝付いてから。
眠る表情は穏やかで、どこか嬉しそうにも見える。
……夢でも見ているのか……
今にも笑い声が聞こえてきそうだ。
夢主の笑い声はとても心地よい。並の暮らしから掛け離れた日々を送る斎藤の身も心も潤す力がある。
……笑い声か、聞きたいものだな……
斎藤は僅かに乱れた布団を直してやり、自らも休む為に寝巻を探した。
今宵も机に置かれている。
「今夜も文か。どれ、……私の寝顔に話しかけていますか……フッ」
可愛い問いに笑みが零れる。
「あぁ話しかけているさ、夢主」
深夜の帰宅になれば寝顔を見つめながら話しかけ、時に優しく唇を落とすこともある。
寝息の調子を探り、大丈夫だと分かれば声を掛け、起こさぬよう眠りの深さを確かめている。
深い眠りにあると分かった時だけ、斎藤は口づけをして自らも眠りに入るのだ。
夢主は朝起きて、丸印の上に石があるのを喜んだ。
「一さん、ふふっ嬉しい……」
眠っていても声を掛けてくれているのは嬉しい。
覚えていないだけで、夢心地に聞こえているかもしれない。
きっとすぐそばで語り掛けているのだろう、想像すると声を潜めた斎藤の低音が幻聴となり蘇った。
耳元で聞かされる恥ずかしさも共に蘇る。
「何て……話しかけてくれてるんだろう。やっぱり声聞きたいな……」
比留間兄弟の事件が過ぎ去り、これから一気に混乱が押し寄せる。
既に志々雄真実の野望も動いているだろう。
「忙しいよね……一さん……」
また時間を作ってくれて昼間に顔が見られたら最高だが、家に戻ってくれるだけでも嬉しい。
無理を言ってはいけない。
「だったらせめて……」
夢主は今宵の一文を決めた。
夜になりその一文を目にした斎藤は一瞬困ったように眉をぴくりと動かした。
「起こしてください……か。これはバツだ。寝ていろ」
すまんな、寝顔に囁いて一つ大きな息を吐いた。
そろそろ顔を見せに戻らねば淋しがるか。そんな想いに苛まれる。
夢主が飛び起きた時には、昨日と同じ光景が残されていた。
衝立に掛かった寝巻、僅かに窪み変化が見られる枕。
「一さん、帰ってる!」
数時間前には、ここにいたと示す品々。
今朝は枕を嗅がずに、すぐさま文机を覗いた。小石が移動している。
「動いてる、バツ……一さん分かってくれたんだ!蛍はまだいないけど……ふふっ、一さん」
仔細に伝えずとも察してくれた。嬉しくて夢主はこの日の夜も似たような文を用意した。
書きながら照れくさくて笑ってしまう。
そんな手紙を置いて布団に入ると、石の結果が楽しみでにやけてしまう。
それでも眠気は夢主を確実に眠りに引き込んだ。
この日も斎藤が帰宅したのは夢主がすっかり寝付いてから。
眠る表情は穏やかで、どこか嬉しそうにも見える。
……夢でも見ているのか……
今にも笑い声が聞こえてきそうだ。
夢主の笑い声はとても心地よい。並の暮らしから掛け離れた日々を送る斎藤の身も心も潤す力がある。
……笑い声か、聞きたいものだな……
斎藤は僅かに乱れた布団を直してやり、自らも休む為に寝巻を探した。
今宵も机に置かれている。
「今夜も文か。どれ、……私の寝顔に話しかけていますか……フッ」
可愛い問いに笑みが零れる。
「あぁ話しかけているさ、夢主」
深夜の帰宅になれば寝顔を見つめながら話しかけ、時に優しく唇を落とすこともある。
寝息の調子を探り、大丈夫だと分かれば声を掛け、起こさぬよう眠りの深さを確かめている。
深い眠りにあると分かった時だけ、斎藤は口づけをして自らも眠りに入るのだ。
夢主は朝起きて、丸印の上に石があるのを喜んだ。
「一さん、ふふっ嬉しい……」
眠っていても声を掛けてくれているのは嬉しい。
覚えていないだけで、夢心地に聞こえているかもしれない。
きっとすぐそばで語り掛けているのだろう、想像すると声を潜めた斎藤の低音が幻聴となり蘇った。
耳元で聞かされる恥ずかしさも共に蘇る。
「何て……話しかけてくれてるんだろう。やっぱり声聞きたいな……」
比留間兄弟の事件が過ぎ去り、これから一気に混乱が押し寄せる。
既に志々雄真実の野望も動いているだろう。
「忙しいよね……一さん……」
また時間を作ってくれて昼間に顔が見られたら最高だが、家に戻ってくれるだけでも嬉しい。
無理を言ってはいけない。
「だったらせめて……」
夢主は今宵の一文を決めた。
夜になりその一文を目にした斎藤は一瞬困ったように眉をぴくりと動かした。
「起こしてください……か。これはバツだ。寝ていろ」
すまんな、寝顔に囁いて一つ大きな息を吐いた。
そろそろ顔を見せに戻らねば淋しがるか。そんな想いに苛まれる。